小林泰三さんの『天体の回転について』を読みました。
表題作の世界では科学が衰退しており、人々が知識を得ることは忌まわしいことだとされ、
大人に疑問を尋ねた子供たちは「そんなことを言っていると、科学者になっちまうぞ!!」と
叱られるのであった。
そんな中変わり者の主人公は、ある日、行ってはいけないとされている「妖怪の森」に入り、
人々には「天橋立」と呼ばれる建物でとびきり可愛い女の子と出会い、
宇宙への冒険の旅に出発した。
人類が、なぜそんなにも科学を憎むようになったのか?
核戦争?遺伝子操作?地球温暖化による気候変動と飢餓?
色々、想像してしまいます。
他にも、さまざまなバラエティに富んだ作品が並びますが、ロボット三原則の穴を見事についた「灰色の車輪」
男女の権利格差が逆転した社会を描いた「成功体験者」過去を盗まれてしまう「時空争奪」
他星を肉弾戦で征服するのを誇りとした宇宙人の地球侵略を描いた「三○○万」が面白く感じました。