文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

北陸とらいあんぐる 1

2019-07-03 12:45:55 | 書評:その他
北陸とらいあんぐる 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ちさこ
KADOKAWA

 東京にあるという設定の私立青葉女学園。全寮制の女子高だ。ここに北陸出身の3人の女の子が集まった。石川県出身の加賀ひまり、富山県出身の黒部りつ、福井出身の越前和花である。ちなみに、りつの名字だけがちょっと異質だが、理由は分からない。寮で同室になった彼女たちのお国自慢コメディが始まる。

 初めて聞いたのだが、北陸出身で「8番らーめん」を知らない人はいないらしい。いろいろと張り合っているひまりとりつだが、この8番らーめんだけは、北陸っ子のソウルフードだという。

 しかし北陸と一口に言っても、富山と福井は間に金沢があるのであまり行き来はないらしい。そういえば大学時代に同じ学生アパートに福井出身の者は2人いたが、金沢や富山の人間はいなかった。京都から見ると福井はお隣さんという感じだが、他の2県は距離的に遠い感じがするので、北陸の中でも色々な距離感があるんだろうと思う。

 実は私も北陸3県には一度だけ訪れたことがある。色々と懐かしいものも出てきたが、この漫画を読んで初めて知ったことも多い。北陸のことをもっと知りたい人には漫画を楽しみながら、知識が付くこと請負だ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

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認知や行動に性差はあるのか: 科学的研究を批判的に読み解く

2019-07-03 09:42:15 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
認知や行動に性差はあるのか: 科学的研究を批判的に読み解く
Paula J. Caplan、Jeremy B. Caplan、(訳)森永 康子
北大路書房

 まず「性差」はあるかどうかと言えば、これは確実にあると言えるだろう。例外があるというのはもちろんだが、平均的にはということである。例えば私は生涯学習のため20年以上も放送大学に通っているが、単位認定試験では、心理学や文学系の科目には年齢関係なく女性をよく見るのに対して、理数系科目では女性はぐんと少なくなる。

 就職前の専業学生時代には、私の所属する電気系の学科には女子学生は一人もいなかった。工学部(特に物理系)というのは、圧倒的に男の世界なのだ。また、女性は、食べ物などの評価をするとき、あたかも自分が全女性の代表のように、「これは女性に優しい」というのをよく見聞きするが、男が、「これは男性に優しい」というのはあまり聞いた覚えがない。

 しかし、これが遺伝子レベルでの本質的なものなのか、それとも文化や制度などからくる後天的な刷り込みにものなのかとなると実はよく分からない。

 本書は、男性の方が高いと言われる「数学能力」、「空間能力」、女性の方が高いと言われる、「言語能力」などについて、様々な研究結果について批判的に検証したものである。本書の目的が書かれてあるところを引用してみよう。

「本書の目的は、ある事実について、本当はこういうことだと、読者のみなさんを説得しようというものではない。そうではなく、みなさんが、性別やジェンダーに関して見聞きした主張を、うまく評価するための知識や問題意識をもった人になる手助けをするというものである。我々は多くのステレオタイプにさらされている。」(p256)



 ただ、本書を読んでいくと、「『性差』はないんだ。それは色々な価値基準に潜むバイアスのせいだ」ということを言いたいのかと思ってしまう。なぜなら、各種の「性差」があるという研究結果を取り上げて、実は根拠はないんだというようなことが並んでいるからだ。だがまことしやかに言われていることについて、その根拠はなにかということについて考えることの大切さは実感できるものと思う。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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