北海道新聞社説がご指摘のように、特定秘密保護法案は、廃案にするしか道はないと思います。
良識ある国会議員の皆様に、ぜひ、廃案にしていただくよう、見守りたいと思います。
世論も、大勢が反対している中、強引に進めるのは、世論無視もはなはだしい。
国会議員ご自身の活動範囲(国政調査権行使など)さえ制限しかねない法案を、なにを好んで賛成させるというのか。
世論とかい離した、国会議員、政党、政権は、選ばぬようにしたいものです。
*******北海道新聞*************************
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/505687.html
社説
廃案にするしか道はない 特定秘密保護法案(11月22日)
政府が指定した機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案をめぐる自民、公明両党と日本維新の会、みんなの党との修正協議が合意し、法案は4党の賛成で26日にも衆院通過、今国会で成立の見通しとなった。
修正はわずかで、法案の骨格は全く変わっておらず、政府が恣意(しい)的に秘密の範囲を広げて国民の「知る権利」や報道の自由を侵害する恐れが極めて強い。
安倍晋三政権が外交・安全保障の司令塔と位置づける日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設法案も週明けに参院本会議で採決され、与党と民主党などの賛成多数で可決、成立する見通しだ。
秘密保護法まで成立すれば、国の命運を左右するような重要方針が国民の知らないうちにNSCで秘密裏に決められてしまう恐れがある。
国民主権や基本的人権の尊重という憲法の原則を踏みにじる秘密保護法の成立が、将来に禍根を残すのは間違いない。国民の懸念を真摯(しんし)に受け止め、速やかに廃案にすべきだ。
■名ばかりの修正決着
維新との修正協議では、原案で定めがなかった特定秘密の指定期間の上限を60年とした。
期間が長すぎる上、7項目にわたる幅広い例外を設けている。政府の判断次第で永久に秘密にしておけることに変わりはない。
また付則で、5年間、特定秘密を保有しない省庁は指定権利を失うとしたが、省庁側が権利を守るため不要な秘密指定をする可能性が高い。しかも、指定の必要が生じた場合は指定機関に復帰もできる。
みんなとの協議では、「首相の第三者機関的観点からの関与を明確にする」として、首相が閣僚に対し、特定秘密の指定や解除を適切に行っているかを監視し、改善を指示できる指揮監督権を明示した。
だが、閣僚を率いる首相が「第三者機関的観点」に立てるはずはなく、数十万件に上るとみられる秘密を首相1人でチェックするのは物理的にも不可能だ。
いずれも修正の名に値しない。
■国会や司法にも影響
法案は知る権利や報道の自由侵害以外にも多くの重大な欠陥がある。
中でも問題なのは、憲法が保障する国会の国政調査権行使に支障が出かねないことだ。
法案は行政機関の長が国会に特定秘密を提供する場を非公開の秘密会に限定している。しかも「国の安全保障に著しい障害を及ぼす恐れがない」場合に限られ、「及ぼす恐れがある」と判断すれば提供を拒める。
提供するかどうかを決めるのはあくまでも行政の側だ。
議員が秘密を漏らせば最高5年の懲役が科せられるため、特定秘密について党内で議論したり有識者の意見を聞いたりすることもできない。
これでは国権の最高機関という国会の地位を脅かし、行政を監視することが難しくなってしまう。
刑事裁判で、検察側には特定秘密の提供を認める一方、被告や弁護士には認めていないのも問題だ。
ある人が、特定秘密を入手はしなかったものの、漏えいをそそのかしたとして起訴された場合、被告・弁護側は秘密の内容を知らないまま争うことになる。
憲法が保障する刑事裁判の適正手続きや裁判の公開に抵触し、被告の人権が守られない恐れがある。
特定秘密を扱う公務員や民間企業の従業員らに課される適性検査はプライバシーの侵害につながる。
本人の犯罪歴や海外渡航歴、酒癖、借金の有無などが調べられ、家族や同居人にまで調査が及ぶからだ。
こんな欠陥法案を3週間足らずの審議で衆院通過させるなど論外だ。
■反対の世論なぜ無視
法案に反対する世論は日増しに広がっている。
各種世論調査では反対が賛成を大きく上回り、法曹界、有識者、ジャーナリスト、市民・労働団体なども相次いで批判の声を上げている。
だが4党はこうした世論に聞く耳を持たないようだ。
法案は官僚による情報の独占を許し、中央官庁の権益拡大をもたらす。地方分権推進を掲げる維新の会にとっても、官僚支配打破が旗印のみんなの党にとっても、決して許してはならない法案のはずだ。
安易な妥協で与党に採決の口実を与えるとすれば責任は重大で、与党の補完勢力と言われても仕方がない。野党としての筋を通すべきだ。
かつて自民党はもっと世論に敏感で、党内に多様な意見が存在していた。国会議員の手足を縛る法案に異論が出ないのは、自民党議員が思考停止に陥っているからではないか。
公明党は当初、法案に慎重姿勢だった。「知る権利」などが法案に盛り込まれたことから賛成したが、その後の国会審議では知る権利が脅かされることがはっきりした。
いまの国のかたちを根本から変えてしまう悪法である。衆院採決を前に、4党の議員にはこの法律を本当に成立させていいのか、もう一度真剣に考えてほしい。
