行政事件訴訟法は、是非とも、おさえるべき法律です。
その法律が、よりよくなったのが、平成16年改正。
国で、がんばって下さっているかたがおられるのだと思います。
よりよい形で、変わっています。使いやすさが増しています。
当たり前の方向で、変わっているとも思われますが、当たり前でなかったものを当たり前に変えるのも結構大変なのだと思います。
今回の非嫡出子の相続分の民法改正もようやくなされるのを見てみても。
*********『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)*********************
行政事件訴訟法の改正(平成16年)
改正の概要
上記行訴法改正は、国民の権利利益のより実効的な救済手続を整備する観点から、
①救済範囲の拡大、
②審理の充実・促進、
③行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備、
④本案判決前における仮の救済制度の整備を図るものである。
以下、項目ごとにその概要を説明する。
ア 救済範囲の拡大
(ア) 取消訴訟における原告適格の拡大
裁判所は、取消訴訟における原告適格の判断に当たり、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するなどの事項が定められた(行訴法9条2項関係)。
(イ) 義務付けの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める「義務付けの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条6項、37条の2、3関係)。
(ウ) 差止めの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすることを事前に差し止める「差止めの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条7項、37条の4関係)。
(エ) 公法上の法律関係に関する確認訴訟
当事者訴訟の一類型として「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が例示された(行訴法4条関係)。
イ 審理の充実・促進(釈明処分の特則)
裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、行政庁に対し処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出を求めること等ができることとされた(行訴法23条の2関係)。
ウ 行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備
(ア) 抗告訴訟における被告適格の簡明化
取消訴訟等の被告は、処分等をした行政庁から原則として処分等をした行政庁の所属する国又は公共団体に改められた(行訴法11条関係)。
(イ) 抗告訴訟の管轄裁判所の拡大
取消訴訟等につき、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所にも管轄を認め、また、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴えを提起することができることとされた(行訴法12条関係)。
(ウ) 取消訴訟の出訴期間の延長
取消訴訟の出訴期間は、処分又は裁決があったことを知った日から3か月とされていたのが6か月に延長された(行訴法14条関係)。
(エ) 出訴期間等の情報提供(教示)制度の新設
行政庁は、処分又は裁決をするときは、その相手方に対し、取消訴訟の被告とすべき者及び出訴期間等を書面で教示しなければならないこととされた(行訴法46条関係)。
エ 本案判決前における仮の救済制度の整備
(ア) 執行停止の要件の緩和
執行停止の要件である「回復の困難な損害」を「重大な損害」に改め、重大な損害を生ずるか否かの判断に当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされた(行訴法25条関係)。
(イ) 仮の義務付け及び仮の差止め制度の創設
一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第1項、第3項関係)。
また、一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第2項、第3項関係)。
行政事件訴訟実務研究会編『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)6頁より。
その法律が、よりよくなったのが、平成16年改正。
国で、がんばって下さっているかたがおられるのだと思います。
よりよい形で、変わっています。使いやすさが増しています。
当たり前の方向で、変わっているとも思われますが、当たり前でなかったものを当たり前に変えるのも結構大変なのだと思います。
今回の非嫡出子の相続分の民法改正もようやくなされるのを見てみても。
*********『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)*********************
行政事件訴訟法の改正(平成16年)
改正の概要
上記行訴法改正は、国民の権利利益のより実効的な救済手続を整備する観点から、
①救済範囲の拡大、
②審理の充実・促進、
③行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備、
④本案判決前における仮の救済制度の整備を図るものである。
以下、項目ごとにその概要を説明する。
ア 救済範囲の拡大
(ア) 取消訴訟における原告適格の拡大
裁判所は、取消訴訟における原告適格の判断に当たり、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するなどの事項が定められた(行訴法9条2項関係)。
(イ) 義務付けの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める「義務付けの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条6項、37条の2、3関係)。
(ウ) 差止めの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすることを事前に差し止める「差止めの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条7項、37条の4関係)。
(エ) 公法上の法律関係に関する確認訴訟
当事者訴訟の一類型として「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が例示された(行訴法4条関係)。
イ 審理の充実・促進(釈明処分の特則)
裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、行政庁に対し処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出を求めること等ができることとされた(行訴法23条の2関係)。
ウ 行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備
(ア) 抗告訴訟における被告適格の簡明化
取消訴訟等の被告は、処分等をした行政庁から原則として処分等をした行政庁の所属する国又は公共団体に改められた(行訴法11条関係)。
(イ) 抗告訴訟の管轄裁判所の拡大
取消訴訟等につき、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所にも管轄を認め、また、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴えを提起することができることとされた(行訴法12条関係)。
(ウ) 取消訴訟の出訴期間の延長
取消訴訟の出訴期間は、処分又は裁決があったことを知った日から3か月とされていたのが6か月に延長された(行訴法14条関係)。
(エ) 出訴期間等の情報提供(教示)制度の新設
行政庁は、処分又は裁決をするときは、その相手方に対し、取消訴訟の被告とすべき者及び出訴期間等を書面で教示しなければならないこととされた(行訴法46条関係)。
エ 本案判決前における仮の救済制度の整備
(ア) 執行停止の要件の緩和
執行停止の要件である「回復の困難な損害」を「重大な損害」に改め、重大な損害を生ずるか否かの判断に当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされた(行訴法25条関係)。
(イ) 仮の義務付け及び仮の差止め制度の創設
一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第1項、第3項関係)。
また、一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第2項、第3項関係)。
行政事件訴訟実務研究会編『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)6頁より。