CLASS3103 三十三組

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【読書】負けへんで! 東証一部上場企業社長VS地検特捜部

2024-02-26 21:07:57 | 読書感想文とか読み物レビウー
負けへんで! 東証一部上場企業社長VS地検特捜部  著:山岸忍

地検特捜による冤罪事件の被害者本人による
当時の回顧録であり、糾弾の一冊
正直よく知らない事件だとか思ってたんだが、
読んでいると、上場企業の株価がそうとう乱高下したとみえるので、
その被害度合いは、本人のそれもさることながら、
様々なステークホルダーに及んだんじゃないかと思えて、
なんとも恐ろしいものだと思ったのでありました

特捜検事との面会という名の尋問の姿や、
勾留のえげつなさといったものが、ありありと描かれていて
まぁ、ともかく大変な目にあうんだなと改めて思い知らされる内容だった
とてもじゃないが耐えられない苦痛のようにも思うのだが、
実際どんなもんなんだろうか
本人がよく耐えたなとも思うものの、途中で語られる半生ともいうべきところで
だいぶ、それはそれとして凄い環境を生きてきているから
案外大丈夫だったんじゃないかとも思ったりしてしまったわけだが、
そういう問題ではないな

結局のところ、冤罪に向けて、あの手この手でストーリーを作っていた検察の悪いところを糾弾しているのだが
事件としては、検察がそう動いてしまいそうなほど、実際の犯人ともいえるような人物たちのうかつさ、
嘘、虚言、右往左往する言動というのが混乱のもとで、なんというかやるせない
こういうのをどう防いだらいいんだろうかと思わされる内容でありました
しかしよく戦ったもんだ

弁護士先生とのやりとりや、裁判とはどういうものかというところについて
なるほどなとためになるところも多いのだけども、
当然自分のことしか語られないので仕方ないのだが、
実際のところ、ここまでして検察がこだわった理由はなんなのか、
そのあたりが全くわからないので、本人からしたらふってわいた災難なのはよくわかるんだが
なんか腑に落ちないというか、検察も、書かれているほど馬鹿ではないのでなかろうか
と思ったりしてしまったのであった

結局事件そのものがどういう話であったかがよくわからないので、
この冤罪という被害以外、実際の事件としてはなんだったのか、
確かにサギのようなことが行われていたんだろうけど、
そこに満足せず、その裏に暗躍していたというストーリーにしたくなるほどのものがなんだったのか、
右往左往する嘘つきのせいでそうなってしまうものかどうか
それは、人間を見る目なんていう、ふわっとしたものながらも
大切なことがあるのかもと思わされるばかりでありましたとさ

本の中に書かれていた、優秀な人でも間違えることはあるというのが
まさにそういうことなんだろうけども、
この事件そのものの歪さと悲惨さはよくわかるんだが、
それ以上に本人のバイタリティの強さという方が読み物として面白さがあったように思ったのであった