京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

人間は素晴らしい

2018年03月26日 | 日々の暮らしの中で

人間は素晴らしい。
この小さな身体のなかに、盛り上がる意欲が埋蔵されている。ためらいなどありはしない。誰の気を慮ることなく、あっちへこっちへ、ひとところにとどまらない身軽さで自信に満ちている。溝を前にしても突き進むから危険極まりなく、目は話せないが、刻む小さな小さな一歩がほほえましくてならない。

 

土曜日に遊んだ時の写真を見ながら時にクスリと思い出し、名残を惜しんでいる。「すごいねーすごいねー。ルーくん、じょうずに歩けるねー」とただただこちらは笑顔になれた。誰もがこうした一歩を刻むことから始まって、遠く遥かな歩みをたどってきたのだな。

毎年のことなのに、この光景にはさすがに華やいだ気分に浮き立つ。開花情報を耳にし出すと、「うかうかしてはいられない」と人並みには今年の桜を尋ねてみたくなる。幼子の身軽さに学ぶとしよう。
上賀茂神社の御所桜と斎王桜(手前)。さくらは水辺を好むとかで、賀茂川沿いへも出てみた。



「京でよく見た白い花だけの染井吉野。これは日本でいちばん堕落した品種。花ばっかりで気品に欠けますわ」「本当の日本の桜というものは、花だけのものでなくて、朱のさした淡みどりの葉とともに咲く里桜が最高だった」「山桜が正絹やとすると染井はスフというとこですな」   『櫻守』より (水上勉)
まあそんなこと言わんと、この時節に乗るとしましょう。人にも花にも、二度と同じ時間は巡り来ないのだ。
コメント (10)
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