新型インフルエンザ、但し、現在のところ「弱毒型」の流行が関西方面で広がっています。
関東にいつ広がってもおかしくない状況と考えます。
中央区の小児科医の間でも、流行に備え、どのような対策を区に要望していくか、メーリングリストで確認が行われました。
一つ重要なことは、子どもに対する治療薬、「タミフル“ドライシロップ”」の確保があります。
大人では、「タミフル“カプセル”」の備蓄が言われていますが、子どもの場合、カプセルは飲めないわけであり、子ども用の飲みやすい剤形、“ドライシロップ”(簡単にいうと“粉薬”)が求められるところです。
ただし、通常のインフルエンザと同程度の弱毒性であれば、今回は(強毒のインフルエンザ発生でない限り)、タミフル使用に頼らずとも、自身の免疫で治すことができるという考え方もあると思います。
さて、新型インフルエンザの流行により、どのような問題が生じているか、まとめた文章が、本日の朝日新聞にありましたので、掲載します。(どの新聞社の、どの文章も、よく似た論調ではあります。)
赤字、太字、下線は、小坂による。
****朝日新聞 天声人語(09・05・19)******
学生も勤め人も、次の休みが遠い月曜の朝は浮かない風だ。それにしても、これほどむごい「朝礼」はない。大阪市立高倉中の3年生が昨日、集合場所のJR新大阪駅で修学旅行の中止を告げられた。新型インフルエンザの仕業である▼午前7時すぎに市教委から指示された校長先生もつらい。「残念ですが、このまま引き返します」と絞り出すと、「うそや」「ありえへん」と涙ぐむ生徒がいたという。級友と東京ディズニーランドで遊ぶ至福の時は、お預けとなった▼新型インフルの患者が急増し、日本はたちまち世界4位の感染国である。兵庫県と大阪府では一斉休校、旅行の取りやめもその一環だ。働くお母さんは保育所休業で途方に暮れ、企業は出張を見合わせる。ウイルスは社会と経済の根に宿り始めた▼政府が備えてきたのは鳥から始まる強毒性インフルだが、流行中の豚由来は弱毒型らしい。大は小を兼ねるとはいえ、大仰な策を不用意に繰り出せば、四方に要らぬとばっちりが及ぶ。牛刀で鶏を割き、傍らの卵まで粉砕する愚は避けたい▼新大阪駅で卵を割られた生徒の中には、マスクを何枚も携えた子がいたそうだ。中学生ならば、夢に見た日のため、うつらない、うつさないの自己責任は負える。遠からずマスクが旅先で役立つことを祈ろう▼沖縄・奄美地方が梅雨入りした。世事混乱の中、きっちりと巡る季節がいとおしい。そして、万事が予定を裏切らない平らかな日々のありがたさ。ウイルスがそれに気づかせてくれるなら、小さな功といえなくもない。
*****転載終わり****