移転阻止の直接的な効果(移転差止め)までは判決自体では生まないけれども、誤った築地市場移転の政策を正すために、三つの裁判の原告のひとりをやってきました。
小池氏に都知事が変わったのに、前回の裁判(2016年11月17日東京地方裁判所703号法廷)でも、都側の弁護士の態度が変わっていないのがとても気になっていました。
本日の小池氏の会見記事を読み、驚きとともに、希望を見出しています。
この裁判がやって来れましたのは、市場関係者そして都民を守るために、手弁当で弁護くださった弁護士の先生方(準備書面参照)のご努力のおかげです。
心から感謝申し上げます。
ちなみに、次回は、2017年2月9日午後15時~東京地方裁判所703号法廷です。
↑
日程が決まり次第、お知らせいたします。
******************
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H6R_Q7A120C1000000/
小池知事、石原氏の責任「改めて検証」 豊洲移転
2017/1/20 14:40
東京都の小池百合子知事は20日の記者会見で、築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転に関連し、移転決定時に知事を務めていた石原慎太郎氏の責任を求める住民訴訟について、「石原氏に責任はない」としてきた従来の対応方針を見直す考えを示した。
住民訴訟は2012年に仲卸業者らが東京地裁に起こした。都が豊洲市場の土地を578億円で取得したのは違法な公金支出にあたるとして、都が石原氏に全額の返還を請求するように求めた。
小池知事は会見で、都の訴訟代理人を変更し、新たな訴訟対応特別チームを設置し、事実関係を改めて明らかにする考えを示した。
小池知事は現時点では、石原氏に責任があると決定したものではないとしつつ、「検証を改めてし直したい」と述べた。
******************
裁判資料より、原告団の弁護士の先生方
業界紙、日刊食料新聞の抜粋の続き。
以下、築地市場の豊洲への移転は、ありえないことを確信させる記事です。
前回20170117に続き、掲載します。
豊洲移転をたとえ、食品問題ではあってはならない偽装表示を東京都はしていると断じています。
*****日刊食料新聞 20170117*******
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/906f7754090224d6fe5a5caa9eede5a4
*****日刊食料新聞 20170119*******
小学校を拠点に、高齢者サロン。
以下、記事にも述べられています。
政策の形にできないか、考えていきたい視点です。
*************
******朝日新聞*********
(ニッポンの宿題)老いるニュータウン 藤村龍至さん、石橋尋志さん
2017年1月6日05時00分
高度経済成長期、ニュータウンは夢のマイホームの舞台として憧れの的でした。国土交通省によると、大小合わせて全国に2009あり、開発区域を合わせると大阪府とほぼ同じ面積になります。でも、造成開始から数十年がたち、街も人も老いてオールドタウンと揶揄(やゆ)されるところもあります。ふるさとがこの先も輝き続けるために、何ができるでしょう。
■《なぜ》ムダな縦割り、経営の発想を 藤村龍至さん(建築家、東京芸術大学准教授)
ニュータウンでは、日本全体の問題が先行して起きてきました。高齢化、人口減少、空き家、医療・介護サービスの不足、そしてコミュニティーの空洞化。この国の未来の縮図といえます。
1960年代後半から80年代にかけて、人口が増えていた時代に、都市部の住宅不足を解消しようと、短期間に一斉開発されました。同じ世代や属性の人たちが集中して入居したので、人口構成が偏ってしまった。開発から40年、50年経てば、住民は一斉に高齢者になります。病院も介護施設も高齢者であふれようとしています。
旧日本住宅公団(現UR都市機構)が開発した大規模のものばかりがクローズアップされがちです。もちろん高齢化しているところはありますが、規模が大きいぶん、開発主体のURさえその気になれば、投資も呼び込めるし、再生もしやすい。
一方、民間が開発した小規模から中規模のニュータウンは深刻です。戸数でいえば1千~5千戸くらいで、戸建てと集合住宅が混在している。開発主体が撤退し、頼る相手がいない。投資を呼び込もうとしても、規模が小さくて採算がとれない。
住民は、「いずれ自治体が手をさしのべてくれるのでは」「企業が参入してくれるのでは」と漠然と期待するだけで、何をしていいかわからない。不動産事業者も、開発が終わったニュータウンにはあまり目を向けようとしません。
*
これからは、地域を効率的に「経営」していく発想が求められますね。課題は、縦割り行政のために、地域の福祉、市民自治、教育など住民サービスの区分けがずれていることです。それぞれが別々の論理で動き、どうしてもムダが多くなる。まず、区分けを一致させることが重要です。
埼玉県鶴ケ島市のある地区では、住民組織が中心になり、小学校区をもとに福祉、自治会、教育を連携させる動きがあります。住民が集まりやすいのは小学校です。福祉の区分けと学区を一致させれば、校舎の一角に高齢者が利用できるサロンのような場所をつくり、地域福祉の拠点として活用できます。
公共施設の配置も重視するポイントです。活動拠点を地域の中にばらばらにつくるのではなく、どの地域にもある小学校や中学校に、教育、福祉、自治会活動などの拠点をできるだけ多く集約する。ニュータウンとほぼ同じころにつくられた小中学校は、建て替え時期を迎えているものが多くあります。施設の再配置を包括的に考える、最適のタイミングです。戦略的に建て替えを進めていくべきでしょう。
いまは人口減の時代、既存のインフラを活用することが原則です。開発時に集中投資した質の高いインフラを、地域全体で考え、リノベーションをする。一方で、開発が終わったニュータウンには空いているまとまった土地が少なく、広い福祉施設をつくるのは難しい。住民の「居場所」となるコミュニティーカフェなどを少ない予算でつくることも現実的です。
*
69年に開発を推進する第二次全国総合開発計画が策定され、72年には田中角栄の「日本列島改造論」が出版されました。あれから、半世紀が経とうとしています。最近は都市問題といっても地方の商店街の話題が多く、都市圏の住宅地のことはあまり議論されていません。地域の「経営戦略」を書き換える時期に来ています。
この国の政策課題が集中するニュータウンの経営という「宿題」を解決できれば、そのノウハウは市町村、さらには日本全体にも応用できるはずです。
(聞き手・尾沢智史)
◇
ふじむらりゅうじ 1976年、東京生まれ。埼玉県のニュータウンで育つ。建築の設計・批評、都市マネジメントなど多方面で活躍。
都市計画決定において、盛り土をすると約束をしておきながら、その盛り土なしの地下空間をもった建物であっても、「検査済証」が出されること自体に驚いていました。
さらに、建物の耐震性が「市場問題プロジェクトチーム(PT)」で議論の途中であるのに、「検査済証」が出されていたのですね。
地下水の試料採取は、2016年11月下旬から12月1日遅くても12月6日で、そのデータは、1ヶ月もあれば出ている頃。
地下水汚染の都民への発覚(2017年1月14日)前に、検査済証(2016年12月28日)を出したいという都の意思が、見え隠れしないでしょうか?
