Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「クラーナハ 500年後の誘惑」@国立西洋美術館

2016-12-17 16:48:38 | 機内食・映画・美術展
ものすごく久しぶりに上野の国立西洋美術館へ。

  
インドのチャンディガールまで行きながら、足元のこちらでル・コルビュジエの建築を鑑賞しないのももったいない話。
 
1959年完成の古さが新しく感じるなあ、なんて思いながら
 地下の「クラーナハ 500年後の誘惑」展へ。

クラーナハ(普通はクラナッハと呼んでいるので違和感があるが)はヨーロッパ、特にドイツ語圏の博物館に行けば必ず何枚かはある画家なのでおなじみだが、日本での回顧展は初めてとのこと。
昔からこの画家の描く女たちの貧乳にシンパシーを感じて(笑)好きだったし、最近読んだ「ウルフ・ホール」という小説に「クラーナハの豚顔の美女」みたいなセリフが出てきて面白かったので、改めて見てみようと思った次第。

今回の回顧展でありがたかったのはあまり知らなかったクラーナハの経歴が年代順に追えてわかりやすかったこと。
30代から宮廷画家となり、人気が出て工房を構え、同じような絵を大量生産したそうだが、この時代の画家には「芸術家」というコンセプトはなかっただろうし、職人というよりは現代の売れっ子漫画家がプロダクションにアシスタントをたくさん抱えて週刊連載を何本もこなすようなものか、と考えたらストンと腑に落ちた。

肖像画を見れば人気が出た理由も納得で、特に女性像には皮肉もスパイス的に感じられて非常に魅力的。
お友達のルターの若い方の肖像画が特に良くて、よほど仲が良かったのかな、なんて思ってしまう。

そのルターの宗教改革とクラーナハの女性ヌード量産には矛盾を感じていたが、ヌードは工房維持のための大切な商品、ルターはお友達なので協力もしたけれど、画家本人は宗教にはさほど熱心じゃなかったんじゃないだろうか。
そう考えれば晩年はカソリックの宮廷に移ったと言う点も理解できるし、宗教原理主義者よりもまともな企業経営者として共感できる。

裸体像の方は60を過ぎてから量産し始めたと言うのが意外だったが、丸顔に小さな目が確かに豚顔。
しかし誘うようなまなざしとか、首を飾る宝石とか、やっぱり魅力的。

展示で特に面白かったのは「正義の寓意」を飾った部屋。
 これがその本家なのだが
 大きな壁面いっぱいに100枚近く同じ絵が並び、しかしよく見るとこれらがすべて模写で、なかにはへたくそなものも混じる。
これはレイラ・パズーキというイラン人アーティストが中国の複製画村として有名な大芬油画村の画家たちに一斉に模写をさせたインスタレーションだそうで、なんとも皮肉が効いてインパクト大。

日本では知名度が低くて地味な展覧会かもしれないが、面白かった。


上野からは人形町に移動して、久しぶりにごひいきのユニオン・サンド・ヤードへ。
ランチ・メニューにファラフェル・ラップがあったので注文してみると
 なんだ、この大量の野菜は!

頭もおなかもいっぱいになった。


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コメント
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