たとえその行為が不適切だとしても、議員辞職勧告決議案は、民主主義の否定です。
なぜならば、多数派により少数派を排除してよいという論理に通じるからです。
もし、この手法が取れると考える国会議員がいるなら、そのひとこそ、民主主義をわかっていません。
以下、沖縄タイムスにもご指摘のように、「この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない」ということに同感です。
自民党の憲法改正草案では、天皇を「元首」に位置づけ、政治利用する意図が見えているため、あわせて議論していただきたいものです。
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*現行憲法
(天皇の地位と国民主権)
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
*自民党改憲草案
(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
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<自民党改憲草案が、天皇を政治利用する意図があると見える根拠は、以下。>
日本が壊されぬように。 日本国憲法第1条ー自民党改憲草案の問題点 象徴天皇制を否定するのか
日本が壊されぬように。 日本国憲法第2条ー自民党改憲草案の問題点 国会の議決を絶対略すな
日本が壊されぬように。 日本国憲法第3条ー自民党改憲草案の問題点 違和感、なぜ3条に?
憲法4条 自民党改憲案問題点:これまた大事な条文の条ずれ/「のみ」を略している!天皇の非政治化を否定?
憲法5条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案7条には、同6条3項も準用する規定を置くべきでは?
憲法6条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案6条1項で内閣と最高裁の規定を一緒くたになぜ?
憲法7条 自民党改憲案問題点:天皇の「国事行為」や「公的行為」が安易に拡大される危険性あり。
憲法8条:皇室財政を皇室自立主義から国会中心主義に転換。「国会の議決」の文言のままでよいのでは?
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http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-11-03_56119
社説[山本議員「直訴」]辞職要求はやり過ぎだ
沖縄タイムス 11月3日(日)9時27分配信
園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参院議員(無所属)のとっぴな行動が、問題になっている。
閣僚や自民党幹部からは「議員辞職もの。政治利用そのものだ」(下村博文文部科学相)などと厳しい処分を求める意見が噴出、野党からも批判の声が相次いだ。
山本議員の手紙は、東京電力福島第1原発事故による子どもの被ばくや、作業員の労働環境の現状を記したもので、当の本人は「実情をお伝えしたいという気持ちがあふれ出た」と釈明している。
日本国憲法は第4条で天皇の地位について「国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定める。これを受けて第7条は、国事に関する行為について具体的に10項目を列記している。天皇の国事に関する行為はすべて、内閣の助言と承認が必要だ。
国会議員が政治家として、天皇に対し、政治的問題についての手紙を渡すことは、天皇を政治の場に引き込む恐れのある行為である。
思慮分別を欠いた軽率な行動だという批判は免れない。
それにしても、市民派として脱原発を訴えて当選した新人議員のやむにやまれぬ行動が天皇への直訴だったことを、どう考えればいいのだろうか。民主主義への絶望が天皇直訴という手段を選ばせたとすれば、戦後憲法は根付いていないことになる。
直訴は天皇の政治利用に当たり議員辞職は当然だ-と主張する強硬派議員の言い分にも強い違和感を感じる。
■ ■
天皇の政治利用に関する規定は憲法にも他の法律にもなく、どのような行為が天皇の政治利用に当たるか、あいまいだ。
安倍政権は、サンフランシスコ講和条約が発効した日にちなんで、4月28日、天皇・皇后両陛下を招いて「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開いた。沖縄にとって「4・28」は、日本本土の主権回復と引き換えに、沖縄に対する一切の統治権を米国に委ねた日である。
そのような事情を考慮して歴代政権は式典開催を避けてきた。
それなのになぜ、安倍政権は沖縄の強い反対を押し切って式典開催に踏み切り、天皇・皇后両陛下を招いたのか。
時の政権は、政治的主張や施策のために天皇の権威を利用することを厳に慎まなければならない。それが、憲法の趣旨だ。
この際、あらためて政府や政党に問いたいのは、山本議員の行動と、天皇の「4・28式典」出席と、どちらが天皇の政治利用度が高いのか、という点である。
■ ■
自民党の中には、議員辞職勧告決議案を提出すべきだとの意見もあるようだ。
国会として、議長による注意、けん責処分を検討するのは理解できるが、山本議員は、主権者である国民の信を得て参院選に当選した議員である。辞職要求は議論の走りすぎであり、議員辞職する必要はない。
