諸葛亮 作:宮城谷昌光
タイトルの通り、孔明を主役にした小説なんだが、
序盤の幼少のみぎりはともかく、しばらくはいわゆる三国志の話をなぞっているだけともいえるような
えらい静かな小説だった
孔明の凄さの描き方が独特というか、もう手あかがついてしまっているから、
凄さというのを書く必要がないとも思えるようなあっさりさ、
序盤で学んでいく姿とかも、その鋭さというものは特に描かれず
むしろ「頭の血のめぐりが悪い」なんて言われてしまっていたりと
だからといって怒るわけではなく、当然のように、そこから学んでいくんだが
なかなか独特な、しかし確かに成長していくという姿なんだが
きっかけという、大きなイベントではなく
流されるようにともいえそうな感じで、劉備と出会い出世していくんだが
このあたりの淡さというのが独特だと感じた
赤壁までは、ほとんどそんな感じで、劉備との水魚の交わりについては
まさに言葉の説明だけにとどめるような感じだが、
魯粛が出てきたあたりから、孔明の出番がまめやかになってきて、
三兄弟が亡くなってからが、いよいよ孔明の人生とでもいうように
物語としても、孔明の活躍というか、その動き、政治が、蜀そのものの歴史になっていくのが
非常に面白かった、また、孔明がそうなってからやっと成長していく
馬謖が街亭でしくじったところから、学び多く成長していくというのがよくて
ちょっと贔屓がすぎるともいえるけど、非常に満足な内容でありました
劉備後の蜀を描いている部分も結局は五丈原までなのではあるけども
様々な将官がいたこと、蜀のありようというのが面白くて
わくわく読めたのでありました
姜維も名前だけで必要以上に出てこないし、それよりは内政の官がいっぱいでてきて
どれも、誠実であるということを一等にしているというのが
ある意味宮城谷先生らしいといえるような、徳を重視したキャラクタたちだったと思うのである
そして、南蛮とのあれこれも大変楽しいというか、
よく知られたエピソードそのままといった感じなわけだけども、
よくよく考えてみると、孟獲と孔明だけでみたら、7回捕まえたという面白い話ではあるんだが、
実際は将兵が干戈を交えているわけで、死人もでていると考えると
あんまり褒められたことでもないようなと思ったんだが、まぁいいや
当たり前の三国志の物語だったともいえるけど、
さらりと読みながら、ちゃんと蜀の物語として、変なアレンジもなく読めたということが
貴重な本だったようにも思うのである
終わりもすごいあっさりだったわけだが、三国のいずれがという話ではなく
あくまで孔明がその生を全うした、その姿を淡々と描いたものでありました
タイトルの通り、孔明を主役にした小説なんだが、
序盤の幼少のみぎりはともかく、しばらくはいわゆる三国志の話をなぞっているだけともいえるような
えらい静かな小説だった
孔明の凄さの描き方が独特というか、もう手あかがついてしまっているから、
凄さというのを書く必要がないとも思えるようなあっさりさ、
序盤で学んでいく姿とかも、その鋭さというものは特に描かれず
むしろ「頭の血のめぐりが悪い」なんて言われてしまっていたりと
だからといって怒るわけではなく、当然のように、そこから学んでいくんだが
なかなか独特な、しかし確かに成長していくという姿なんだが
きっかけという、大きなイベントではなく
流されるようにともいえそうな感じで、劉備と出会い出世していくんだが
このあたりの淡さというのが独特だと感じた
赤壁までは、ほとんどそんな感じで、劉備との水魚の交わりについては
まさに言葉の説明だけにとどめるような感じだが、
魯粛が出てきたあたりから、孔明の出番がまめやかになってきて、
三兄弟が亡くなってからが、いよいよ孔明の人生とでもいうように
物語としても、孔明の活躍というか、その動き、政治が、蜀そのものの歴史になっていくのが
非常に面白かった、また、孔明がそうなってからやっと成長していく
馬謖が街亭でしくじったところから、学び多く成長していくというのがよくて
ちょっと贔屓がすぎるともいえるけど、非常に満足な内容でありました
劉備後の蜀を描いている部分も結局は五丈原までなのではあるけども
様々な将官がいたこと、蜀のありようというのが面白くて
わくわく読めたのでありました
姜維も名前だけで必要以上に出てこないし、それよりは内政の官がいっぱいでてきて
どれも、誠実であるということを一等にしているというのが
ある意味宮城谷先生らしいといえるような、徳を重視したキャラクタたちだったと思うのである
そして、南蛮とのあれこれも大変楽しいというか、
よく知られたエピソードそのままといった感じなわけだけども、
よくよく考えてみると、孟獲と孔明だけでみたら、7回捕まえたという面白い話ではあるんだが、
実際は将兵が干戈を交えているわけで、死人もでていると考えると
あんまり褒められたことでもないようなと思ったんだが、まぁいいや
当たり前の三国志の物語だったともいえるけど、
さらりと読みながら、ちゃんと蜀の物語として、変なアレンジもなく読めたということが
貴重な本だったようにも思うのである
終わりもすごいあっさりだったわけだが、三国のいずれがという話ではなく
あくまで孔明がその生を全うした、その姿を淡々と描いたものでありました