昨夏、滑川温泉で言葉を交わした人に戸倉上山田温泉を勧められた。
調べてみると近くにあんずの里なる所があり、桜より一足早く花が満開になるという。
あんずまつりなるものも開催されるということなので、そのお祭りの日程を確認して、今回は一人ででかけることにした。
3月24日
今回は久しぶりに上越新幹線の「あさま」で出発。
上田まではわずか1時間40分。ここからしなの鉄道に乗り換える。
下り列車に乗るべくホームに降りると、なにやらしゃれた色の列車が停まっている。
これ、ご存じ水戸岡鋭治氏デザインの観光列車「ろくもん」で、軽井沢~長野間を2時間かけて走りながら食事を楽しむというもの。週末だけの運行なので、日曜日のこの日に見られてラッキー。
が、こちらが乗るのはもちろん普通列車。
当初の予定ではこれで屋代という駅まで乗り、週末だけ運行のシャトルバスに乗ってあんずの里まで行くつもりだった。
今年は暖冬だったし、桜の開花も毎年早くなっているのであんずまつり開始直後でも花はあるだろうと予定を立てたのだが、ベトナムに行っている間に寒の戻りがあったためか、この日ではまだ開花まで1週間はかかりそうとのこと。
昨年の花桃のようには行かなかったか。
枯れ枝を見に行っても仕方ないので、予定を変更して戸倉駅で下車。
「戸倉」って「とぐら」とにごって読むのだと初めて知った。
駅を出てまっすぐ歩くとすぐに目の前に立派な茅葺きの建物が現れる。
蔵元 坂井銘醸の築250年の母屋を改装した「萱」。
入って左手はカフェと売店、右手はおそば屋さん。ちょうどお昼なので30分も待って、やっと座敷に通される。
お願いしたのは十割と二八を食べ比べられる二種もり。細い上品なおそば、やっぱり十割の方が香りが立っておいしい。
ついでに見られなかったあんずの花のリベンジ(笑)であんずソフトも注文。
自家製あんずコンポートとジャムが乗り、ソフトクリーム自体もおいしくて大満足(単純)。
おそば屋さんを出て温泉方面へ向かうと、途中に水上布奈山神社がある。
諏訪大社からご神体を勧請したということで御柱が建てられているが、見るべきは拝殿の裏の重要文化財指定されている本殿。
現在修復中で周りを囲われ、正面のネットの隙間から覗かせていただいたが
細かい彫刻が施されていて見事。1789年に作られたそうで、江戸後期には神社でもこういう造りが結構あるのだとか。
そのまままっすぐ歩いて千曲川にかかる大正橋を渡ると
左手に上山田温泉の大型旅館が見えてくる。
橋を渡った正面には佐良志奈神社の鳥居があって
こちらで本日一日だけ、「かたくりまつり」のおもてなしがあるという。
そこで階段を降りて本殿に手を合わせ、さてカタクリの花は、と見ると
「まだ咲いていません」
この大外れを取材に来ていた地元TV局の人に教えられてよく見ると、なるほどつぼみは見えるが咲いているものは一つもなし。
東京から来てあんずにも振られたというと取材されてしまった。
予定されていたおもてなしも出店もないので神社を出たら温泉街の中へ。
中央通りには足湯も作られ、大型旅館も並ぶが
脇道にはびっくりするほどの数のスナックが並んでいて、なんでも80軒以上もあるとか。
昼過ぎには歩いている人もほとんどいない温泉街、本当にお客は来るのか。
神社から歩いて20分ほど、温泉街の一番はずれに今夜泊まる宿があった。
ホテルプラトンはザ・ビジネスホテル。料金は先払いで鍵を受け取り、部屋のある階へ行くと
エレベーターホールから先は土足厳禁で下足箱がある。
廊下には薄縁のようなものが敷かれているが、これが畳のようなクッションがあるわけでなし、おやじの足跡も見えて気持ち悪いので備え付けの使い捨てスリッパを使うことになる。
部屋も典型的なビジホの造りで、内装や設備はかなりくたびれている。なにより今やビジホのマストアイテムであるウォシュレットがないのが不満だが、ここを選んだのには訳があるのだ。
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