この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない。
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最終更新:11月3日(日)9時27分
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日本が壊されぬように。 日本国憲法第1条ー自民党改憲草案の問題点 象徴天皇制を否定するのか
8月1日から、自民党改憲草案(日本国憲法改正草案 平成24年4月27日http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf )を一日一条ずつ、その問題点を考えていきたいと思います。(8月31日までで、31条を終わらせるのをひとつの目標とします。31条まででも、日本国憲法の重要な基本部分はカバーできます。)
自民党改憲草案は、日本の危機を感じさせる案です。「自民党壊憲草案」というひとがいましたが、申し訳ないですが、言い得ていると思います。
日本国憲法96条改正を主張するような勉強不足の政治家、法律を知らない政治家に、日本を絶対に壊されたくない思いです。
一小児科医師として、また、法律を学ぶ一法科大学院生として、不偏不党の立場から、憲法学の視点をもって分析をして行きます。自分の憲法学のベースは、故芦部信喜先生です。
日本を守りたい一心で、一日一条ずつ進めたいと思っています。まだまだ学ぶ過程の初学の身であり、考えが至らぬ点は、ご指摘をいただけましたら幸いです。
なお、自民党改憲草案の口語訳は、http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1372.html を参照させていただだくことを考えています。この場を借り、感謝申し上げます。
では、まず、第一章天皇 一条から
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*現行憲法
(天皇の地位と国民主権)
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
*自民党改憲草案
(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
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自民党改憲案では、いきなり、「元首」の登場です。
自民党による元首としたことの説明は、以下。
「Q4 「日本国憲法改正草案」では、天皇を「元首」と明記していますが、これについてどのような議論があったのですか?
答
憲法改正草案では、1 条で、天皇が元首であることを明記しました。
元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します。明 治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していました。また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。
したがって、我が国において、天皇が元首であることは紛れもない事実ですが、それ をあえて規定するかどうかという点で、議論がありました。
自民党内の議論では、元首として規定することの賛成論が大多数でした。反対論とし ては、世俗の地位である「元首」をあえて規定することにより、かえって天皇の地位を 軽んずることになるといった意見がありました。反対論にも採るべきものがありました が、多数の意見を採用して、天皇を元首と規定することとしました。」
(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7ページhttp://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf)
自民党内の議論が足りていないと思います。
現行憲法で、「象徴」という言葉を選んだのは、「「象徴」とは、法的に特定的な意味を持たない言葉であり、憲法制定時の議論からは、国民が天皇の権力性を「必要以上に」考えるおそれがないよう、あえてそのような言葉が選択された」(貴族院帝国憲法憲法改正案特別委員会9・11国務大臣・金森徳次郎)ことがうかがわれます。
憲法学者芦部信喜先生も、「わが国では、元首という概念自体が何らかの実質的な権限を含むものと一般的に考えられてきたので、天皇を元首と解すると、認証ないし接受の意味が実質化し、拡大するおそれがあるところに、問題がある。」(『憲法』5版 岩波書店 48ページ)と指摘されています。
認証:一定の行為が正規の手続で成立したことを公に証明する行為
接受:接見する事実上の行為
自民党改憲案では、「象徴」という言葉を「元首」に変えて、なんらかの実質的な意味を天皇に与えて行こうとする意図があるのではないかと考えます。
すなわち、明治憲法における天皇は、「統治権の総覧者であって、国家のすべての作用を統括する権限を有するとされた」(『憲法』5版 岩波書店 45ページ)わけですが、形式的・儀礼的な権能としての現在の象徴天皇制としての有り様から、明治憲法下の体制に時代を巻き戻したい意図でもあるのでしょうか?
