認知行動療法 (放送大学教材) | |
クリエーター情報なし | |
放送大学教育振興会 |
・下山晴彦、神村栄一ほか
先般単位認定試験を受けてきた放送大学の教科である「認知行動療法」のテキスト。表紙には編著者二人の名前しかでていないが、実際には5名の研究者が分担して執筆している。
「認知行動療法」というのは、一種の心理療法であり、ある人に何か問題が生じている場合は、その原因が認知の誤りにあるとしてそれを修正して、問題行動を無くしていこうというようなものである。
こういったものを読むときには、何がキモなのかを押さえるということが大切だろう。原理原則を知っておけば、細かい内容を覚えていなくても、色々と応用が利く。
さて、本書から読み取れる認知行動療法のキモとは、次のようなものだろう。
1.認知行動療法というのは、第一世代である「行動療法系」と第二世代である「認知療法系」を経て、現在は第三世代と言われるものが新たな動向となっている。今巷で話題になっている「マインドフルネス」といったものも、この第三世代に分類される。
2.認知行動療法には、統一的な原理は存在しない。色々な研究者が関わることにより発展してきたものである。
3.認知行動療法では、セラピストとクライエントの協同を重視している。セラピストからの一方的な押し付けや叱咤激励などは否定される。
こういったことを頭に入れて読んでいくと、なるほどとうなずけるようなことも多いだろう。「マインドフルネス」などの通俗本を読む前に、その基礎にはこんな考え方や理論があることを知っておくのもいいと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。