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民事訴訟法、「法人格否認の法理」が訴訟行為で使えるのか。

2013-05-12 01:37:34 | シチズンシップ教育
 法人格否認の法理が適用されるべき事案は多いはず。

 ただ、民事訴訟法上は、やっかい。


*****考え方*****


 ある株式会社は、前代表取締役とその妻および娘が取締役。
 新たな代表取締役は、以前の従業員。

 売掛代金請求訴訟を起こされた事案。
 
 前代表取締役は、ある株式会社をもぬけのからにした。
 そのとき、前代表取締役から新たな代表取締役となった。




第1、ある株式会社に、訴状の送達をして(前代表取締役に宛てられていて、新代表取締役には届かず。)、1審で勝訴の確定判決を得たが(判決書きは、前代表取締役に宛てられていて、新代表取締役には届かず。)、確定判決を得た時には、ことなる代表取締役社長が就任していた場合。

1、その新たな代表取締役は、送達の効力が無効で、違法な手続と主張できる。

2、その新たな代表取締役は、判決書きが当事者に到達していないことより、控訴期間は進行していない。
  すなわち、判決は確定していない。
  新たな代表取締役は、上訴が考えられる。

****民事訴訟法****
(控訴期間)
第二百八十五条  控訴は、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。
*************

3、新たな代表取締役がとれる訴訟手続
 控訴を提起すること。この場合、差し戻されるから、再度、1審からできることになる。

 (確定判決とみなせるなら、再審の考え方もある。ただし、再審には、補充性の要件が必要。すなわち、他に利用が出来るものがない場合にとれる。)

4、新たな代表取締役がとれる強制執行の手続上の防御手段
 未確定の判決であるが、執行文が付与されたことに異議を申し立てる。


第2、ある株式会社に、訴状の送達をして(前代表取締役に宛てられていて、新代表取締役には届かず。)、1審で勝訴の確定判決を得たが(判決書きは、前代表取締役に宛てられていて、新代表取締役には届かず。)、確定判決を得た時には、ことなる代表取締役社長が就任していた場合。ただし、登記自体は、実態に合わず、依然、前代表取締役のままであった場合。

1、新たな代表取締役が、訴状の送達の有効性を争うための合理的根拠

 前代表取締役が辞任しても、新たな代表取締役が決まり登記されるまでは、前代表取締役のままである。
 
 よって、前代表取締役には有効であっても、新たな代表取締役には有効性はない。

2、新たな代表取締役が、判決の確定を争うための合理的根拠

 前代表取締役が判決書きを受け、判決確定を受けている。
 新たな代表取締役には、判決確定の効力は及ばない。


第3、第2のように、代表取締役の登記自体は、実態に合わず、依然、前代表取締役のままであったとして、株式会社と前代表取締役との間の法律関係について、法人格否認の法理が援用できるか。

 株式会社の当座預金を抜きさった。
 前代表取締役に従業員が頼まれて新代表取締役になった。

 などの事情のもと、法人格否認の法理が認められる場合がある。


第4、仮に法人格否認の法理が援用できるとして、

1、前代表取締役個人に強制執行の申立をし、執行文が付与されたとき、前代表取締役の反論。

 法人格否認の法理は適用できない。強制執行はできず、あくまで株式会社にできる。
 前代表取締役への執行文付与に異議申し立てをする。

2、請求する側の方法

方策1、前代表取締役個人への訴えの提起

方策2、詐害行為取消し

    ある会社から、前代表取締役へ資産が流れることを詐害行為で取消し、その後株式会社に戻った財産に、株式会社への債務名義で強制執行

方策3、返還請求権の代位行使

    ある会社から、前代表取締役へ特定資産が流れることを代位行使で取消し、その後株式会社に戻った財産に、株式会社への債務名義で強制執行


第5、ある株式会社と前代表取締役を共同被告とすることは許されるか。

法人格否認の法理で、一方が消えることになる。

実務では、黙認される。
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