CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】証言 羽生世代

2025-01-22 21:05:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
証言 羽生世代  著:大川 慎太郎

将棋における羽生世代という存在について、
他の棋士、とりわけ関係が深いであろう棋士にインタビューをしたもので
大変面白い読み物だった

羽生世代として、羽生、森内、郷田、そして佐藤康光
おおよそこの四人を念頭におきながら、
それらと戦ってきた上と下、それぞれの世代の代表者ともいえる棋士の言葉が
いくつもあわさって立体的に彼らのことが見えるという
そんな本を目指して編まれていて面白かった

最終的にはあとがきのように、もはやそれは概念というか
一面的なものでしかないということに帰結してしまう
その当たり前とか、ありきたりとかで終わってしまいそうなものに近づくけど
確かに書かれていた内容から納得というか、その人たちを見てきて
その人たちがいる世界である将棋界というものが変化した
その強い原動力となったことは疑いようもないといった感じで
凄く面白いと思えたのである
惜しいといっても仕方ないのだけど、これだけ豪華にそろっているなら
いっそ、米長先生や、大山先生のお話も可能であれば聞きたかったとも思うのだが
それはまた別の話ともいえるのかもしれんと
ないものねだりをしたくなる、これまでの、あるいは
羽生先生を中心にした平成将棋界のそれを紐解いた内容になっていたのじゃないかと
感じたのでありました

興味深いところでは、当人たちは当然のように自分たちを特別と思っていないが
その嚆矢となったのは谷川先生であるということに一致しているのが良かったと思えて、
また、その谷川先生が、羽生先生をはじめ全員への羨ましさというのを口にしている
結局はそういうもので、特別にそろっていたように見える世代ではあるが
それは、たまたまでしかなく、そこに至るまでの
将棋界という大きな流れがそうであったという結果でしかないような
そういう気持ちにもなったわけだけど
なんといったらいいか、将棋をとても楽しく面白く見せてくれる
そういう魅力を深く掘って、広げてきたという仕事が
この世代によってなされたんだろうなと朧気に知れたという気持ちで
読み終えたのでありました

もっと、たくさん、もっといいことを書きたいのだが
おいそれと言葉にならない、書かれていることは
ある種の想い出話の結集でしかないともいえるのだけど
すごくよい話を読んだと思える一冊だったとメモっておく