上田早夕里さんの『ショコラティエの勲章』を読みました。
老舗の和菓子店<福桜堂>神戸支店に勤める絢部あかりは、短大を卒業して勤め始めた会社が
五年で倒産してしまい、父の働くこの店の手伝いをすることになった。
二軒先に一月初旬に新規オープンしたチョコレート店<ショコラ・ド・ルイ>は
バレンタインデーに向けて大繁盛だが、和菓子屋が洋菓子屋と同じことをやっても、
ちぐはぐな印象を与えるだけだ。
実際、若旦那のアイディアで作られたパステルカラーの練り霧など、常連客は見向きもしないし、
タウン誌の記事を見て訪れる若者は、たいてい一見さんで、定番の上生菓子を
買い続けてくれるわけではない。
和菓子屋に勤めていてもそこは女性、洋菓子も大好きであるあかりは、
たまたま<ショコレ・ド・ルイ>を訪れた日に起きた不可解な万引き事件をきっかけに、
ルイのショコラティエ・長峰と出会う。
和洋菓子をめぐるミステリが面白く、菓子職人の矜持も素晴らしいのですが、
人間関係があまり発展せず、いまだ平行線なのが物足りないです。
ぜひ、続きを書いていただきたいと思います。