文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

おべんとうの時間

2019-07-13 09:26:13 | 書評:その他
おべんとうの時間
阿部 了(写真),阿部 直美(文)
木楽舎

 人気シリーズの「おべんとうの時間」はここから始まった。色々な人のおべんとうを紹介しようとする企画で、全日空機内誌「翼の王国」の大人気エッセイだ。しかし本企画が始まったころは、まだ「翼の王国」には連載されていなかったので、「写真集と写真展で作品を発表したい」(p40)というのが取材の常套句だったらしい。「翼の王国」に連載するようになって、かなり取材がしやすくなったようである。

 本書には大学教授、猿回しの人、カナダから来た英会話講師など、色々な人のおべんとうが紹介されている。面白かったのは群馬県の年配女性の肩書。なんと「おばあちゃん」なのだ。

 おべんとうにも色々な仕事上の工夫が反映されている。群馬県の集乳をしている男性のおべんとうは、ちょっとした合間に食べられるようにでかいおにぎり1個だ。

 大学教授の人のおべんとうは、猫の残り物がおべんとうになるらしい。家に9匹の猫がおり、彼らが残したマグロを海苔で巻いたものがおべんとうになるという。でも撮影のときはいつもよりいいマグロをおべんとうにしたようだ。

 呆れたのが、学校教師に関する話。週に1度「ご飯の日」というのができ、母親がソーセージを細かくしてご飯の上に散らしてピンク色になったおべんとうを見た担任教師が、「規則を守れないお前の親は駄目だ。」(p23)と言ったという。私から言わせると、「そんなことで文句をつけるお前の方が駄目だ!!」と思うのだがどうだろう。

 写真を見ているうちにお腹がすいてきた。でも食べると太るし、なんとも罪作りな本である(笑)。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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