もし、自民党に、そのような意図や、象徴天皇制を否定する意図があるなら、その必要性までわかりやすく、国民に説明すべきと考えます。
以上
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日本が壊されぬように。 日本国憲法第2条ー自民党改憲草案の問題点 国会の議決を絶対略すな
第二条はほぼ同じです。
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日本国憲法
(皇位の継承)
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
自民党改憲案
(皇位の継承)
第二条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
大日本帝国憲法
第二条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
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違いをみつけて下さいと言った場合、細かいことをいうと日本国憲法「世襲のものであつて」→自民党改憲案「世襲のものであって」と「つ」が小さな「っ」へと自民党改憲案では、現代口語体に表記が改められています。
わざわざ、現代口語体に近づけようと自民党改憲案は修正していますが、それが逆に自民党改憲案の格調のなさに影響をしているように、私は感じます。
さて、第二条は、皇位についての世襲制が定められています。
憲法上は、皇位継承者を皇男子孫とは規定されていませんが、皇室典範1条により、「皇統に属する男系の男子」たる皇族が皇位継承資格を有するものとされています。
逆に、女性が天皇であることを意味する「女性天皇」や、母方だけが天皇の血筋を引く天皇を意味する「女系天皇」については、現行制度上認められていません。
世襲制や男系男子主義を採用している点について、憲法学者の芦部先生は、「世襲制は、本来、民主主義の理念および平等原則に反するものであるが、日本国憲法は天皇制を存置するためには必要であると考えて、世襲制を規定したものであろう。そういう世襲制を憲法が認めている以上、女子の天皇即位を否定して男系男子主義を採用する(皇室典範1条)ことも、憲法14条の男女平等の原則の例外として許されることになる。」と説明されています。(『憲法』5版 岩波書店 46ページ)
現行の「皇室典範」全文を以下、掲載します。
皇室典範は、明治憲法の下では、議会の関与の及ばない、憲法と対等の地位にある独自の法規範(「皇室ノ家法」)でしたが(皇室自律主義)、日本国憲法においては、「国会の議決」によって定められる法律の一形式となり、その性格は大きく変わりました。
よって、今後、自民党改憲案においては、「国会の議決した皇室典範」の文章から、「国会の議決した」が省かれないかについて、注意して見て行かなければなりません。
******「皇室典範」全文*******
皇室典範
(昭和二十二年一月十六日法律第三号)
最終改正:昭和二四年五月三一日法律第一三四号
第一章 皇位継承
第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
一 皇長子
二 皇長孫
三 その他の皇長子の子孫
四 皇次子及びその子孫
五 その他の皇子孫
六 皇兄弟及びその子孫
七 皇伯叔父及びその子孫
○2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
○3 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。
第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。
第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
第二章 皇族
第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。
第七条 王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は、特にこれを親王及び内親王とする。
第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。
第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
第十三条 皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びその妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。
第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
○2 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○3 第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
○4 第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、これを準用する。
第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。
第三章 摂政
第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
○2 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
一 皇太子又は皇太孫
二 親王及び王
三 皇后
四 皇太后
五 太皇太后
六 内親王及び女王
○2 前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。
第十八条 摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えることができる。
第十九条 摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲ることがない。
第二十条 第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。
第二十一条 摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
第二十二条 天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする。
第二十三条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
○2 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。
第二十四条 皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。
第二十五条 天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。
第二十六条 天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。
第二十七条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する。
第五章 皇室会議
第二十八条 皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
○2 議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。
○3 議員となる皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、各々成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。
第二十九条 内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。
第三十条 皇室会議に、予備議員十人を置く。
○2 皇族及び最高裁判所の裁判官たる議員の予備議員については、第二十八条第三項の規定を準用する。
○3 衆議院及び参議院の議長及び副議長たる議員の予備議員は、各々衆議院及び参議院の議員の互選による。
○4 前二項の予備議員の員数は、各々その議員の員数と同数とし、その職務を行う順序は、互選の際、これを定める。
○5 内閣総理大臣たる議員の予備議員は、内閣法 の規定により臨時に内閣総理大臣の職務を行う者として指定された国務大臣を以て、これに充てる。
○6 宮内庁の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する宮内庁の官吏を以て、これに充てる。
○7 議員に事故のあるとき、又は議員が欠けたときは、その予備議員が、その職務を行う。
第三十一条 第二十八条及び前条において、衆議院の議長、副議長又は議員とあるのは、衆議院が解散されたときは、後任者の定まるまでは、各々解散の際衆議院の議長、副議長又は議員であつた者とする。
第三十二条 皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員及び予備議員の任期は、四年とする。
第三十三条 皇室会議は、議長が、これを招集する。
○2 皇室会議は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、四人以上の議員の要求があるときは、これを招集することを要する。
第三十四条 皇室会議は、六人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
第三十五条 皇室会議の議事は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、出席した議員の三分の二以上の多数でこれを決し、その他の場合には、過半数でこれを決する。
○2 前項後段の場合において、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第三十六条 議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には、参与することができない。
第三十七条 皇室会議は、この法律及び他の法律に基く権限のみを行う。
附 則
○1 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
○2 現在の皇族は、この法律による皇族とし、第六条の規定の適用については、これを嫡男系嫡出の者とする。
○3 現在の陵及び墓は、これを第二十七条の陵及び墓とする。
**************************
附 則 (昭和二四年五月三一日法律第一三四号) 抄
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
******************************************
日本が壊されぬように。 日本国憲法第3条ー自民党改憲草案の問題点 違和感、なぜ3条に?
