CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ワールド・ウォー・ゼット

2020-09-14 21:08:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
ワールド・ウォー・ゼット  作:マックス・ブルックス

いわゆるゾンビものでありました
あんまりゾンビに詳しくないからなんともいえないけども、
ゾンビが世界を席巻した後に、その当時のことを
インタビュー形式で追っていくというスタイルが面白かった
当時の人間、それぞれの土地、人種、宗教なんかが入り混じって
ゾンビとどう対してきたかという話が、
結構生々しいというか、ありそうな感じで描かれていて面白い

ゾンビが蔓延りだした頃から、その恐怖、攻防、
その時の判断や、様々な事象の解説が面白く、
山の中のサバイバルから、潜水艦話まで、ゾンビネタなのかと思うくらい
多岐にわたる話が面白かったエンタメを実に堪能できる内容でありました
苦難から、人間の仕方のない部分なんかが描かれているようでもあるんだが、
いよいよ、ゾンビに対して抗するという話になってからが、
とても楽しい、やはり勝利するという話は楽しいのだなと
読みながら、なんだかわくわくしたのでありますけども、
反転攻勢に出て、着実に結果を積み上げていく期間の回想というのが、
なんとも心躍る感じで、その間にも、様々な難題はあったものの
それを上回る、何かを成し遂げていく強さみたいなのが読み取れて
ああ、アメリカっぽいなぁと感じたりするのでありました

ただ、そのまま、一本道で勝って終わりということはなく、
そろそろ勝てそうというか、だいぶ道筋がついてきたというあたりで
人間がどこか壊れてしまうという例がいくつか挙げられているのが
なんともありそうだという話で面白い、
強いストレスが、やがてなくなると見えてくると
なぜか、その瞬間に気持ちが切れるのか、勇猛優秀だった人たちが
次々と精神的に折れていってしまうというのが
姿として憐憫を見せるけども、なんか、心情的に理解もできそうな感じが
リアルだと感じたのであります

エピソードとしては、元プロレスラーの討伐隊員が、
どこかで、香水の匂いを嗅いだら滂沱の涙でもう立ち直れなくなったとか、
この話が本当にもう、よくできてるなぁと
絵に浮かぶようだと思いつつ読んだのでありました
物凄い働きぶりだった男が、なんてことない香水の匂いを嗅いだときに
ふいに、過去というか、何かを思い出してしまうなんて
人間臭すぎる話が凄いステキだと思ったのであります
いや、悲劇なんだけどもね

そして、その後、ゾンビがまだ全滅したわけではない世界で、
各地において、また、国が始まろうとしているというところで
物語というか、報告書が終わるというものなんだが
それぞれで立ち上がるところに、若干偏ってるとは思うものの
国民性みたいなのを塗布してあって、非常に面白かったのでありました
なんだかんだ、日本がまだ扱ってもらえる時分だったようで、
日本で生き残った代表が、ヲタクだったり、盲目の仙人みたいな人だったりというのが
漫画的で面白かったのでありました
そういうキャラクタが立ってるだけで、なんかいいなぁと思えるのである