5/8講演会が、みんなの子育て広場「あすなろの木」主催で、無事開催されました。
写真家がうつした一枚一枚が芸術作品のスライドを見ながら、1986年4月26日の原子力発電所の爆発事故から21年の歳月が過ぎた2007年のチェルノブイリの現場の状況や真実を、実際に見た写真家本人の言葉で語られました。
私は、敢えて、この会を、原子力発電の「推進」も「反対」も述べずに、広報しました。
写真家中筋純が講演会を通じて、伝えたことのひとつは、原子力発電の「推進」でも「反対」でもなく、「原子力発電所のあり方を考えていくその考え方自体」であったと感じています。
そしてそれこそ、写真家の使命、存在意義なのであると彼自身感じ、写真家をやっているのだと思います。言葉にすると難しいですが、「“リアル”を伝えること」を使命としているのだと思います。
この世の中、なんでもそうですが、真実を伝えることはとても難しいです。真実は、ひとつのはずなのに、それが伝わりません。真実の受け取り方も、人それぞれ、さまざまです。
彼の講演では、なぜ、事故が起こったのか。事故がどのような影響を与えたのか。今の現地の人々はどうなのか。放射能や放射線とはなにか。多角的に説明がなされていきました。
彼の写真そして講演から、私が受け取った2007年のチェルノブイリの真実のひとつ。
そこには、旧ソ連が、そのまま保存されていました。
そして、逆説的な表現を使わざるをえないのですが、「そこで起こった惨事を前にすると非常に不適切な表現であるのですが、人がいなくなって、我が物顔の自然が、“美しかった”です。」
掲載している写真が、私が言わんとしていることを如実に語る一枚です。まぶしいばかりの自然の紅葉が、悲惨な事故を起こした原子力発電所を覆いつくしています。
中筋純の写真展は、全国を縦断します。
お近くに来たときは、是非、お立ち寄りください。
そして彼に語りかけてください。
一見、インパクトのある風貌ですが、遠慮なく語りかけてください。とても気さくな人間です。
銀座 4月16日~22日 済み
梅田 5月14日~20日
名古屋5月28日~6月10日
福岡 6月22日~7月3日
仙台 7月13日~24日
札幌 8月3日~14日
です。
キャノンギャラリーで行われます。
****以下は、参加された皆様の感想です。(順不同、匿名)*****
*私は、今までチェルノブイリの事は、あまりよく知りませんでした。
でも、この前初めて写真集を見せていただいて、感じることが多々ありました。
今日の講演会に来てよかったです。ありがとうございました。
*自分は、平成生まれで、生まれる前の出来事のことだったが、その爆発、放射能の規模、迫力、悲惨さをリアルに思い知らされた。一度行ってみたくなった。廃墟になった土地は、時間は止まっているが、周りの自然は、成長し続けていることに私も感銘を受けた。
調律の狂ったピアノについて詳しく知りたいです。
*スライドショーについて、BGMのKing Crimsonの思い入れは、説明で理解しましたが、私はない方が良いと思いました。映像につく音楽というものは、確実に、ある方向に見る側の意識を引っ張っていきます。(そのために、音楽を付けるわけですが)
しかし、中筋さんの写真には、それ自体に十分な力があります。見る側が何を感じ何を思うかは、写真のみにゆだねてしまってよいのではと思いました。
*事故の事は知ってはいたが、現状の写真を見て改めて考えさせられる。クリーンエネルギーとして、原子力が見直されている(商売の為)が、考えることの大切さを教えて頂き有難く思います。植物の力にも感動した。大感激の2時間でした。
*人間が不在になったことで自然が回帰しているのは、確かに皮肉なことだと思った。放射能以上に、自然を阻害しているのは人間かもしれない。核汚染された地域の今までのイメージと全く違った。
*当時ベルリンにいたので色々な影響を聞いた。参考になった。
*とても興味深く聞かせてもらいました。チェルノブイリは、「廃墟」では無く現在進行形ですね。
*現地に実際に足を運ばれた方の講演なので非常にリアリティがありました。
私にとっても廃墟、廃墟の写真は、中筋氏同様「心がほっとする空間」と捉えておりますが、チェルノブイリに関しては、背景となる事件性が強くて心を癒す空間としては、捉えられませんでした。今後の氏の活躍を期待します。
廃墟って空間の中に目にみえない時間の経過と人間の存在が見えていいですよね。
*貴重な写真、情報を得られたと思う。事実を知ったことは、今後を考える上で重要であり中筋氏の視点、観点ではあるが、実態に近い情報であったと思える。普段、なかなか時間を取って、新たな情報に触れることはできないが、1~2時間という短時間の中で、視覚的、感覚的に情報を得られるこのような機会は、大変有意義である。
などなど