8月3日の今日は、日本国憲法三条。
これまた大問題といいますか、3条に来て早々に、自民党改憲草案は、自己矛盾を起こしております。
**********
日本国憲法
〔内閣の助言と承認及び責任〕
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
自民党改憲草案
(国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
大日本帝国憲法
第三条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
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現行日本国憲法、自民党改憲草案、大日本帝国憲法とそれぞれの三条の内容が大きく異なるのがわかります。
自民党改憲草案は、なぜ、「天皇」の章にわざわざ、今までなかった国旗や国歌の規定を新設し、条ずれを起こすことを覚悟で、三条に規定をおいたのか、何か不自然さ、違和感を感じさせます。
自民党案として、第一章を「第一章 天皇」と題名をつけたのであれば、「天皇」に関わることのみで統一すべきであり、「国旗」「国歌」を入れたいのであれば、第一章の表題は、「第一章 天皇、国旗、国歌」とすべきです。自民党改憲草案は、三条にして早々に、自己矛盾を来していることになります。
それは、さておくとしても、第三条は、大きな問題点をはらんでおります。
〇1 国旗、国歌を憲法に規定することの是非
国旗、国歌を、憲法においても、わざわざ改正をして、新設すべきであるかどうか。
〇2 国旗、国歌を具体名まで出して規定することの是非
わざわざ、「日章旗」「君が代」の文言を出さずとも、規定をおけるのではないか。
「国旗及び国歌に関する法律」があるわけだから、「第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」のように、例えば、「国旗、国歌は、国旗及び国歌に関する法律により、これを定める。」でよかったのではないか。
〇3 国旗、国家を天皇の章の第三条に規定し、天皇の章に条ずれを起こすことの是非。
万が一、国旗、国歌の規定を新設すべきとしても、天皇の章に条ずれを来してまで、第三条に規定をすべきであるかどうか。
国家の形式面という点であれば、天皇の章に条ずれを起こすよりは、憲法の後半の方で規定をおけるのではないか。
〇4 憲法の本質に反する規定を第三条2項に置くことの是非。
憲法は、本質的には、現行憲法が規定(参照 〔憲法尊重擁護の義務〕第99条天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。)するように、権力側を縛るもの。
にもかかわらず、すでに3条2項から、自民党改憲案では、「日本国民は、・・・尊重しなければならない。」などと国民を縛る内容の規定においている点は、憲法の本来の趣旨に反し大いに問題がある。
3条2項で、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」という文言を置きたいのであれば、置けないこともないと思われるが、99条がすでにあるわけだから不要であろう。
自民党側の説明は以下。
「Q5 国旗・国歌及び元号について規定を置いていますが、これについて
どのような議論があったのですか?
