詩句歌集 雨が刺さりそうだ | |
円山なのめ | |
揺籃社 |
本書の特徴を上げると、一冊の本の中に、俳句と短歌、詩を収めているということだろう。それに加えて、その横に英文が付属している。しかし、なぜ、俳句と短歌にのみローマ字で読みが書かれているのかは、よく分からない。
俳句にしても、短歌にしても、詩にしても、一冊に纏めるときは、普通はなんらかのテーマ毎に纏められるものだ。だが本書は俳句、短歌、詩と別々のパートに分かれており、そのテーマもよく分からない。俳句はその配列が春夏秋冬になっているということは察せられたが、なんのためにそのようになっているのかはっきりしないのである。単に俳句、短歌、詩が一冊に収められているとしか見えないのだ。それだったら、別々の本にした方がいいと思うのだが、分量の関係で一冊にしたように見える。もしなんらかのテーマがあってそうしているのなら、私の読解力が足らないということで、許して欲しいのだが、私には正直よく分からなかった。
私なら、何らかのテーマを提示して、そこにテーマに合ったものは、俳句、短歌、詩と区別せずに収めるのだが。むしろそうしないと、単に句集、歌集、詩集が一冊になったというだけで、本書の強みを発揮できないのではないか。
☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。