2月15日
野天のベッドからは午前2時半に起床、3時に出発してエルタ・アレの山頂を目指す。 日が昇るととても暑くなるので、この山へは暗い中を歩かなければならないのだ。
ヘッドランプを頼りに歩く最初の1.5kmは平たんな砂地。 そこから急に整備された砂利道になるが、これは中国企業が請け負っている観光道路だそうで、前日に見たまっすぐな舗装道路はここにつながるのだとか。 最終的にはどこまで工事するつもりなのか、何年後かには山頂まで車で行くことになるんじゃないかと空恐ろしい。
砂利道も1.5kmほど続いて、そこからようやく上り坂になるが、勾配はゆるく、なんと言っても標高が低いので息が上がらない。
昨夏のザンスカールに比べたらなんと楽なことか(笑)。
途中、一日早く到着していたS社の別グループとすれ違い、驚いたことに夕食後に出発したE社の下山にも遭遇。外国人グループとも何組かすれ違って、強行スケジュールだと昼間の火口は見ることなく帰ってしまうらしい。
この上り道の距離は6km。予定では夜明け前には山頂に到着するはずだったのだが、グループの1名がかなり遅れてしまったので途中休憩が多く、
途中で日が昇ってしまった。
やっと周りが見えるようになった中を登っていくと
いかにも流れてきた溶岩が固まったようなものが見えてきて
稜線に小屋が見えてきたらそこがゴール。
4時間半かかって朝の7時半に到着。雲が多い天気だったので、この時点での気温は23℃。
この山頂には石壁に草ぶきの屋根を乗せたシェルターが隙間なくぎっしり立ち並び、それぞれ旅行社によって使う場所が決まっている。
このシェルターの後ろを覗けば
これがエルタ・アレのカルデラ。火口は2つあって、どちらも噴煙を上げている。
山頂には麓とは別のキッチン・スタッフが待機してくれていて
到着したらすぐに朝食とは、なんとも贅沢。
朝食後はガイドに先導されて、北側の火口を見にシェルター群のちょっと先へ。
写真で岩の上に人が立っているところがエルタ・アレの一番高いところで海抜613m。
こちらは上がってきた方向で、この下のどこかにベースキャンプ。
すぐ目の下には火口が見えるが、ここでは溶岩は見えない。
地面には卵の殻が割れたようなガスの噴出孔が一杯見えて、ガスは硫黄のにおいというよりのどを刺して息が苦しくなる。
というわけでここは撤収して、
次は崖を下りてカルデラの中へ。
一番最近では2017年にこのカルデラ内まで溶岩があふれ出したそうで、足元ののたくった粘土のような岩は実は軽くて、下手に歩くと踏み抜いてしまうので注意が必要。
岩の間に見える細い糸のようなものは溶岩が引き延ばされたもので、「ペレの毛」と言うのだそうだ。
南の火口はこの通り、すぐ脇まで行けるがやはり赤い溶岩は見えず、念のためにと用意されたガスマスクを着けて記念撮影。
南の火口見学を終えたら早くもお昼で
たっぷりのトマトサラダがうれしい。
その後雲が晴れてきたが、そうなると暑くてシェルターの中はおそらく40℃以上、マットを用意してくれていたがとても寝ていられず、みんな少しの日陰に固まって噴煙を眺める。
夕方の17時半には早くも山頂で3度目の食事。
スープ付きだけれど本日もパスタ。
と、これを食べている間、添乗員はなにやらソワソワとカルデラを覗いていて、やがて「溶岩が見えるらしい」と叫ぶので急いで崖を下りて火口へ。
こわごわと噴煙の上がる火口の奥を覗き込むと
おお、確かに赤い溶岩が見える!
旅行パンフレットに載っているような火口いっぱいの溶岩ではまったくないが、2017年の噴火以降は溶岩だまりが沈下してしまったそうで、この1年ほどは現地ガイドもまったく溶岩が見られなかったとか。
自然現象だからこればかりは仕方ない、ちょっとでも赤いものが見られた我々はラッキーと思わねば。
そうこうしているうちにガスはひどくなってきて、シェルターまで戻ってものどを刺激されて咳が止まらない。
予定ではこの後シェルターで仮眠を取って夜明け前に下山だったが、ガスが危険ということで19時にふもとに向かって出発。
帰路はひたすら暗い中を足元だけを見ながら歩くので、下りとは言えこれがなかなかつらい。
9キロの道のりがやけに長く感じられて、それでも3時間40分でベースキャンプに無事帰着。
また野天のベッドで寝ることになったが、この夜は涼しくて、初めて持参した寝袋が役に立った。
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