答(国旗・国歌について)
我が国の国旗及び国歌については、既に「国旗及び国歌に関する法律」によっ
て規定されていますが、国旗・国歌は一般に国家を表象的に示すいわば「シン
ボル」であり、また、国旗・国歌をめぐって教育現場で混乱が起きていることを踏まえ、
3 条に明文の規定を置くこととしました。
当初案は、国旗及び国歌を「日本国の表象」とし、具体的には法律の規定に委ねるこ
ととしていました。しかし、我々がいつも「日の丸」と呼んでいる「日章旗」と「君が
代」は不変のものであり、具体的に固有名詞で規定しても良いとの意見が大勢を占めま
した。
また、3 条2 項に、国民は国旗及び国歌を尊重しなければならないとの規定を置きま
したが、国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のことであり、これによっ
て国民に新たな義務が生ずるものとは考えていません。」
(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7-8ページ)
自民党案は、「国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のことであり、」と述べられておりますが、だからと言って、「日の丸及び君が代を国民が尊重すべきであることは当然のこと」まで言いえるかは、別問題です。 先の太平洋戦争の経験により、日の丸及び君が代を尊重できない方々もおられることを考慮に入れて、規定に十分な配慮をすべきであるのではないかと考えます。
*****国旗及び国歌に関する法律(全文)**************
国旗及び国歌に関する法律
(平成十一年八月十三日法律第百二十七号)
(国旗)
第一条 国旗は、日章旗とする。
2 日章旗の制式は、別記第一のとおりとする。
(国歌)
第二条 国歌は、君が代とする。
2 君が代の歌詞及び楽曲は、別記第二のとおりとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(商船規則の廃止)
2 商船規則(明治三年太政官布告第五十七号)は、廃止する。
(日章旗の制式の特例)
3 日章旗の制式については、当分の間、別記第一の規定にかかわらず、寸法の割合について縦を横の十分の七とし、かつ、日章の中心の位置について旗の中心から旗竿側に横の長さの百分の一偏した位置とすることができる。
別記第一 (第一条関係)
日章旗の制式
一 寸法の割合及び日章の位置
縦 横の三分の二
日章
直径 縦の五分の三
中心 旗の中心
二 彩色
地 白色
日章 紅色
別記第二 (第二条関係)
君が代の歌詞及び楽曲
一 歌詞
君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで
二 楽曲
*************************************************
憲法4条 自民党改憲案問題点:これまた大事な条文の条ずれ/「のみ」を略している!天皇の非政治化を否定?
**************
日本国憲法
(天皇の機能の限界、天皇の国事行為の委任)
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
自民党改憲案
(元号)
第四条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。
(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
***************
日本国憲法で4条のところに、自民党改憲案では、元号の新設がなされて入れられています。
わざわざ、3条の君が代、日の丸の新設と共に、元号も、憲法に新設して、条ずれを起こしてまでも「第一章天皇」の第三条、第四条の大事な場所に規定を置くべきかは、大いに議論すべきところです。
現行の「元号法」と「元号を改める政令」を後掲します。
これら法律と政令だけでも十分であると思われるが、どのような理由から、憲法に規定を置くべきと、自民党側はお考えなのでしょうか。
自民党側の説明では、「(元号について)さらに、4 条に元号の規定を設けました。この規定については、自民党内でも特に異論がありませんでしたが、現在の「元号法」の規定をほぼそのまま採用したものであり、一世一元の制を明定したものです。」(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7-8ページ)
このような自民党の側の説明だけでは、なぜ、憲法にも、規定を置きたいと思ったのか、理由が伝わりません。
さて、自民党改憲草案では、日の丸と君が代、元号の規定に場所をとられ、追いやられる形になった憲法3条も4条もものすごく大事な規定です。
3条は、条の形から、項に格下げされ、6条4項に移動されました。
4条は、条ずれをおこし、5条に移動させられました。
こんな大事な条文を、なぜ、追いやるのかなと思います。
現行日本国憲法3条は、昨日8月3日にも取り上げたのですが、
日本国憲法
〔内閣の助言と承認及び責任〕
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
⇒天皇の国事行為は、すべて内閣の責任で行っており(内閣自身の責任であって天皇の責任を代位するものではない)、天皇の意思ではなされません(天皇の発意を禁ずる)。
日本国憲法
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
⇒天皇は、一切政治に関わらないことを、規定した、大事な条文です。
第2項は、臨時代行の規定。⇒後掲、「国事行為の臨時代行に関する法律」参照
自民党改憲草案では、実は、気を付けてみなければならないのですが、国政に関わらないとする重要な規定(天皇の非政治化)において、「のみ」の文言が落ちています。
「のみ」をとることのリスクのほうが大きくないかなと、気になるところです。
国事行為以外に、国会開会式における「おことば」、国内巡行、海外親善旅行、外国元首の接受といった、純粋な私的行為ではない行為を天皇はされていますが、それら行為の位置づけのために、「のみ」を取ったのかもしれませんが、「のみ」がないばかりに、あれもこれもと天皇の行為が拡大してくことを許す結果になりリスクの方が大きいと私は考えます。
自民党改憲案
(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
現行憲法4条1項と比較してください。「のみ」が落ちてます!!!
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