Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

有楽町で映画3本立て

2016-12-28 23:58:18 | 機内食・映画・美術展
このところとんと映画館にはご無沙汰してしまっていたが、観たい映画が出てきたので久しぶりで有楽町へ。
貧乏性なので見るのはサービスデー、しかも一気に3本立て。

まず一本目は日比谷シャンテで
 「マダム・フローレンス!夢見るふたり」 Florence Foster Jenkins

ものすごい音痴なのにカーネギーホールでリサイタルを開いてしまった大金持ちおばさんの話だが、この人の名前は小学生の頃に読んだギネスブックに出ていて覚えていた。たしか、世界一の音痴、ってどういう記録だ。

その超絶音痴まで自ら再現するメリル・ストリープが相変わらずのうまさで、その内縁の夫をヒュー・グラントがいかにも彼らしく演じるのだが、2人とも増えたしわまでチャーミングで、ハリウッド名物の無理な整形の跡がないのがいい。

この二人もいいがそれ以上にいいのが伴奏のピアニスト役のサイモン・ヘルバーグ。特にエレベーターの中で思い出し笑いをするところが傑作で、今年のアカデミーの助演賞はこの人が持っていきそう。

それにしてもこのお話し、リサイタルが開かれたのは1944年だそうで、こんな国と戦争したどこぞの国は身の程知らずにもほどがある。
大金持ちおばさんの衣装もすごくて、エンド・クレジットに衣装、ヘア・メークのスタッフがいつもよりずっと多いのが面白かった。

愛すべき小品で気持ちよく見られる一本。


この後はちょっと時間が開いたのでシャンテ地下の「ひつじや」でランチ。
 
大根がメインのやさしい味の野菜カレーにマトン・アサドという料理のセット。マトンはしっかり煮こまれていて、下にタンドールで焼いたトマトとじゃがいもが敷かれているのもいい感じ。


しっかりスタミナ補給をして、次は有楽町駅前、イトシア内のヒューマントラストシネマで
 「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」 Das Grosse Museum

今年はDVDでアムステルダム国立美術館と大英博物館のドキュメンタリーを見たが、今度はウィーンの美術史美術館。
世界の巨大博物館はどこもその維持のために集客に力を入れており、映画はいい宣伝手段ということなのだろう。

ウィーンも展示室の大規模な改装工事を終えたところということで、その様子を追っているところはアムステルダムと同じなのだが、あちらがその過程を皮肉な目も交えながら一本筋を通して見せているところ、こちらは修復の様子を見せたり、バックヤードを見せたり、視点があっちこっち動いてどこに中心があるのかわからない。
すると途中、ハプスブルグの名前が重荷だ、それをどう現代と結びつけるかが課題だ、というセリフが出てくるのだが、そのテーマはセリフではなく、映像でこそ見せるべきなのにそれに成功していない。

残念ながらドキュメンタリー映画としては凡庸で94分が長く感じてしまったが、またウィーン美術史美術館に行きたくなってしまったと言う点では成功なのだろうか。


この映画に続いては、同じ映画館で
 「ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た」 Ants on a Shrimp

2010年以来4度世界一のレストランに選ばれたデンマークの「ノーマ」、その本店を一時閉め、ほとんどのスタッフを引き連れて東京のマンダリン・オリエンタルで1ヶ月半オープンした、その開店までのドキュメンタリー。

オーナーのレネ・レゼピはまだ40歳にもならない若さで、それゆえNo.1レストランの次の挑戦がしたかった、と言うのが実によくわかる。
日本の食材を使ってデンマークの店とは違うメニューを作ると決め、長野やら福岡、沖縄と山の中にまで入って食材探しをするのだが、木の枝から蟻んこまで、シェフたちがなんでも口に入れてしまうのはすごい。

モデナのOsteria Francescanaに行った時に感じたのは、最近の「ベスト・レストラン」はたぶん味よりも素材や調理法、プレゼンテーションの新しさを評価しているのだろうということ。だからこそのチャレンジなのだろうし、その探究心や熱心さは確かにすごい。

もう一つ感心したのはレネ・レゼピの統率力で、厳しいことを言いながらも決して声を荒げることなく、自らキッチンの掃除からスタッフがバスを降りた後の見回りまでしてしまう。若くして一番になる人はやっぱり違う。

と興味深いドキュメンタリーで映画としての出来も上々。
しかし刺青だらけの腕のシェフたちの料理、5万円も出して食べたいとはあまり思えなかった。


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コメント (5)
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