こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

翼閉ざして アリスの国の不思議

2006-10-06 00:00:00 | 未分類
山田正紀さん『翼閉ざして アリスの国の不思議』を読みました。

時代は学生運動の激しかった頃、瀬下綾香は右翼青年グループ『魁別動隊』に参加していた。
各国が領有権を主張している海鳥諸島を、日本の領土と主張するために、その中の一つ、
鳥迷島に上陸した。

上陸早々、綾香の友人伊藤紗莉が、断崖の上からわたしに突き落とされるのを海岸にいたわたしは見た。
少なくともわたしと同じ服装をした女性だった。
『魁別動隊』の仲間も同じ光景を目撃しており、いつ狙われるかもしれないか解らないので、
小さな小屋に閉じ込められることになった。

その後も次々起こる殺人事件。
わたしがやったのか?わたしはおかしくなったのか?

「アイデンティティの揺らぎ」とはよく言ったもので、読みながら平衡感覚を狂わされるような気分になりました。
ある言葉をうまく使って、読者に混乱をもたらしたわけです。
そして「眼鏡を外す事で見えるものがある」という言葉は、最後の犯人の感覚をうまく言い当てており、
目を見開かされた気分になりました。当たり前のことが、当たり前じゃないんだと。

福岡市立美術館『古代ローマ都市 ポンペイの栄光と悲劇』を見に行ってきました。

ヴェスヴィオ火山の19時間におよぶ噴火のため、豊かで幸福な時代を謳歌していた古代ローマの人々が、
死に絶えることとなりました。
様々な宝物、華やかな壁画と共に、死に絶えた人々の姿を型取りでリアルに再現しており、
その姿は痛々しいほどです。
せっかく海辺に到達したのに、波がおさまるのを待っているところに襲いかけられ
絶命した方々も多かったようです。
ポンペイが一番有名ですが、他にもエルコラーノ・オプロンティス・テルツィーニョ・モレージネが
被害にあっているようです。
華やかな時代を感じさせるだけに、その被害は痛ましさを感じさせられました。

コメント
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