*****************日刊ゲンダイ20170118**************************
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/197734/1
市場PTメンバー激怒 議論半ばの耐震性に都が「安全証明」
2017年1月18日
専門家の議論を待たず、シレッと「安全証明」を“強行”だ。敷地内の地下水から環境基準の最大79倍の有害物質が検出され、豊洲市場は大炎上中だが、建物の安全性の問題もいまだくすぶっている。
実は、暮れも押し迫る昨年12月28日、建物の安全性確保と、建築基準法に適合することを証明する「検査済証」が、こっそりと発行されていた。都は12月9~13日に、敷地内の建物全ての検査を同じく都に申請。建築指導課などの検査を受け、法に適合することが証明された。
しかし、建物の安全性については、小池知事からの委託を受けた外部有識者からなる「市場問題プロジェクトチーム(PT)」が現在、審議を継続している。盛り土がなされず建物地下に空間がある状態での「耐震性」について、昨年10月の第2回会議で問題視。PTは当時、「再度、専門家の間での議論を待つ」と結論を先送りしたのである。
その後、この問題を最初に提起した構造設計1級建築士・高野一樹氏と専門家の間で、議論は一切、交わされていない。
都の役人は“消えた盛り土”問題でも、土壌汚染対策専門家の「盛り土せよ」との提言を骨抜きにしていた。建物の耐震性についても、結論が出る前に「安全証明」をゴリ押しすれば、専門家の議論なんて必要なくなる。なぜ、こんなデタラメがまかり通るのか。都の見解はこうだ。
「PTの小島敏郎座長に状況説明した上で手続きを進めました。専門家同士の議論で、建物地下が空洞でも安全であることが(昨年11月の)第3回会議で確認でき、十分尽くされたものと考えています」(新市場整備部)
■「まだ懸念は残っている」
本当に議論は十分に煮詰まっているのか。PTのメンバーで、建築エコノミストの森山高至氏はこう憤る。
「いつの間にか検査済証が発行されたことに、大変驚いています。『地下空間がある状態での耐震性』の問題については、第2回PT会議で議題になってから、直近の第4回会議でも安全性を証明する数字が示されず、まだ懸念が残っています。都からの明確な返答を待っている状況なのです。このようなことが通ってしまえば、PT全体の審議が崩れることにもなってしまいます」
都はPTメンバーへの報告を怠っているのだからフザけている。少しでも開場を急ぎたいのかもしれないが、コソコソとしたやり方は絶対通用しない。
********************************
築地市場移転問題を最も取材されてきたジャーナリストの一人、木村氏の業界紙の記事、本日日刊食料新聞2017.01.17。
この記事から伝わってくるのは、築地市場の豊洲への移転は、2017年1月14日の第9回モニタリング検査結果によって、消滅したということです。
私も、これまでのモニタリング調査結果の検証をすることが、最も大事なことではないかと考えます。
なおモニタリング調査会社名は、本日産経新聞に掲載されていました。
<検査会社 産経新聞2017.01.17>
ちなみに、本日の報道における、検査業者の見解
豊洲新市場、経緯からするとH25.9.30入札の頃には、「盛り土なし」で地下1階なり建物の性質が記載されるべきところ、いまだに、盛り土有りの形で、記載続けらているように読めます。
H25盛り土が有りの前提で、入札していませんか?
なお、東京都の地下ピット資料⇒ http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/expert/01/05_1.pdf
<経緯>
建築確認、検査済証も盛り土有り?
土壌汚染対策後になされる2年間のモニタリング。
最終の第9回で、異常値が多数出されました。
その市場関係者を呆れさせたデータを抜粋致します。
まず、考えるべきは、土壌汚染対策がなされたのにも関わらず深刻な土壌汚染が残っていることの可能性。
そして、いままでの第1回から第8回までが、データの取り方に誤りがなかったかの検証をすることではないでしょうか。
もちろん、これら異常値がどのように推移するかも見ていく必要がありますが…
土壌汚染が深刻な場所に、移転はありえません。
東京都が市場認可を申請しても、農林水産省は認可をしないでしょう。
<ベンゼンの平面的広がり>
<シアンの平面的広がり:注、シアンは検出されてはなりません。>
<ヒ素の平面的広がり:自然由来だけではないことがわかります。>
<ベンゼンの5街区(青果卸・仲卸棟)での時間的な検出経過:今回の第9回で、多くの場所で、検出がなされています。>
<ベンゼンの6街区(水産仲卸棟)での時間的な検出経過:今回の第9回で、多くの場所で、検出がなされています。>
<ベンゼンの7街区(水産卸棟)での時間的な検出経過:今回の第9回で、多くの場所で、検出がなされています。>
<ベンゼンの検出の経過>
<シアンの検出の経過>
<ヒ素の検出の経過>
<水銀の検出の経過>
<鉛の検出の経過>
以上
築地移転問題についての14日開催第4回専門家会議を受けて、翌日1月15日の各紙の報道。
築地市場で働かれている関係者が、どのように受け止められているかを知る材料になればと考えます。
このような状況で、移転を望んでいないことがわかるのではないでしょうか?
*******朝日新聞**********
http://digital.asahi.com/articles/ASK1G5HWYK1GUTIL01B.html
豊洲市場の地下水、突然の悪化なぜ 専門家「経験ない」
2017年1月15日14時24分
環境基準の最大79倍にのぼるベンゼン、シアン、ヒ素――。東京都の豊洲市場の地下水検査の最終結果で、これまでにない有害物質の数値が明らかになった。「あまりにもショッキング」「これでは移転はできない」。専門家は戸惑い、業者は憤りをあらわにした。築地市場からの移転はどうなるのか。移転を凍結している小池百合子知事は「想定を超える数値が出た」と述べ、より慎重に判断する考えを示した。
14日午後、築地市場(中央区)の講堂で東京都の専門家会議が開かれた。
硬い表情の都の担当者が、豊洲市場予定地の地下水の検査結果を説明した。
「(今回、有害物質の数値が)急激に上がっているところが、多々あります」
「理由はわかりづらいところであります」
市場関係者らは、静かに資料に目を落とした。
地下水検査は2014年に始まった。今回が9回目の発表だ。過去1~7回は全201カ所の観測地点で、ベンゼンやヒ素などが環境基準値以下だった。
昨年9月に公表された8回目で、初めて基準の1・1~1・9倍のベンゼンとヒ素が3カ所で検出された。それでも、平田健正・座長(放送大学和歌山学習センター所長)は「健康に影響するものではない」との見解を示していた。
それが一転、基準を超えた場所が72地点に拡大し、ベンゼンは最大79倍、本来検出されてはいけないシアンは初めて検出された。
突然の「変化」に、委員たちは戸惑いを隠さなかった。
平田座長は「あまりにも今までと傾向が違う。こういう経験は今までにない。どう評価をすればいいか分からない」と述べた。駒井武・東北大学大学院教授も「あまりにもショッキングな状況」と語った。
何が起きたのか。駒井氏は、地下空間にたまった水を排水する「地下水管理システム」が原因ではないかと推測する。8回目の検査結果が公表された後、同システムが本格稼働しており、「水質に変化を与えたのでは」という見方だ。
ただ、今回の結果が委員たちに伝えられたのは4日前。この日はこれらの数値を「暫定値」と扱い、あらためて調査し直すことで一致するしかなかった。
専門家ですら「経験がない」「理解できない」という急激な数値の変化。都によると、1~8回までに関わった複数の調査会社とは異なる会社が、初めて担当した。平田座長は、再調査の際に会議の委員が立ち会うこと、検査に複数の業者を入れることなどを提案した。
ベンゼン79倍をどう評価すればいいのか。
元日本環境学会長の畑明郎(あきお)・元大阪市立大大学院教授は「相当のガソリン臭がするレベル。大地震で液状化が起きて地下水が噴き出せばパニックになる」と話す。一方、専門家会議の内山巌雄・京都大名誉教授は、飲むわけではないので健康に影響はないとし、液状化が起きても「この程度なら大気中に拡散するので問題ない」と話す。
平田座長も「安全面で影響はなく、値自体は大きな問題とは思わない。ただ、必要な安心につながるかチェックしたい」と述べ、安全性よりも、「安心」の問題であることを強調した。
■仲卸「驚きよりあきれた」
専門家会議の質疑応答の冒頭。真っ先に手を挙げたのは、築地市場協会の伊藤裕康会長(82)だ。
「7回目までの調査と(基準を超えた)8、9回目で何が違うのか。大変驚いている。早くきっちりした実態をつかんで頂きたい」
平田座長は「僕もつらい。改めて推移を調べていくとしか言えない」と答えるしかなかった。
水産仲卸「山治」の山崎康弘社長(47)は「驚きよりあきれた」と話す。
「今のままじゃ移転はできない。いくら都が豊洲に6千億円をかけたから移転しろと言っても、僕らには関係ないし、絶対に妥協はしない。僕は安心して魚を売りたいだけなんだ」
この日の専門家会議は、2回の質疑応答を含めて4時間半に及んだ。
水産仲卸の宮原洋志さん(65)は、会議の休憩時間に仲間の業者と顔を見合わせて、「これはもう豊洲はないな」とつぶやいた。