良識ある国会議員の皆様に、ぜひ、廃案にしていただくよう、見守りたいと思います。
世論も、大勢が反対している中、強引に進めるのは、世論無視もはなはだしい。
国会議員ご自身の活動範囲(国政調査権行使など)さえ制限しかねない法案を、なにを好んで賛成させるというのか。
世論とかい離した、国会議員、政党、政権は、選ばぬようにしたいものです。
*******北海道新聞*************************
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/505687.html
社説
廃案にするしか道はない 特定秘密保護法案(11月22日)
政府が指定した機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案をめぐる自民、公明両党と日本維新の会、みんなの党との修正協議が合意し、法案は4党の賛成で26日にも衆院通過、今国会で成立の見通しとなった。
修正はわずかで、法案の骨格は全く変わっておらず、政府が恣意(しい)的に秘密の範囲を広げて国民の「知る権利」や報道の自由を侵害する恐れが極めて強い。
安倍晋三政権が外交・安全保障の司令塔と位置づける日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設法案も週明けに参院本会議で採決され、与党と民主党などの賛成多数で可決、成立する見通しだ。
秘密保護法まで成立すれば、国の命運を左右するような重要方針が国民の知らないうちにNSCで秘密裏に決められてしまう恐れがある。
国民主権や基本的人権の尊重という憲法の原則を踏みにじる秘密保護法の成立が、将来に禍根を残すのは間違いない。国民の懸念を真摯(しんし)に受け止め、速やかに廃案にすべきだ。
■名ばかりの修正決着
維新との修正協議では、原案で定めがなかった特定秘密の指定期間の上限を60年とした。
期間が長すぎる上、7項目にわたる幅広い例外を設けている。政府の判断次第で永久に秘密にしておけることに変わりはない。
また付則で、5年間、特定秘密を保有しない省庁は指定権利を失うとしたが、省庁側が権利を守るため不要な秘密指定をする可能性が高い。しかも、指定の必要が生じた場合は指定機関に復帰もできる。
みんなとの協議では、「首相の第三者機関的観点からの関与を明確にする」として、首相が閣僚に対し、特定秘密の指定や解除を適切に行っているかを監視し、改善を指示できる指揮監督権を明示した。
だが、閣僚を率いる首相が「第三者機関的観点」に立てるはずはなく、数十万件に上るとみられる秘密を首相1人でチェックするのは物理的にも不可能だ。
いずれも修正の名に値しない。
■国会や司法にも影響
法案は知る権利や報道の自由侵害以外にも多くの重大な欠陥がある。
中でも問題なのは、憲法が保障する国会の国政調査権行使に支障が出かねないことだ。
法案は行政機関の長が国会に特定秘密を提供する場を非公開の秘密会に限定している。しかも「国の安全保障に著しい障害を及ぼす恐れがない」場合に限られ、「及ぼす恐れがある」と判断すれば提供を拒める。
提供するかどうかを決めるのはあくまでも行政の側だ。
議員が秘密を漏らせば最高5年の懲役が科せられるため、特定秘密について党内で議論したり有識者の意見を聞いたりすることもできない。
これでは国権の最高機関という国会の地位を脅かし、行政を監視することが難しくなってしまう。
刑事裁判で、検察側には特定秘密の提供を認める一方、被告や弁護士には認めていないのも問題だ。
ある人が、特定秘密を入手はしなかったものの、漏えいをそそのかしたとして起訴された場合、被告・弁護側は秘密の内容を知らないまま争うことになる。
憲法が保障する刑事裁判の適正手続きや裁判の公開に抵触し、被告の人権が守られない恐れがある。
特定秘密を扱う公務員や民間企業の従業員らに課される適性検査はプライバシーの侵害につながる。
本人の犯罪歴や海外渡航歴、酒癖、借金の有無などが調べられ、家族や同居人にまで調査が及ぶからだ。
こんな欠陥法案を3週間足らずの審議で衆院通過させるなど論外だ。
■反対の世論なぜ無視
法案に反対する世論は日増しに広がっている。
各種世論調査では反対が賛成を大きく上回り、法曹界、有識者、ジャーナリスト、市民・労働団体なども相次いで批判の声を上げている。
だが4党はこうした世論に聞く耳を持たないようだ。
法案は官僚による情報の独占を許し、中央官庁の権益拡大をもたらす。地方分権推進を掲げる維新の会にとっても、官僚支配打破が旗印のみんなの党にとっても、決して許してはならない法案のはずだ。
安易な妥協で与党に採決の口実を与えるとすれば責任は重大で、与党の補完勢力と言われても仕方がない。野党としての筋を通すべきだ。
かつて自民党はもっと世論に敏感で、党内に多様な意見が存在していた。国会議員の手足を縛る法案に異論が出ないのは、自民党議員が思考停止に陥っているからではないか。
公明党は当初、法案に慎重姿勢だった。「知る権利」などが法案に盛り込まれたことから賛成したが、その後の国会審議では知る権利が脅かされることがはっきりした。
いまの国のかたちを根本から変えてしまう悪法である。衆院採決を前に、4党の議員にはこの法律を本当に成立させていいのか、もう一度真剣に考えてほしい。