政治の主役は、あくまでひとです。
AIに支配されるようなことは、あってはならないし、AIというブラックボックスを検証可能なものとしたうえで、うまく付き合い、効率化の手段として役立てていかねばなりません。
昨年、11月の第4回中央区議会定例会で、保育園選考に当たり、AIを導入し選考作業の時短をすべきことや、AI技術者を区の専属職員として雇用することを提案しました。
AIとうまく付き合うことで、区民サービスは、必ずや向上するはずであるし、時間・コスト・労力を省くことで、省庁内の働き方改革につながるはずです。
**********日経新聞20190211****************
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41080150Y9A200C1TCR000/
AI政治がやって来る 論説フェロー 芹川 洋一
改革の手段となるか
核心 2019/2/11 2:00
好むと好まざるとにかかわらず人工知能(AI)の時代がやって来る。いちばん縁遠いと思われている政治の世界も決して例外ではない。政治(ポリティクス)にもAIなどの科学技術(テクノロジー)を活用する「ポリテック」。政策立案から立法、選挙まで、すでにさまざまな動きが出始めている。
ことしは4月の統一地方選、7月の参院選と政界に新しい人材が入ってくる年。AIを理解し使える政治家が出てくれば、政策の決め方がかわり政治の見える化がすすんで「AI政治改革」につながる可能性をひめている。
もちろんそこには考えなければならない点がいくつもある。たとえばAIによって導き出された政策をだれがどうチェックするのかといった技術論や運用論から、みんなで議論しながら合意をつくっていく民主主義のそもそも論にいたるまで、けっこうむずかしい問題をはらんでいる。
こんどの統一地方選で地域政党「AI党」が旗あげする。代表をつとめるのは東京都多摩市に住む松田道人氏(45)。大手のIT企業や外資系企業につとめ、20年間IT業界にかかわってきた。
多摩市、八王子市、港区などの市区議選でAI党の候補者が出馬する予定だ。
AIを駆使することで「しがらみのない公正な政治」「未来に向けた施策をスピードをもって実行」「情報を蓄積しノウハウを貯め、次世代につなげる」が党のかかげるスローガンだ。
松田氏は2018年4月の多摩市長選に出馬、「人工知能が多摩市を変える」とAI市長実現を訴えたが、あえなく落選した。市議会の議事録をAIに読みこませて、議会でよく使われる言葉を可視化して政策立案に役立てようなどと主張した。
「AIと政治は相性が良い」というのが持論だ。「予算の配分にしても行政の業務にしても人間が絡むからゆがんでくる。AIをつかえばデータが残り、政策決定は検証可能になる。有権者の意見も政治家を中抜きで行政に届く」とAI政治の効用を説く。
選挙でそうした訴えがどこまで有権者の理解を得るかは別にして、政策立案ではすでにAIをつかった実証実験が始まっている。よく知られているのが京都大学と日立製作所による「2050年に日本は持続可能か」をテーマにした政策提言だ。この先、地方分散型にカジを切らなければこの国は持ちこたえられなくなるというのが柱で、長野県は連携して政策を考えようとしている。
行政にいかそうとする例としては富士通が開発した、AIを使った保育所の入所選考がある。滋賀県草津市や東京都港区などで導入する計画が進んでいる。
行政の現場から政策の立案、そして決定へとポリテックの波が広がりつつある。
そこでAI政治がどこまで及んでいくかがこれからのポイントだ。
『AIと憲法』(日経新聞出版社)の共著者で「AIと民主主義」の章を執筆している帝京大の水谷瑛嗣郎助教(32)に聞いてみた。
「ニュージーランドのAI政治家『SAM(サム)』が話題になっているが、実際にチャットで会話してみて実用化はまだまだ遠いと感じた」というように、AI議員が生身の人間の議員を議論で打ち負かし、政治的な勝利をおさめていくというのは、なおSF小説の世界だ。
当面は「AIにサポートされる政治」がテーマになるとして次のように指摘する。
「AIを使う政治家が出てきて、これまでに積みあげてきたデータを読みこみ、新しいパターンや未来予測をもとに政策を打ち出すようになるのではないか」
「そうなると、より精緻な政策立案が可能になり、最適解が求めやすくなるかもしれない。不透明な人間関係や利害関係ではなくエビデンス(証拠)にもとづいた政策決定で有権者の信頼を得るようになるだろう」
AIによる政策決定過程の変革に関しては、期待できるということのようだ。
しかしその場合、特定の企業や外国で設計されたAIを使うことに問題はないのか。AIの設計段階から民主的にコントロールする必要が出てくるはずだ。AIの分析結果を政治家に「翻訳」して説明する専門的な機関や人材をどう育成していくのかも考えなければなるまい。
ちょっと先の話かもしれないが「AI立法」ができるとすれば、立案過程でどのようにチェックし、批判的に吟味していくのかも課題になる。
与党の事前審査制はどうするのか、野党はAIで対案を出していくのか……AIのAIによる監視になるのだろうか。立法権がAIに移らないよう統制していく制度のあり方も検討しなければならないに違いない。
利害を調整しながら合意を見いだし、かりに間違ってもみんなで決めたことだからそこからまたやり直そうとするのが民主主義。そのあり方に、はたしてAI政治はなじむのかどうかだ。人間の感情と欲望がないまぜになった権力闘争の場である政治の世界にAIがどんなふうに絡んでくるのかも見通せない。
ただ人間の能力を超えるAIが登場する時代が来るというのだから、映画『2001年宇宙の旅』みたいに人工知能が反乱をおこす事態を避けるためにも、今から頭の体操を始めておいて悪くはない。
金曜日、お時間のあるかたは、ぜひ。
******中央区HP********