「移転に比較的前向きだった人からも、『これじゃ行けない』との声が出てきた。今回の結果で、豊洲は『行きたくない市場』から『行っちゃいけない市場』に変わってしまった」
15歳から築地で水産仲卸を続ける野末誠さん(79)は「日本の魚文化を支える東京の魚市場の恥を、世界中にさらしてしまった」と憤る。かつて仕事で滞在したイタリアでは、「TSUKIJI」ブランドに寄せられた絶対的な信頼に、幾度も感動した。「築地の行く末は世界も注目している。都は未来に悔いを残さぬ判断を」と語った。
干物などを扱う水産仲卸の男性(63)は「驚きより、またか、とあきれる思いの方が強かった」。周辺には、移転延期に持ちこたえられずに廃業した仲間もいる。「最終結果でようやくたどり着いた事実は重い。小池さんはぎりぎりまで調査を尽くし、慎重に判断してほしい」
まぐろが主体の水産仲卸社長(69)は「移転問題が長引けば、豊洲に多額の投資をした業者がさらに追い詰められる」と心配する。
区画が手狭な豊洲への移転に備え、築地にいる今から店舗の権利を買い増した業者も多い。
「今さら転売も難しく、既存店舗から離れて営業もできない店を複数維持する負担は、補償対象になるかどうか。中ぶらりんが続く残酷さを、今度こそ都はしっかり認識すべきだ」
◇
〈ベンゼン〉 無色透明な液体で、化学製品の基礎的な原料としてよく使われる。地下水の水質汚濁に関する環境基準は1リットル当たり0・01ミリグラム。揮発性が高く、長期間吸い込むと血液のがんである、白血病を引き起こす可能性がある。
〈シアン〉 シアン化合物は強い毒性をもち、金属の精錬などに使われる。多くは水に溶けやすく、地下水の水質汚濁に関する環境基準は「不検出」。人体に一定量摂取すると頭痛やめまい、意識障害などを起こして死亡する場合もある。
〈ヒ素〉 毒性の強い元素で、殺虫剤や除草剤などの原料として世界中で使われてきた。地下水の水質汚濁に関する環境基準は1リットル当たり0・01ミリグラム。発がん性があり、無機ヒ素の致死量は成人では100~300ミリグラムとされる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12748241.html
(時時刻刻)豊洲市場、想定外の水質 急激悪化、専門家も困惑
2017年1月15日05時00分
環境基準の最大79倍にのぼるベンゼン、シアン、ヒ素――。東京都の豊洲市場の地下水検査の最終結果で、これまでにない有害物質の数値が明らかになった。「あまりにもショッキング」「これでは移転はできない」。専門家は戸惑い、業者は憤りをあらわにした。築地市場からの移転はどうなるのか。移転を凍結している小池百合子知事は「想定を超える数値が出た」と述べ、より慎重に判断する考えを示した。▼1面参照
14日午後、築地市場(中央区)の講堂で東京都の専門家会議が開かれた。
硬い表情の都の担当者が、豊洲市場予定地の地下水の検査結果を説明した。
「(今回、有害物質の数値が)急激に上がっているところが、多々あります」
「理由はわかりづらいところであります」
市場関係者らは、静かに資料に目を落とした。
地下水検査は2014年に始まった。今回が9回目の発表だ。過去1~7回は全201カ所の観測地点で、ベンゼンやヒ素などが環境基準値以下だった。
昨年9月に公表された8回目で、初めて基準の1・1~1・9倍のベンゼンとヒ素が3カ所で検出された。それでも、平田健正・座長(放送大学和歌山学習センター所長)は「健康に影響するものではない」との見解を示していた。
それが一転、基準を超えた場所が72地点に拡大し、ベンゼンは最大79倍、本来検出されてはいけないシアンは初めて検出された。
突然の「変化」に、委員たちは戸惑いを隠さなかった。
平田座長は「あまりにも今までと傾向が違う。こういう経験は今までにない。どう評価をすればいいか分からない」と述べた。駒井武・東北大学大学院教授も「あまりにもショッキングな状況」と語った。
何が起きたのか。駒井氏は、地下空間にたまった水を排水する「地下水管理システム」が原因ではないかと推測する。8回目の検査結果が公表された後、同システムが本格稼働しており、「水質に変化を与えたのでは」という見方だ。
ただ、今回の結果が委員たちに伝えられたのは4日前。この日はこれらの数値を「暫定値」と扱い、あらためて調査し直すことで一致するしかなかった。
専門家ですら「経験がない」「理解できない」という急激な数値の変化。都によると、1~8回までに関わった複数の調査会社とは異なる会社が、初めて担当した。平田座長は、再調査の際に会議の委員が立ち会うこと、検査に複数の業者を入れることなどを提案した。
ベンゼン79倍をどう評価すればいいのか。
元日本環境学会長の畑明郎(あきお)・元大阪市立大大学院教授は「相当のガソリン臭がするレベル。大地震で液状化が起きて地下水が噴き出せばパニックになる」と話す。一方、専門家会議の内山巌雄・京都大名誉教授は、飲むわけではないので健康に影響はないとし、液状化が起きても「この程度なら大気中に拡散するので問題ない」と話す。
平田座長も「安全面で影響はなく、値自体は大きな問題とは思わない。ただ、必要な安心につながるかチェックしたい」と述べ、安全性よりも、「安心」の問題であることを強調した。
■仲卸「驚きよりあきれ」
専門家会議の質疑応答の冒頭。真っ先に手を挙げたのは、築地市場協会の伊藤裕康会長(82)だ。
「7回目までの調査と(基準を超えた)8、9回目で何が違うのか。大変驚いている。早くきっちりした実態をつかんで頂きたい」
平田座長は「僕もつらい。改めて推移を調べていくとしか言えない」と答えるしかなかった。
水産仲卸「山治」の山崎康弘社長(47)は「驚きよりあきれた」と話す。
「今のままじゃ移転はできない。いくら都が豊洲に6千億円をかけたから移転しろと言っても、絶対に妥協はしない。僕は安心して魚を売りたいだけなんだ」
この日の専門家会議は、2回の質疑応答を含めて4時間半に及んだ。
水産仲卸の宮原洋志さん(65)は、会議の休憩時間に仲間の業者と顔を見合わせて、「これはもう豊洲はないな」とつぶやいた。
「今回の結果で、豊洲は『行きたくない市場』から『行っちゃいけない市場』に変わってしまった」
15歳から築地で水産仲卸を続ける野末誠さん(79)は「日本の魚文化を支える魚市場の恥を、世界中にさらしてしまった」と憤る。かつて仕事で滞在したイタリアでは、「TSUKIJI」ブランドに寄せられた絶対的な信頼に、感動した。「築地の行く末は世界も注目している。都は未来に悔いを残さぬ判断を」と語った。
まぐろが主体の水産仲卸社長(69)は「移転問題が長引けば、豊洲に多額の投資をした業者がさらに追い詰められる」と心配する。
区画が手狭な豊洲への移転に備え、店舗の権利を買い増した業者も多い。
「今さら転売も難しく、既存店舗から離れて営業もできない店を複数維持する負担は、補償対象になるかどうか。中ぶらりんが続く残酷さを、今度こそ都はしっかり認識すべきだ」
■小池知事「高い水準求められる」
築地から豊洲へ、市場は移転できるのか。
小池氏はこれまで、豊洲の主な建物の下に汚染土壌対策の盛り土がなかった問題に関する安全性の再評価と対策づくりなどを待って、早ければ6~7月に移転可否を判断する予定だった。必要な追加対策工事などを経て、最短で来冬にも移転が実現する行程表を昨年11月に示していた。
しかしこの日、小池氏の発言は一転した。
「かなり厳しい数字が出ている」
14日午前、小池氏は、塾長を務める政治塾で塾生たちにこう切り出し、「食の安全こそ守るべきで、何が必要か、もう少し調べようということになるかもしれない」と移転の判断が遅れることを示唆した。
また、「少なくとも生鮮食料品を扱う市場であることを勘案しなければならない。一般より高い水準を消費者が求めるのではないか」と述べ、「安心」の観点から、より慎重な判断が必要との認識を示した。
一方で、今回の地下水調査の結果を待つため、当初の移転計画を延期した昨年8月の自身の判断は、「きっちり最後までやってよかった」と振り返った。夏の都議選の「争点化」について問われると、自民党が主導してきた都議会を念頭に、「これまで(豊洲市場に)かかわってきたのが都議会。そういったことも避けられないのではないか」と述べた。
都幹部は「この先どういう形で移転を進められるのか、想像がつかない。専門家会議の科学的分析と、小池知事の政治判断に委ねるしかない」と困惑する。別の幹部は「移転断念はないとは思うが、早期に移転できる可能性は低くなった」との見方を示した。
■築地市場の豊洲移転をめぐる経緯
<1998年> 東京都が移転先の検討を開始。豊洲が有力に
<2001年> 東京ガス豊洲工場跡地の土壌から環境基準の1500倍のベンゼン検出。都が豊洲移転を決定
<08年> 土壌から環境基準の4万3千倍のベンゼン検出
<11年> 都が土壌汚染対策工事に着工
<14年> 汚染対策工事完了。舛添要一知事(当時)が「安全宣言」。都が豊洲市場開場を16年11月に決定
<16年8月> 初当選した小池知事が移転延期を表明
<12月~> 業者に上限1千万円のつなぎ融資
<17年1月> 地下水検査の最終結果で、環境基準の79倍のベンゼンなど72カ所で基準を超す有害物質を検出
■今後の行程(昨年11月公表)
<17年4月> 専門家会議の審議終了(想定)。業者への補償金の申請受け付け・支払い
<6~7月> 環境アセスメント審議。(アセスやり直しが不要の場合)小池知事が移転の可否を判断
<冬(最短の場合)> 豊洲へ移転?
