CLASS3103 三十三組

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【読書】理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい

2022-06-08 21:12:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい  著:田中淳

台湾人革命家・史明さんという方の伝記というか、
インタビューをもとにしたドキュメンタリといった感じでありました
台湾人であるということ、そして、革命家であること
この二つが混然一体となった、まさに、その場所でその目的をもって輝く人物というのが
浮彫になるというか、すごい人だと思わされたのであった

この本が書かれた頃にすでに100歳を迎えていたようで、
どうも、その少し後に亡くなられているようだが、
100年生きてなお、判然として、革命の志をもっていたというのが
もう偉人と呼ぶそれだなと思わされる人物で、
かなり面白かったのでありました
偉人といってみたものの、やってたことは、わりと過激な革命運動、いや、闘争なので、
テロリストでもあるんだが、志がすごいと感心してしまった
こういう人物というのは、その貫徹っぷりから、
評価が難しい人物たちとも繋がりがあったりして、なかなか考えさせられるところである

氏は当初革命闘争、武力革命に強く支持を示していたようなんだが、
やがて平和革命にシフトしていき、草の根から独立の機運を高めようと
そういう働きをしていたと、そう書かれると立派な人だなという感じであるんだけども、
当然、武力闘争していた頃の革命戦士たちからすると、
許せない裏切り者にも見えたりしてたんじゃないかと思ったりするのである
でも、日本赤軍とつながりをもって、台湾独立のため密航したり、
あれこれ画策していたというのは、革命戦士としては正しそうだが
完全にテロリストだなぁと思わされて、
この人が、天寿を全うしてしかも、100歳以上になっていたというのは
すごいことだと思うばかりなのでありました

聞き取り自伝のため、都合のよいところが多いとは思うものの
補足的に他の人のインタビューも添えられていて、
どうも女関係が結構ルーズというか、英雄色好む感じだったのかもというところもあって
興味深いのでありました、それもまた人間的魅力に変えていたし、
そういうものなんだろうな

興味深いのは、台湾独立、台湾人のアイデンティティーの確立を標ぼうし、
そう活動していく中で、蔡総統に繋がってもいくわけなんだけど、
この自伝の中で、これだけ台湾のことを語りながら、
蒋介石、蒋経国までは出てくるのに、李登輝が出てこないのが意外というか
これが、台湾という国のひとつの思想なんだろうかなと思わされたのでありました
李登輝という人が、台湾で二分する評価を得ているというのの
一端なのか、本当に特に触れることがないということだったのか
わからんのだが、でも、李登輝も日本で学んでいた人でもあるし
何かしら繋がりとか、あるいは、史明さんからの評価みたいなのが聞きたかったように思うんだが
あえて書かれていないともとれるところを見ると
なんかあるんだろうかと勘繰ってしまうのであった

とりあえず、今度東京行ったら、池袋の新珍味にぜひいってみたいと
そう思うのでありました


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