CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】コレキヨの恋文

2020-10-01 21:11:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
コレキヨの恋文  作:三橋貴明

荒唐無稽な話なんだが、ちょっと前の日本の状況が
あまりにも大正昭和の頃とそっくりだから、
その類似点を指摘しつつ、ついでに、高橋是清の財政手腕で
現代日本をうまくやる方法を論じた
といった感じの小説でありますが、なんというか、
そんなわけねぇだろという現代の描写が気になって、
素直に読めなかったのでありました

とはいえ、大正と平成の世の中がどれくらい似ていたかと
この論法は、ある意味面白いけど危険だと感じるところで
似ていると書いているだけで、実際似ているか?という感じも
当然してしまう、というか、ごく当たり前の話でありまして
そういうところが、なんとなし気になってしまうと
なかなか楽しめないのでありました

大正の頃、高橋是清があれこれ示した財政手腕を
現代的に解釈して、デフレ期をどう乗り越えるべきかということなわけだが、
このあたりは、おそらくこの本が出たあとにアベノミクス的なもので
似たような感じになって、まぁ、成功したのか失敗したのか、
検証がまたれるところとなったなと思うのであります
もっとも、この論法でやってしまうと、
実際似たようなことをやったのに、今度はうまくいかなかったので、
違っていた部分を上げつらねって、こんだけ違うという
また、論法によるうやむやがまかり通りそうでやだなあとか
もう、この本の感想とはいえないことを書いてしまう

ともあれ、マクロ経済とGDPの成り立ちについて、
基本の部分を書いているのがステキでありまして
景気は雰囲気と、ざっくりしているのも
嫌いじゃないなぁと感じたりするところ
個人的に凄い好きな逸話で、取り付け騒ぎのときにとりあえず札を刷って並べたので
なんとかしのいだというのが、ここでも取り上げられていたんだが
この信用というものについて、もうちょっと掘り下げてもらって
そこにおける高橋是清の感覚というか
思いみたいなのを書いて欲しかったと思うのでありました

自分も対して知識はないが、
聞きかじった内容で、是清を好きだとかのたまわってしまうので
この本にとやかくいえる身分ではないとも思うのだけども、
100年も経っていると、過去の人も伝説化されていくということなのかなと
ぼんやり感じたりしたのでありました
乃木大将とかもそういう感じだったんだろうか、
次は誰が偉人となっていくんだろうか
いらんことを考えてしまう