************毎日新聞***********
http://mainichi.jp/articles/20170115/k00/00m/040/102000c
「これでは実験場だ」業者ら憤り
毎日新聞2017年1月15日 07時00分(最終更新 1月15日 09時31分)
東京都の豊洲市場(江東区)の地下水モニタリング調査で環境基準値を大幅に超える有害物質が検出されたことが公表された14日の専門家会議(平田健正座長)。歯切れの悪い説明が続き、会場の築地市場(中央区)講堂に詰め掛けた市場業者ら約100人は「これでは(市場ではなく)実験場だ」「都は信用できない」などと憤った。傍聴者の質問は途切れず、会議は4時間半に及んだ。
「暫定値」「慎重に調べる必要がある」と繰り返す都の職員や有識者に対して発言の口火を切ったのは、移転推進派の伊藤裕康・築地市場協会会長。「これまで(のモニタリング)は惰性でやっていたのか。『大丈夫だろう』と安易な取り扱いをしていたんじゃないか」と、環境基準内に収まっていた過去の結果を疑問視。「なぜこうなったか包み隠さず知らせてほしいが、都に言っても適当にやるに決まっている」と不信感をあらわにした。
移転に慎重な立場の水産仲卸、山崎康弘さん(47)も「(過去の結果に)改ざんがあったと疑われても仕方がない。(豊洲市場に)行った後にこの数字が出なくて本当に良かった」と皮肉を込めた。
業者以外の傍聴者が「築地の方が豊洲よりも食品衛生上のリスクは高い」「地上(の汚染)はないから引っ越しても問題ない」と意見を挟む場面も。
一方、業者のいらだちは専門家会議にも向けられた。ある男性は「我々も(再調査に)専門家を推薦すべきじゃないか。その上で(豊洲に)行けると言われれば、安心できる」と発言。別の男性が「市場として移る場所じゃない。あそこはいくら(調査を)やっても無理だ」と突き放すと、同調して「無理だ、無理だ」とつぶやく業者もいた。想定外の結果に都の職員は「これでは都民の安心や納得を得られない。どうしたものか」と頭を抱える。
会場を後にした伊藤会長は報道陣に、あくまで年度内の移転判断を求めるとした上で、「早く(今回の結果の理由を)解明してほしい。風評(被害)とはこういう中で出てくる」と述べた。山崎さんは「僕らは安心も含めて魚を売っている。この状況で知事が安心宣言なんてできない。ならば(豊洲に)行くべきでない」と訴えた。【林田七恵、平塚雄太】
「理由分からない」専門家会議
平田座長らが会議後に開いた記者会見の主な内容は次の通り。
平田氏 高い値が出たので、どう受け止めるかというのがある。これまで月1回開催してきた会議は来月休会にして調べ直す。理由が分からないので、私たち自身も調査に立ち会って改めて調べ、納得した説明ができるようにしたい。
--報告書のとりまとめは遅れるか。
平田氏 若干遅れると思う。
--見通しは。
平田氏 何とも申し上げられない。
--今回は暫定値。どう理解すればいいのか。
都の担当者 まだ確認中ということ。
--数値は信じられないということか。
平田氏 そういうわけではない。今までと大きくかけ離れているので、何が起こったか含め、検証したい。
--これまでと違う会社が調査した。数値が調査会社によって大きく変化することはあり得るのか。
平田氏 基本的には変わらないはず。ただ採水の仕方などはいろいろある。
--事前に検証した上で、ちゃんとした数値を出すべきではなかったか。
平田氏 本日に出すと告知しており、そのままの数値を出すべきだと考えた。オープンに行っている。
--過去の調査についても調べ直すのか。
平田氏 試料がないものもあるだろうし、そこまではできない。
**********東京新聞********
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017011590065818.html
【社会】
豊洲を都が再調査へ ベンゼン、基準の79倍検出
2017年1月15日 07時00分
東京都は十四日、築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)で行った地下水調査の結果、二百一の観測地点のうち七十二カ所で環境基準の七十九倍のベンゼンなど三種類の有害物質が検出されたと公表した。七十九倍は、二〇一四年から続く九回の調査で最大。調査は今回で終える予定だったが、土壌汚染対策を検討する専門家会議は再調査を決定。三月中に結果を公表する。小池百合子知事は今夏にも移転の可否を判断する意向だったが、遅れる可能性が出てきた。
環境基準を超えるのは、昨年九月に結果が公表された八回目に続き二度目。築地市場内で同日開かれた専門家会議で報告された。環境基準の三・八倍のヒ素も検出。検出されないことが基準のシアンも初めて確認された。八回目は三カ所で一・一~一・四倍のベンゼン、一・九倍のヒ素が検出されていたが、数値や地点数は大幅に増えた。
委員らは、地下水をくみ上げる「地下水管理システム」が昨年八月から稼働し、地下水に動きがあったことなどが一因と推測した。
しかし、平田健正(たてまさ)座長は「なぜ急激に上がるのか検証する必要がある」と指摘。近く行う再調査は、信頼性を担保するため、会議の委員が関与して実施する。
小池知事は昨年十一月に予定されていた移転を延期し、理由として地下水調査の最終結果が出ていないことを挙げていた。移転に向けた工程表では、今年四月に専門家会議の報告を受け、早ければ今年夏にも移転の可否を判断するとしていたが、平田座長は「(報告は)若干遅れる。何カ月というのは言えない」と述べた。
平田座長はまた、検出されたベンゼンなどについて地下水は飲用で利用することはないため人体への影響はないとしたが「豊洲ブランドへの影響の心配や、一般の消費者が納得してくれない点がある」と説明した。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017011490135809.html
【政治】
ベンゼン、基準の79倍 豊洲地下水の都最終結果
2017年1月14日 13時58分
築地市場(東京都中央区)が移転予定の豊洲市場(江東区)で都が実施している地下水調査の最終結果で、環境基準の七十九倍のベンゼンなどの有害物質が、二百一の観測地点のうち数十カ所で検出されたことが分かった。土壌汚染対策の検討のため十四日午後に築地市場内で開かれた専門家会議で、都が公表した。
基準を上回るのは、昨年九月に結果が公表された前回調査に続き二度目。ベンゼンの数値は前回の環境基準の一・一~一・四倍を大きく上回った。他の有害物質はヒ素やシアンで、検出地点も前回の三カ所から大幅に増えた。これまでの調査と比べ数値が急激に変化している地点が多いため、今回の結果は「暫定値」とし、専門家会議で対応を検討する。
小池百合子知事は昨年十一月に予定されていた市場移転を延期し、その理由として地下水調査の最終結果が出ていないことを挙げていた。十四日午前には自らの政治塾での講演で豊洲問題に触れ、「かなり厳しい数字が出ていると聞いている。今日から専門家に議論していただく。食の安全こそ守るべきだ。そのためにもう少し調べてみようということになるかもしれない」と述べ、慎重に判断する姿勢を示した。
調査は二〇一四年十一月から二年間の計画で行われ、十四日公表の九回目が最終となる。昨年九月に結果が出た八回目では、三カ所で環境基準の一・一~一・四倍のベンゼン、一・九倍のヒ素を検出。この際、専門家会議の平田健正(たてまさ)座長は「土壌汚染対策の実施後、汚染物質濃度が変動しながら低下していくのはよくある現象」と述べ、推移を注視する考えを示していた。
小池知事はこれまで、早ければ今夏にも移転の可否を判断し、移転時期を来冬以降とする工程表を明らかにしている。十三日には本紙のインタビューで「科学的に安全性を判断する」と強調していた。
