中央区には、誇れるものがいろいろある。
築地市場が日本一の卸売市場であるが、そのとなりに日本で有数のがん治療拠点「国立がん研究センター中央病院」がある。
このような病院が存在するのであれば、その恩恵として、がんになっても安心して在宅での医療も受けられる体制整備をぜひとも行っていきたいものである。
9・18,19の両日、がんセンターで『がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研究会』が開催され、上記問題意識をもって参加してきた。
*****一日目のメモ****
緩和ケアは、「苦痛(つらさ)」に焦点をあて、ターミナルや終末期に限ったものではなくがん患者の治療のどの時期においてもなされるべきものである。
WHO(2002年)は、緩和ケアの定義を、「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛を予防し緩和することにより、患者と家族のQuality of Lifeを改善する取り組みである」としている。
苦痛には、身体的苦痛や精神的苦痛だけではなく、社会的苦痛(経済的問題、仕事、家庭の問題)やスピリチュアルな苦痛(生きる意味、死の恐怖、自質の念)がある。
これら苦痛の緩和に向け、チームアプローチで対応していくのである。
現状では、がん診療拠点の患者さんで苦痛の緩和に満足しているのは、50%であり、約半数は満足をしていないことになる。
「いつでも」、「どこでも」、切れ目の無い質の高い緩和ケアを受けられることが求められる。
なお、療養の場所は、時期により変化しており、必ずしも「在宅」を望んでいるものでもない。
「がん性疼痛」を取り除く治療に、オピオイド(モルヒネ、コデイン、オキシコドン、フェンタニルなどが含まれる)と呼ばれる薬剤を用いることが含まれる。
この場合、嘔気・嘔吐、便秘、眠気などの副作用を考慮に入れて使用する。
「がん性疼痛」には、薬物治療以外に、ケアとコミュニケーションが大切であることはいうまでもない。
いわゆる医療系麻薬であるオピオイドを用いる場合、患者さんは、以下のような疑問をもつため、医師は丁寧な説明をし、患者の同意を得て行く。
「麻薬を使うと中毒になるんじゃないですか」
「麻薬を使うと気がおかしくなるのでは?」
「麻薬を使うと寿命が短くなづのでは?」
「麻薬を使うということは末期なんですね?」
これらの質問は、すべて誤解であることを医師は説明し、オピオイドの使用目的(症状緩和、症状緩和によりQOL向上、QOL向上で充実した生活が送れる)を伝えて行く。
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