CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】しょっぱいドライブ

2020-10-27 20:44:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
しょっぱいドライブ  作:大道珠貴

芥川賞受賞作品ですが、そんなに暗くなかった(偏見)
根深いものを描いたというよりは、
どこか覚えがあるとまで言わないけど、そういうことあるな、
そんなふわっとした感情の機微というか、
人生の瑣末について描いていて、楽しかったように思う

善悪とかいう話でもなく、ただ、平生生きていて、
そこらに落ちていそうな、あーでもないこーでもないといった
益体のない思いなんかを独白と、実際の態度と織り交ぜて書いてあって、
なんというか、よくよく気の抜けた物語でありました

展開というか、話の筋は、結構衝撃的といっていいのではないか、
投げやりでもないが、若い女が、しょーもない男と寝るという話なんだけども、
このしょーもない男のありようであったり、
若い女の考え方であったりが、
まったく劇的ではないというのが面白くて、
そこらへんに落ちてそうな物語という体が楽しめた

表題作はそんな感じで、ほか二編あるんだが、
どちらも、同じような雰囲気で、書いてあることはまったく違うんだが、
どっか地続きといっていいのか、投げやりとは違うけど、
劇的さをというのを一切放棄したかのようなやりとりと
物語が面白いと感じたのでありました

人生の起伏とかいうのは、こういうことかとも
思わせる感じがステキと
読み終わって思うところでありました
このなんてことないのを読ませる力というのが
受賞の源泉なんだろうか、あるいは、
受賞したという事実に目が曇ってんだろうか