<築地市場の移転問題> 築地市場の施設が老朽化し手狭になったことから、東京都は2001年、江東区の豊洲地区にある東京ガス工場跡地への移転を決定。土壌から高濃度のベンゼンなどの有害物質が見つかり、都は汚染物質を除去する対策を実施し、16年11月に豊洲へ移転すると決めた。だが、土壌や空気汚染への懸念などから、小池百合子知事は移転を延期。主要建物下に土壌汚染対策の盛り土がされていなかったことも判明し、豊洲開場は最短で今年末から18年春になるとしている。
(東京新聞)
********日経新聞******
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB14H0K_U7A110C1MM8000/
豊洲地下水、追加調査へ 築地移転遅れる公算
2017/1/15 0:37
東京都は14日、豊洲市場(江東区)の最終回の地下水モニタリング調査で、国の環境基準の79倍の濃度のベンゼンを検出したとの結果を公表した。安全性を検証する都の専門家会議は結果を受け、追加調査を実施することを決めた。早ければ2017年冬から18年春としてきた築地市場(中央区)の豊洲移転がさらにずれ込む公算が出てきた。
都は今回の結果を「暫定値」としているが、調査地点201カ所中、3分の1を超える72地点で環境基準を上回る有害物質を検出した。検出されたのは、ベンゼン、ヒ素、シアン。ベンゼンは環境基準の10倍を超えたのが6地点にのぼり、このうち青果棟では79倍の地点があった。ヒ素は最大で3.8倍だった。シアンは環境基準は「不検出」とされており、一連のモニタリング調査で初めて検出した。
モニタリング調査は全9回。都は昨年11月に市場を移転する予定だったが、小池百合子知事は調査が終わっていないことなどを理由に、昨年8月、移転延期を表明した。9回目の結果を見て、移転の可否や時期を判断するとしていた。
追加調査は複数回、実施する予定で、民間2社と都の機関の3者それぞれにより多重でチェックする。都の専門家会議は「3月には結果を公表したい」としている。
豊洲市場は東京ガスの工場跡地に立っており、かつて高濃度のベンゼンなどを検出した。都が土壌汚染対策を施し、14年からモニタリング調査を続けてきた。
都の調査は食の安全・安心を確保するための法律が定める対策を上回る任意調査。地下水の環境基準は飲み水に適用する基準で、豊洲では地下水を飲んだり、生鮮品の洗浄に利用したりはしない。ただ、地下水に含まれる有害物質が気化する可能性がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H7S_U7A110C1CC1000/
汚染どこまで、いらだつ市場関係者 豊洲地下水
2017/1/15 0:38
東京都の豊洲市場(江東区)の地下水モニタリング調査で、都が14日、最大で環境基準の79倍のベンゼンなどが検出されたと公表し、市場関係者に動揺が広がった。「なぜ、こんなに高い数値に」。専門家会議を傍聴した卸業者らからは、怒気を含む質問や意見が相次いだ。一層不透明になった「東京の台所」の先行きに、関係者は不安を募らせている。
「『豊洲の土は入れ替えた』と言っていたが、本当にきれいな土に替わっているのか」「安心な場所と言えない限りは移転すべきではない」。専門家会議が開かれた築地市場(中央区)内の講堂では、傍聴した市場関係者が次々と発言を求めて立ち上がった。
これまでの調査と桁違いの有害物質の数値に、専門家会議の平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)も「説明がつかないのでもう少し時間をください」と困惑気味。「責任を持って改めて調査したい」と答えるにとどめた。
会議の会場から出てきた鮮魚仲卸の山崎康弘さん(47)は「『ふざけるな』の一言だ」と憤りを隠さなかった。築地から豊洲への移転にはもともと慎重な立場だったが、今回の数値で築地にとどまる思いを新たにしたという。山崎さんは「この数値で消費者に安心と言ってもらうのは難しいのではないか。安全な場所で魚を売りたいという思いだけは絶対に妥協できない」と語気を強める。
マグロなどを主に扱う鮮魚卸の男性(51)は「やっぱり、というのが第一印象。当初予定通り、昨年11月に豊洲市場が開場していたらどうなっていただろう」と小池百合子都知事の移転延期の判断をあらためて評価した。ただ、既に豊洲市場内に営業場所を確保しているといい、「移転するかどうか知事は早く決断してほしい」と訴えた。
小池知事に年度内の移転可否の判断を求めている築地市場協会の伊藤裕康会長は「こんな数字が出て来たことは大変ショック」と戸惑いを隠せない様子。「専門家会議には一日も早く、急激に数値が上昇した原因を究明してほしい」と求めた。
青果卸で働く女性(44)は「また移転の見通しが立たなくなってしまった」とため息をつく。水産商社の社長は「日本人は口に入るものにとても敏感で、風評被害が心配。海外への悪影響も広がりかねない」と話した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO11704540U7A110C1NN1000/
豊洲、都議選の争点に浮上も 想定外の汚染拡大
2017/1/15 0:35
豊洲市場(東京都江東区)の地下水から環境基準を大きく超える有害物質が検出された。調査地点の3分の1以上という広範囲から検出するなど、過去8回の調査と比べ急激に悪化した。築地市場(中央区)関係者だけでなく、土壌汚染対策を検証する専門家会議、そして小池百合子知事にとっても想定外の事態となった。豊洲市場の移転問題が今夏の都議選の争点に浮上する可能性も出てきた。
専門家会議が開かれた築地市場の講堂。午後1時ごろ、9回目の調査結果が配られると、出席者から「驚いた」「こんなに……」などのざわめきがしばらく続いた。
過去1~7回の調査では全201地点で有害物質が基準を下回った。8回目は初めて基準値を超えたが、3カ所のみで、いずれも基準の2倍以内だった。桁違いの汚染状況に、専門家会議でも、平田健正座長(放送大和歌山学習センター所長)らが口々に「想定外」、「(要因分析に)時間がほしい」と漏らした。
「非常に範囲が広がっているうえ、基準値に比べて高い数値が出ている。想定を超えており、驚いた」。小池知事も14日、記者団の取材にこう話した。
知事は「科学的な分析を優先すべきだ」とみており、まずは大きな変動があった9回目の調査結果の検証が必要になる。
14日の専門家会議では「1回でこれだけ変化しているのは奇異に感じる」(京都大の内山巌雄名誉教授)との声が出た。東北大の駒井武教授は昨夏から稼働する地下水管理システムに言及。地下水をくみ上げた影響などで水圧や濁り方など「地下水の状態がかなり変わっている」との可能性を示唆したものの、明確な理由は分かっていない。
そのため同会議は追加で「細かい調査が必要」と判断、都に指示した。従来の3カ月に1回程度のペースから、月1回程度に頻度を高め、地下水の状況を詳しく調べる。
専門家会議は4月に豊洲市場の安全性についての報告をまとめる予定だったが、平田座長は「遅れる」との見通しを示した。複数回、調査するため、数カ月単位で遅れる可能性もある。これに伴い、市場の移転時期も大きくずれ込むことも想定される。長引くほど、市場業者に補償する金額は膨らむ恐れがある。
知事は今夏にも移転の是非を判断するとしてきた。築地市場関係者は今月12日、移転時期を16年度内に決めるよう要請。知事は「14日発表の最終的な地下水モニタリング調査次第だ」と述べ、移転の判断を前倒しする可能性も示していた。
小池知事は都議選で自らに近い勢力で過半数をめざすと表明している。選挙戦が本格化する前に移転を判断することで、賛否の割れる市場移転を争点にすることを避けるとの見方も出ていたが、もくろみが外れた格好になった。
