笹本祐一さんの『複葉の馭者(バーンストーマー)』を読みました。
第一次世界大戦後のつかの間の平和な時代。
戦争中に速成教育されたパイロットが、終戦と同時にごっそり失業し、様々な空を飛ぶ仕事を始めた。
運送屋ファルコン・フライング・フェリーのジョニーもその一人。
平和に運送業だけやっていくはずだったのに、入ってくる仕事はアフリカから象を運んで欲しいとか、
疫病神の新聞記者ジェーンを乗せることになったり、ととんでもない事件に巻き込まれそうになる。
命がけのアクシデントを様々な機転で乗り切っていくジョニー。
のらりくらりとしているように見えて、結構頼りがいのある格好いい男です。
個人的には、ジョニーをアクシデントの中に追いやる仕事ばかり引き受けるレミイや、
特ダネのためになら命も売りかねないジェーンが、それを上回る格好良さを見せ付けてくれて憧れます。
あと、旧ソノラマ文庫版あとがきで書かれていた「一般大衆が何を着て何を食べ何が流行していたのか、
なんて世界史の本にはちっとも書かれていない」というのは同感です。
特に、近代史はいつも時間が足りずに教科書的なことでさえ学ぶことができないんですから。
日本で言えば、明治・大正の庶民の生活が本当はそんなものだったか、知りたいです。
とても面白かったです。