ここは、山陽本線厚狭駅から、山陰本線長門市駅を結ぶ、JR美祢線の真ん中に位置する美祢駅。美祢線は単線だが、一応幹線扱いとなっている。この駅も、ローカル駅ながら、有人駅でもある。
美祢市は、これまで述べてきたように、「化石の街」である。駅の入り口のところにも、やっぱり化石が。
10年ぶりくらいで、駅に寄ったが、いつのまにか建物内に、「MINEにぎわいステーション」というものができていた。現在美祢市は、「MINE秋吉台ジオパーク」の認定に向けて色々な活動をしている。町おこしの一環としてやっていることは理解できるが、現在国定公園でもある秋吉台がジオパークに認定されて、どのくらいの集客効果があるのだろうか。例えジオパークに選定されたとしても、それだけで満足してはいけない。その後、どうやっていくかの戦略が大事なのだ。
おそらく、「MINE」というのは「美祢市」(「みねし」である。時々「みやし」と言われたり、漢字で「美弥市」と書かれてがっかりする)と「鉱山を表す英語の「MINE」をかけているのだろう。なぜなら、美祢市は鉱山の街であった。現在でも石灰石は採掘されているが、かっては日本唯一の無煙炭の産地として栄えていた歴史もある。その昔は、奈良の大仏に銅を供給した長登銅山もあるのだ。こういった鉱山を整備して、ネットワークにして、現在稼働しているセメント工場や大理石加工場などと連携して、観光客を誘致してはどうだろうか。
また、美祢市では、化石採集のイベントをやっているようだ。これなど夏休みに大々的にやれば、市外だけではなく県外から参加者を呼べるのではないか。しかし、いかんせん知名度が低すぎる。
美祢市に致命的なのは、宿泊施設が非常に少ないということだろう。これは、泊まっても、なにか見たり、体験したりしようとすることがないことの裏返しでもある。しかし、前記の化石採集や、旧秋芳町の梨(これはかなり有名なブランド梨である)を利用したイベントなど、魅力ある催しは、考えればいくらでも出てきそうだ。
このほかにも、旧秋芳町の弁天池の鱒、旧美東町のサファリパークなど、観光資源はいくらでもある。しかし、これらも知名度はまだまだである。どのようにして知名度を上げていくか。これが、美祢の街づくりの最初のステップだろう。
そして、美祢市最大の財産である秋吉台、秋芳洞。ここも十分に活かしきれているとは言い難い。あの雄大な風景は、国定公園、ジオパークとは言わず、「世界自然遺産」でもおかしくはない。そして、前述の大嶺炭鉱も「世界産業遺産」となってもいいくらいだ。いっそ、世界遺産認定のための運動をぶち上げてはどうだろうか。かなり話題性はあると思うが。
上にも述べたが、まずは知名度を上げることだ。そのために、市役所も市民も一体になって、知恵を絞っていく必要があるだろう。