今回の調査結果を受け、ある非自民の都議は「知事が夏の都議選前に豊洲移転を決断するのは難しくなった」とみており、別の都議も「移転は一層難しくなった」と語る。知事は14日、都議選で豊洲移転問題が争点化するかを記者団に問われて「そういうことも避けられないのではないか」との見方を示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H4E_U7A110C1000000/
「想定外で驚いている」 小池知事、モニタリング調査結果に
2017/1/14 14:12
東京都の小池百合子知事は14日、豊洲市場(江東区)の安全性を確認する9回目の地下水モニタリング調査で、ベンゼンなど環境基準を超える有害物質が検出されたことについて「想定を超える数値が出て驚いている」と述べた。都内で記者団に答えた。
築地市場(中央区)からの移転の可否を判断する時期については「(土壌汚染対策を検証する)専門家会議と、(移転問題全般を検証する)市場問題プロジェクトチームと、ダブルチェックできればと思っている。どのようなスケジュール感になるかは、その結果次第」との考えを示した。
**********読売新聞********
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170115-OYT1T50032.html
高濃度ベンゼン、「今になって」…関係者ら困惑
2017年01月15日 09時55分
東京・豊洲市場(江東区)へ移転するかどうかの判断材料となる都の地下水モニタリング(継続監視)で、環境基準の最大79倍のベンゼンなどが検出され、移転問題の先行きはますます不透明になった。
早期決着を望んでいた築地市場(中央区)の業者からは「今になってこんな事態になるとは……」などと戸惑いと不満の声が相次いだ。
モニタリングのデータが報告された専門家会議は14日午後0時半から築地市場の講堂で開かれ、用意された約120人分の傍聴席が市場関係者らで埋め尽くされた。調査地点201か所のうち72か所で有害物質が環境基準を上回ったことを示す資料が配られると、傍聴席がざわめいた。
都の担当者は資料説明のなかで、「データは暫定値として公表している」と繰り返し弁明。会議の座長を務める平田健正たてまさ・放送大学和歌山学習センター所長は「どう評価したらいいのか」と困惑の表情を浮かべた。
**********産経新聞********
http://www.sankei.com/life/news/170114/lif1701140060-n1.html
移転時期判断は? 専門家「食の安全に問題なし」、築地市場業者「消費者が納得しない」…有害物質検出で不透明さ増す
豊洲市場(東京都江東区)の地下水モニタリングをめぐり、基準値をわずかに超える有害物質を検出した昨年9月に比べ、数値が急上昇し検出地点も急増した14日公表の調査結果が、関係者に波紋を広げている。土壌汚染対策を検証する都の専門家会議は「食の安全に問題はない」とするが、築地市場(中央区)の業者は「消費者が納得しない。とても移転できない」と漏らす。小池百合子都知事が「想定を超えた」とした結果によりモニタリング継続も決まり、豊洲移転の先行きは不透明さを増す。
この日の専門家会議で座長の平田健正放送大和歌山学習センター所長は、有害物質が検出されたのが「あくまで地下水」と前置きし、食品を扱うのは地上のため「食の安全に問題はない」と説明。別の委員は、地下水が地表に出ても大気中で拡散するため、問題ない値としている。一方、平田座長は「安心につながるかということだ」とも述べた。業者や消費者の理解に向けて、基準超えの事実が高いハードルになり得る。
会議を傍聴した業者からは「移転後にこんな数字が判明しなくて良かった」との声が出た。当初は今回のモニタリング結果を待たず、昨年11月に豊洲が開場する予定だったからだ。
「われわれはばかにされている」。ある業者は、移転をせかしてきた都に憤る。小池氏に平成28年度内の決断を求めてきた築地市場協会の伊藤裕康会長も「ショックだ。一日も早く原因究明してほしい」と求めた。
移転先送りを決めた小池氏が昨年11月に公表した移転に関する工程表(ロードマップ)では、早くて判断時期を今夏、移転を今年末以降とした。ただこれは、今回の地下水モニタリング結果が良好だったことを想定したもの。環境影響評価(アセスメント)の結果、新たな土壌汚染対策が必要とされれば、知事の判断時期や移転は大幅に先送りされる。小池氏周辺は「前回くらいの数字ならまだしも、ここまでの数字だと判断への影響は避けられないだろう」と指摘する。
「食料品を扱う市場で、(安心安全の)基準は、一般的なものよりも高い水準を消費者が求め、事業者も求められる」。小池氏はこの日、報道陣に厳しい表情でこう語ったが、判断の時期は明言しなかった。
*************以上************
2017年1月14日は、昨年9月10日の「盛り土なし」を上回る衝撃的な事実があきらかになりました。
土壌汚染対策がきちんとなされていることを検証するためになされている2年間のモニタリング調査結果において、2年間としては最終の第9回モニタリング調査結果において、過去から指摘されていた土壌汚染物質、ベンゼン、検出されてはならないシアンなどが、いまだに残されている結果が報告されました。
通常ではない配布方法で、会議開催後、傍聴者にその検査結果報告資料が配付されました。
その後、会場の空気がいっぺんしました。
第8回までは、正常やほぼ検出されていなかった土壌汚染物質が検出される結果となっていることから、専門家からは、その第9回目の結果の検証をすることが必要という意見が出されました。
その検証においては、今まで、市場関係者がもとめていたクロスチェックによる検証がなされることとなりました。
議論においては、地上と地下で考え方を分けてはどうかという意見も出されていましたが、土壌汚染対策が破たんしていることは認めつつ、その対策は放置することが果たしてよいのか懸念されます。
ある都民やNPOのかたから、環境基準というものを考えた場合、たとえ地下に汚染物質があったとしてもその食品を食べて健康被害は起こりえないということの考え方を広く周知していけばどうかという趣旨の意見が出されました。その際、平田座長が、市場関係者にその考え方について意見を求めましたが、そのような考え方をすでにいれた上で議論していると一蹴された形になりました。
豊洲新市場は、生鮮食料品を扱う市場、そして、築地市場は、全国の市場の価格形成のもとになっている日本の基幹市場、基幹中の基幹市場になっていることからすると、これからも永遠に続くモニタリングの結果が、産物の価格形成に影響を与えてしまうのであって、市場建設はありえないと結論できると考えます。
市場関係者のひとりが、必死に訴えました。
「実験場で、仕事をしたくない。」
これが、築地のかたの本音だと思います。
築地市場の豊洲新市場への移転は、白紙撤回し、豊洲新市場は、卸売市場、学校、病院など環境基準を厳格に満たすことを要求される施設以外の何か別用途に転用できないか、真剣に考える時期に入ったと考えます。
明日は、第4回の専門家会議です。
豊洲新市場の盛り土なしの問題をはじめ土壌汚染問題について、科学的な議論がなされます。
*******毎日新聞2016/01/13*****
以下の東京都作成の経緯でわかるように、土壌汚染対策において必須の盛り土をなすということで、都市計画決定がなされ、そのことに従い、地下空間なしの計画で建築確認が、なされました。
ではなぜ、建築確認の内容と異なって、豊洲新市場は、地下空間のある建物となってしまっているのだろうか?
