京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 わずか1%、だけれど

2015年03月23日 | 講座・講演

(「お受戒」のあった大師教会の堂内。開始までは写真撮影が許可されました)

ほんの少し日常を離れ、高野山開創1200年を記念した春季特別講座に参加してきました。
講師は倍賞千恵子、鎌田實、五木寛之の三氏。静かに語りかける鎌田さん。これまで著書を読んだこともお話を聞いたこともありませんでしたが、自分が両親に捨てられたことから話は始まりました。拾ってくれた人は、心臓の悪い母親と、治療費を稼ぐために夜中まで働く父親でした。母を見ていて、医師を目指そうとするのですが「高校を出たら働け。勉強などしなくていい」と父親には受け入れてもらえません。「勉強がしたい」、思わず父親の首に手をまわしていたそうです。父の涙を見てようやく手を離した、と。「人の心には獣が棲んでいるんですね」「人は心を持っているんですね」。父親からは「好きに、自由に生きろ」と言うことばが出ました。
医師で作家の鎌田さん。長野県では地域住民とともに「健康づくり運動」を実践し、長寿日本一の県に。畑仕事やボランティア、生きがいを持つことが健康で暮らす秘訣のようです。「99%は自分のために生きても、1%はだれかのために生きませんか」とお話でした。

五木さんは「慈悲」ということばの「悲」に触れて「笑うことと同様、悲しむ・イタム気持ちを育てることが必要だ」と。「悲」の感情、「涙する」という感情が大切で、鬱から抜け出せるヒントになることをお話でした。人々の鬱、不安を取り除くのに宗教や寺の果たす役割は大きいと思うとも。


(リハーサル中です。)

21日夜、声明公演がありました。高野山に伝わるのは「南山進流声明」と呼ばれるそうです。通路の後方から二手に分けて登場。節をつけて歌い上げる仏教声楽。内容などわかるはずありませんが、素晴らしい声量、微妙な節の美しさ、ただ聞きほれた幸せな時間でした。

お彼岸の夕日が大門に当たる光景を見たいと願っていたのですが、午後の講演が16時30分に終わって17時からの夕食に間に合うように会場から離れた宿坊に帰らねばなりません。昼から日差しが出て、西日が壇上伽藍に差し込んでいるのを見ながらの帰路でした。大門へは宿坊を通り越してもう少し歩かなくてはならず諦めましたが、少々心残り…。
二日目は気温も上がって、コートなしで歩ける温かさに。日程は詰まっていましたが、宿坊での出会いにも驚きがあり、心安らぐ楽しい2日間を過ごしました。


コメント (4)
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