株主は、ただ、利益配当を待つだけでなく、会社の不公正には、モノ言える存在です。
会社の不公正を正す会長兼社長が、自らに対し不公正な利益供与をしてもよいものか。(刑法上も特別背任罪は大丈夫か?)
一株主が立ち上がり、司法がきちんと判断を下しました。
きちんとガバナンスが効いた企業が増えることが、この日本の将来の発展には欠かせません。
会社法
(株主の権利の行使に関する利益の供与)
第百二十条 株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
3 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役(委員会設置会社にあっては、執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
5 前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
(取締役等の特別背任罪)
第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六 支配人
七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八 検査役
2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
一 清算株式会社の清算人
二 民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者
三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者
四 清算人代理
五 監督委員
六 調査委員
*****産経新聞(2013/01/30)******
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130130/trl13013018460009-n1.htm
アートネイチャー会長らに2億円支払い命令 株主訴訟の二審判決
2013.1.30 18:45
不当な安値で新株を発行したなどとして「アートネイチャー」(東京)の埼玉県の男性株主が五十嵐祥剛会長兼社長ら4人に、約22億5千万円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審判決で、東京高裁は30日、2億2千万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
下田文男裁判長は一審判決と同様に、公正な新株の価格を低く見積もっても1株7千円と算定。1500円は「著しく不公正」と指摘した。
判決によると、同社は2004年3月、五十嵐氏らを割当先として4万株を新規発行した。