これも半七捕物帳の話の一つだ。他の話と同じように、明治になってから、目明し時代の話を、語り手である私に語るという形態のものである。
話の主筋は、菊人形見物にやってきた3人の外国人が、女スリを取り押さえたはいいが、財布が出てこなかったため(仲間に渡していた)、暴動がおこり、外国人の乗っていた西洋馬と外国人を案内していた役人の日本馬が盗まれたというものだ。
このスリを働いた女が蟹のお角。「蟹のお角」とタイトルのついた話があるくらいなので、この捕物帳の中では結構な有名人のようである。
ただ、この話の中では両腕に蟹の彫り物があると書かれているが、「蟹のお角」の話の中では、胸のポッチを蟹が挟み込むような彫り物があったと書かれていた。私としては、後者の方が鉄火な感じが出ていいと思うのだが。
半七捕物帳は、オカルティックな味付けのされている者が多い。この話も、市子や管狐などを登場させている。市子というのは要するに霊能力者のことだ。ここでは、梓の弓を鳴らして、生霊や死霊の口寄せをするものと書かれている。その市子のおころが殺される。なお、この事件と馬泥棒に事件は、泥棒の実行犯の平吉がおころの息子という関係はあるが、直接の関係はなく、基本的には別の事件である。
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