<環境影響評価書の内容を含め、都市計画決定(H23.7.29第7058号)がなされている>
<建築確認関連資料> 鉛筆手書きは、小坂による
築地市場移転問題、科学的にも法的にも移転を許すことができない理由。
1)環境アセスメント、環境影響評価法、環境影響評価条例
日経新聞の記事によると、「6月にも盛り土が無いことを踏まえた環境影響評価(アセスメント)の手続きに入る見通し。やり直しの場合は約15カ月を要する。」とあるが、環境影響評価条例違反は、重大であって、その環境影響アセスが、都市計画決定となっている以上、やり直し自体が、困難と言えないだろうか。
環境アセスメント 関連の図書(下の写真↓)。盛り土の提言が入ったこれら図書が、平成23年7月の都市計画審議会で提出され、盛り土がなされる市場として都市計画決定(議題7058号)がなされた。
都市計画決定の理由には、きちんと、「本都市計画による豊洲新市場建設事業の実施が周辺環境に与える影響については、東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価書のとおりであり、都市計画を定める上で支障がないと判断する。」と明記されている。
<都市計画決定の内容 原本のコピー 環境アセスが決定の「理由」として、都市計画決定の内容になっています。>
<環境アセスで約束された盛り土を含めた都市計画の内容>
<環境アセスメントの詳細な手続き>
<環境アセスの内容も含め都市計画決定が都市計画審議会においてなされます。>
2)卸売市場法
また、日経記事には、「一つは農林水産省の認可だ。同省は卸売市場法に基づき、生鮮食料品の中核的拠点として適切かなどを確かめて移転を認可する。同省が慎重に判断すれば、認可を得られるまで時間がかかる恐れもある。」とありますが、そもそも農林水産省は、「形質変更時要届出区域」での市場認可は、時間がかかるというよりは、「想定外」としています。
3)都市計画法、建築基準法http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/cf9e415384c5d2a52477e8b1c34f63dc
都市計画決定は、環境アセスメントを含めてなされておりhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/75ba9f8cd55bcc08573fe46a39369c77 、その決定に基づき、盛り土を含めた計画で、建築確認がなされている。建築確認と異なる盛り土なき建築物は、建築基準法上違法http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/e23fd382ed5e1786d02804f44140223aである。
4)土壌汚染対策法http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/92205123098f9bb270a6e887050772d1
水銀、ベンゼンの吸入暴露の可能性があり、「形質変更時要届出区域(土壌汚染対策法11条1項)」(もしくは、それ以上の指定「要措置区域(土壌汚染対策法6条1項)」の可能性もでてきたのでは?)という土壌汚染対策法で指定された区域への卸売市場開設は、ありえない。
*******土壌汚染対策法6条、11条******
(要措置区域の指定等)
第六条 都道府県知事は、土地が次の各号のいずれにも該当すると認める場合には、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該汚染による人の健康に係る被害を防止するため当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置(以下「汚染の除去等の措置」という。)を講ずることが必要な区域として指定するものとする。
一 土壌汚染状況調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと。
二 土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当すること。
2 都道府県知事は、前項の指定をするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の指定は、前項の公示によってその効力を生ずる。
4 都道府県知事は、汚染の除去等の措置により、第一項の指定に係る区域(以下「要措置区域」という。)の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなったと認めるときは、当該要措置区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の解除について準用する。
(形質変更時要届出区域の指定等)
第十一条 都道府県知事は、土地が第六条第一項第一号に該当し、同項第二号に該当しないと認める場合には、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該土地の形質の変更をしようとするときの届出をしなければならない区域として指定するものとする。
2 都道府県知事は、土壌の特定有害物質による汚染の除去により、前項の指定に係る区域(以下「形質変更時要届出区域」という。)の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなったと認めるときは、当該形質変更時要届出区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
3 第六条第二項及び第三項の規定は、第一項の指定及び前項の解除について準用する。
4 形質変更時要届出区域の全部又は一部について、第六条第一項の規定による指定がされた場合においては、当該形質変更時要届出区域の全部又は一部について第一項の指定が解除されたものとする。この場合において、同条第二項の規定による指定の公示をしたときは、前項において準用する同条第二項の規定による解除の公示をしたものとみなす。
**********日本経済新聞***************
膠着の豊洲移転、環境アセスがカギに 試練の小池都政
2017/1/6 7:00
5日、築地市場(東京・中央)で新春恒例の「初セリ」が行われた。場内は新春の華やかな雰囲気に包まれたが、水産卸、大都魚類の青木信之社長は厳しい表情で「新市場への移転時期が定まらず、われわれは混乱の中にある」と語った。
小池百合子知事が2016年8月末に築地市場の豊洲市場(同・江東)への移転延期を決定。同9月には建物の下に土壌汚染対策の盛り土が無く、地下空間が広がっていた問題が発覚した。
総事業費約5800億円を投じた豊洲市場への移転の行方には不透明感が漂う。ただ、小池知事は昨年11月の記者会見で「早ければ17年冬から18年春」に豊洲に移転する見通しを示した。17年は移転の道筋が再び開けるかが問われる。
第1の関門は、1月に公表される豊洲市場の地下水モニタリング調査の9回目の結果だ。土壌汚染対策の一環で約2年前から実施しており、9回目が最後。小池知事はこの調査を終えていないことを疑問視し、移転延期を決断しただけに「『錦の御旗』を簡単には降ろせない」(都議)。
調査結果は豊洲市場の地下空間の安全性を検証する専門家会議で精査し、4月をめどに報告書にまとめる。豊洲市場に関するプロジェクトチーム(PT)も、専門家会議の1カ月後をめどに報告書をまとめる。小池知事は「科学的な結果がベース」としており、専門家会議が豊洲市場の安全性をどう評価するかが移転判断に大きく響く。
専門家会議とPTの報告書がでそろうと、6月にも盛り土が無いことを踏まえた環境影響評価(アセスメント)の手続きに入る見通し。やり直しの場合は約15カ月を要するが、軽微な変更の場合は1~2カ月で済むとみられる。都庁内では「やり直しせずに対応できるのではないか」との見方もある。
ただ、小池知事が豊洲移転を決断したとしても、移転実現にはなお壁が残る。
一つは農林水産省の認可だ。同省は卸売市場法に基づき、生鮮食料品の中核的拠点として適切かなどを確かめて移転を認可する。同省が慎重に判断すれば、認可を得られるまで時間がかかる恐れもあり、築地関係者や都幹部の間で「最後の難関かもしれない」とささやかれている。
実際に移転する日を再び調整するのも簡単ではなさそうだ。
当初の移転日だった11月7日は年末商戦前で、市場の業者からは「都が『東京五輪の工事に間に合わない』と説明するので協力したが、引っ越したくない時期だった」との声も聞かれた。年末年始商戦を終えた18年冬も、路面凍結などを懸念する声がある。
これらの時期を避ければ、18年5月の大型連休が最も早い移転時期となりそうだ。
豊洲移転延期は「小池劇場」として都政が耳目を集める起点となった。知事就任から約5カ月が過ぎ、延期で生じた課題を解決する責任は重みを増している。豊洲移転問題をどう決着させるか、築地市場関係者だけでなく、多くの人々が注視している。
新聞の情報が、政府の都合のよい情報であって、与党の宣伝や世論誘導をするために掲載されることも多々あります。
その新聞の情報、政府の情報の根拠として、統計が用いられることもありますが、この統計自体が、都合のよい結論を出すために操作されていることも多々あります。
それら情報に、決して騙されないようにしなくてはならないと思います。
東京大学社会科学研究所教授佐々木彈氏の論説は、統計に騙されぬようにするためのひとつのよい参考になると考えます。
*******朝日新聞******
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12740846.html
■数字の虚実、見抜ける力を 佐々木彈さん(東京大学社会科学研究所教授)
かつて世界を制覇した英国の言語である英語が国際化時代の共通語とすれば、統計は「情報化時代の共通語」として、今後、ますます重要性が高まってくると思います。
情報の説得力や重さを裏打ちする根拠として、統計が引用されるからです。しかし、正確さや公正さなどの観点から見て、玉石混交です。
AI(人工知能)技術の進化で、翻訳ソフトや言葉のスペルチェック機能はかなり高度化しています。でも、統計の意味や真実を見抜くソフトは今世紀中でも開発は難しいでしょう。統計は人為的な産物で、思惑や目的を背景にできあがっているからです。当面は、統計を見る目を訓練して鍛えなくてはなりません。
