段ボールに詰めた絵本が何箱も残っていて、数日続いた梅雨の晴れ間を利用して一部を虫干ししていた。
いかにも古本のニオイが鼻をくすぐる。手触りの悪さを1枚1枚、各ページごとにふき取って、風を通していた。どれをとっても紙質の劣化はなく、黄ばみもほとんどない。30年以上経つが、今も読み継がれる作品ばかりだ。
傷みや汚れがもともと少ないので、きれいによみがえったのではないだろうか。
時間もあることだし点訳しようかと思っていたが、古いものは好まれないだろうか。ひとまず娘のところに声をかけてみることにしよう。
『このゆびとーまれ』はたちまち3歳児・ルーカスに喜ばれそうだ。
〈見つけたオニヤンマ。「ぼくのやで」「だれにもやらへんで」と追いかける。指先を回して、目を回せ~、目を回せ~と迫るが捕まえられない。ええこと考えつく。「ぼくが草になるんや」。そして、「このゆびとーまれ」〉