政治家に求められる最低限の知識は、『日本国憲法』。
その理解があるかどうかを見抜く、ひとつのものさしが、96条。
****日本国憲法96条****
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
***************
もし、真に、『日本国憲法』のなんたるかを理解しているなら、96条を改正する話をもちだすことはできないでしょう。
権力の暴走を防ぐものが憲法であるのだから。
日本国憲法の擁護義務を、直接規定しているのは、国会議員、裁判官、公務員等というのもひとつの証。
****日本国憲法99条*****
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
****************
安易に改正できるものに、格下げをして本当によいでしょうか。
皆様の参加・所属する団体、組織、会社でも大切なものは、2/3で改正するのが普通だと思います。
例えばの例ですが、『会社法』。株式会社は、すべからく『会社法』のこの条文に従わねばなりません。
*****会社法309条*****
(株主総会の決議)
第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会
二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会
四 第百八十条第二項の株主総会
五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号及び第二百四条第二項の株主総会
六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号及び第二百四十三条第二項の株主総会
七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。)
八 第四百二十五条第一項の株主総会
九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
3 前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会
二 第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)
三 第八百四条第一項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)
4 前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
5 取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第三百十六条第一項若しくは第二項に規定する者の選任又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。
***************
ひとつひとつの組織でこれなのであれば、国の大切な根幹となる憲法も、改正は2/3以上の賛成とするのが当然の帰結だと考えます。
来るべき選挙においては、ひとつのメルクマールを『日本国憲法』において、その理解で、政治家を選ぶべきと考えます。
想田和弘氏は96条改正は、「権力の暴走を防ぐ安全装置の解除」と表現されています。
日本が、おかしな方向に行かぬことを心から祈っています。
****東京新聞(2013/05/09)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050902000114.html
【社会】
96条改憲 問う 都内で公開討論会ネット中継も
2013年5月9日 朝刊
憲法九六条の改憲の是非を問う公開討論会が八日、東京都内で開かれた。国会議員や憲法学者、映画監督らが出席。「(改憲は)権力の暴走を招く」「改正を通じ、憲法議論を巻き起こすべきだ」などと議論した。
九六条は、改憲の発議に衆参各院で総議員の三分の二の賛成が必要と定めている。安倍晋三首相は過半数への緩和に意欲を示しており、夏の参院選で争点となる見通しだ。討論会は「国民投票/住民投票」情報室が主催。約五十人が傍聴し、インターネットでも中継された。
九六条改憲に賛成するみんなの党の井坂信彦衆院議員は「発議権は国会にしかない。ハードルを下げ、国民が変えたいと思えば変えられる手続きにすべきだ」と主張した。
これに対し、慶応大の小林節教授は「国民のためと言うが、憲法で拘束を受ける政治家が権力をハンドル(操作)しやすくするためのトリックだ」と指摘。小林氏は改憲派の憲法学者だが、九六条の改憲には反対した。
民主党の桜井充政調会長も「私は改憲派だが、九六条は維持すべきだ。政権政党は必ず過半数を持っているので、いつでも発議権を持つことになる」と賛同。護憲派の映画監督、想田和弘氏は「権力の暴走を防ぐ安全装置の一つを解除することに等しい。人間は間違うことがあるから、効率より安全性を重視するべきだ」と述べた。
主催者によると、九六条の改憲を目指す自民党と日本維新の会は、討論会の参加要請に応じなかった。
その理解があるかどうかを見抜く、ひとつのものさしが、96条。
****日本国憲法96条****
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
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もし、真に、『日本国憲法』のなんたるかを理解しているなら、96条を改正する話をもちだすことはできないでしょう。
権力の暴走を防ぐものが憲法であるのだから。
日本国憲法の擁護義務を、直接規定しているのは、国会議員、裁判官、公務員等というのもひとつの証。
****日本国憲法99条*****
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
****************
安易に改正できるものに、格下げをして本当によいでしょうか。
皆様の参加・所属する団体、組織、会社でも大切なものは、2/3で改正するのが普通だと思います。
例えばの例ですが、『会社法』。株式会社は、すべからく『会社法』のこの条文に従わねばなりません。
*****会社法309条*****
(株主総会の決議)
第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会
二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会
四 第百八十条第二項の株主総会
五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号及び第二百四条第二項の株主総会
六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号及び第二百四十三条第二項の株主総会
七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。)
八 第四百二十五条第一項の株主総会
九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
3 前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会
二 第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)
三 第八百四条第一項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)
4 前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
5 取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第三百十六条第一項若しくは第二項に規定する者の選任又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。
***************
ひとつひとつの組織でこれなのであれば、国の大切な根幹となる憲法も、改正は2/3以上の賛成とするのが当然の帰結だと考えます。
来るべき選挙においては、ひとつのメルクマールを『日本国憲法』において、その理解で、政治家を選ぶべきと考えます。
想田和弘氏は96条改正は、「権力の暴走を防ぐ安全装置の解除」と表現されています。
日本が、おかしな方向に行かぬことを心から祈っています。
****東京新聞(2013/05/09)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050902000114.html
【社会】
96条改憲 問う 都内で公開討論会ネット中継も
2013年5月9日 朝刊
憲法九六条の改憲の是非を問う公開討論会が八日、東京都内で開かれた。国会議員や憲法学者、映画監督らが出席。「(改憲は)権力の暴走を招く」「改正を通じ、憲法議論を巻き起こすべきだ」などと議論した。
九六条は、改憲の発議に衆参各院で総議員の三分の二の賛成が必要と定めている。安倍晋三首相は過半数への緩和に意欲を示しており、夏の参院選で争点となる見通しだ。討論会は「国民投票/住民投票」情報室が主催。約五十人が傍聴し、インターネットでも中継された。
九六条改憲に賛成するみんなの党の井坂信彦衆院議員は「発議権は国会にしかない。ハードルを下げ、国民が変えたいと思えば変えられる手続きにすべきだ」と主張した。
これに対し、慶応大の小林節教授は「国民のためと言うが、憲法で拘束を受ける政治家が権力をハンドル(操作)しやすくするためのトリックだ」と指摘。小林氏は改憲派の憲法学者だが、九六条の改憲には反対した。
民主党の桜井充政調会長も「私は改憲派だが、九六条は維持すべきだ。政権政党は必ず過半数を持っているので、いつでも発議権を持つことになる」と賛同。護憲派の映画監督、想田和弘氏は「権力の暴走を防ぐ安全装置の一つを解除することに等しい。人間は間違うことがあるから、効率より安全性を重視するべきだ」と述べた。
主催者によると、九六条の改憲を目指す自民党と日本維新の会は、討論会の参加要請に応じなかった。