しかし経済の専門家や役人たちのように、普段から接している人はともかく、統計は世間の人には縁遠いものかも知れません。このままでは、統計の虚実を見抜ける人と見抜けない人の格差は広がってしまう。そうした思いもあって、2010年から一般の人を含めて統計の使い方を考える公開講座を開いています。
「凶悪犯罪が増えている」などと説明されることがあります。根拠として、懲役5年以上に科せられた人の増加が挙げられる。しかし、法律が厳しくなって、かつて懲役5年以下だった犯罪が5年以上に変われば凶悪犯罪に計上される母数は増えるわけです。
どう考えても常識的にはあり得ない言説を、統計によって証明しようとする試みも後を絶ちません。
「二酸化炭素は地球温暖化などの環境変化を招かない」「たばこは肺がんの原因にならない」。特定のデータを取り上げ、主張するのに都合のいい統計をつくり上げた結果です。ナチスドイツによる優生学を道具にした人種政策も、劣悪な生活環境による疾病や寿命を人種のせいにした統計をつくり、収容所に入れ虐殺しました。
日本でも、歴代の政権は統計などの数字を政策の道具に使いたがります。とりわけ、現政権は「国内総生産(GDP)600兆円の達成」「希望出生率1・8の実現」などと様々な数値目標を出しています。
しかし、GDPはお金が動いた結果。人々の豊かさと必ずしも一致しません。公共事業で穴を掘って翌日埋めても、GDPは増える。これが借金の積み重ねの結果ならどうでしょう。豊かとは言えませんね。出生率も、子どもの貧困率の上昇の解決策に手を付けなければ、貧しい子どもを新たに生みだすだけです。
「情報化時代の共通語」がわからない人が増えれば、だまされたり好機を得られなかったりする人も増える。高校数学で統計教育を拡充し必修化させ、大学入試でも必ず出題するようにすべきです。
(聞き手・編集委員 駒野剛)
*
ささきだん 1966年生まれ。経済企画庁、米プリンストン大大学院などを経て2009年から現職。専門は法と制度の経済学。
〇風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
(昭和二十三年七月十日法律第百二十二号)
(許可の基準)
第四条
2 公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。
一 営業所の構造又は設備(第四項に規定する遊技機を除く。第九条、第十条の二第二項第三号、第十二条及び第三十九条第二項第七号において同じ。)が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
三 営業所に第二十四条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき。
〇風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例
昭和59年12月20日 条例第128号
(風俗営業の営業所の設置を特に制限する地域)
第三条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号。以下「法」という。)第四条第二項第二号の条例で定める地域は、次の地域とする。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域(以下「住居集合地域」という。)。ただし、法第二条第一項第四号及び第五号の営業に係る営業所については、近隣商業地域及び商業地域に近接する第二種住居地域及び準住居地域で東京都公安委員会規則(以下「規則」という。)で定めるものを除く。
二 学校、図書館、児童福祉施設、病院及び診療所の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲百メートル以内の地域。ただし、近隣商業地域及び商業地域のうち、規則で定める地域に該当する部分を除く。
2 前項の規定は、列車等常態として移動する施設において営まれる風俗営業に係る営業所については、適用しない。
(平八条例八四・平一〇条例一二三・平二八条例二・一部改正)
〇風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の施行に関する規則
昭和60年02月01日 公安委員会規則第1号
第2条 条例第3条第1項第2号ただし書の規則で定める地域は、次の各号の区分に従い、当該各号に掲げる区域とする。ただし、当該区域のうち、風俗営業の規制に当たり著しい支障があると東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)が認める区域を除く。
(1) 近隣商業地域
ア 大学、病院(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第15条第2項に規定する第一種助産施設を含む。以下同じ。)及び診療所(8人以上の患者を入院させるための施設を有するものに限る。)の敷地からの距離が50メートル以上の区域
イ 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第15条第3項に規定する第二種助産施設(以下「第二種助産施設」という。)及びアの診療所以外の診療所の敷地からの距離が20メートル以上の区域
(2) 商業地域
ア 学校(大学を除く。)、図書館及び児童福祉施設(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する助産施設を除く。)の敷地からの距離が50メートル以上の区域
イ 大学、病院及び診療所(8人以上の患者を入院させるための施設を有するものに限る。)の敷地からの距離が20メートル以上の区域
ウ 第二種助産施設及びイの診療所以外の診療所の敷地からの距離が10メートル以上の区域
2 前項の規定にかかわらず、近隣商業地域及び商業地域のうち、風俗営業に係る営業所が密集した区域で、特に風俗営業の規制に当たり支障がないと公安委員会が認めて告示する区域は、条例第3条第1項第2号ただし書の規則で定める地域とする。
(平14公委規則1・平28公委規則2・一部改正)
**********習志野市の例***************************
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12104625952?__ysp=44OR44OB44Oz44Kz5bqXIOi3nembouWItumZkA%3D%3D
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
(許可の基準)
第四条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
その政令が↓これ
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令」
(風俗営業の許可に係る営業制限地域の指定に関する条例の基準)
第六条 法第四条第二項第二号 の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 風俗営業の営業所の設置を制限する地域(以下「制限地域」という。)の指定は、次に掲げる地域内の地域について行うこと。
イ 住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域(以下「住居集合地域」という。)
ロ その他の地域のうち、学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他のその特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域
二 前号ロに掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合には、当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね百メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと。
三 前二号の規定による制限地域の指定は、風俗営業の種類及び営業の態様、地域の特性、第一号ロに規定する施設の特性、既設の風俗営業の営業所の数その他の事情に応じて、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること。
都道府県の条例が↓これ
「習志野市風俗営業等の規制に関する条例」
(目的)
第1条 この条例は、習志野市文教住宅都市憲章の精神に基づき、教育施設周辺の教育環境の向上と善良な風俗の保持を図るため、教育環境を阻害するおそれのある風俗営業等に対し、必要な規制および指導を加えることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 風俗営業等 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項に規定する風俗営業及び興行場法(昭和23年法律第137号)第1条に規定する興行場で規則で定めるものをいう。
(2) 教育施設 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条に規定する児童福祉施設(助産施設、母子寮及び児童厚生施設のうち児童遊園を除く。)をいう。
(3) 営業所 風俗営業等の用に供する家屋又は施設のうち、直接営業の用に供する部分をいう。
(風俗営業等の許可)
第3条 教育施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね200メートルの区域(以下「規制区域」という。)内に風俗営業等を営もうとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。
*大事な通達
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf#search=%27在宅医療ケアが必要な子どもに関する調査%27
*医療的ケア児の保育に関しての論文のひとつ
http://www.l.yamaguchi-pu.ac.jp/archives/2015/01.part1/03.nursing%20and%20human%20nutrition/05.nursing_SORATA.pdf#search=%27%E5%9C%A8%E5%AE%85%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%27