QEDシリーズ、本編の方は完結したとばかり思っていたが、まだまだ続いていたようだ。おなじみ、桑原崇と棚旗奈々のコンビが歴史上の謎と組み合わせて、現実の事件の謎を暴くというものである。
ところで、桑原崇と棚旗奈々って、まだ結婚していなかったんだね。桑原君、寺社巡りばかりしていないでそろそろ決めようよ。計算したら奈々ちゃんなんてアラフォーだよ。いつまで待たせるんだ。
奈々ちゃんのの妹の沙織なんて二度も結婚しているのに、それも二度目は子連れ結婚。まあ、相手が熊つ崎こと小松崎くん(明邦大学の崇の同級生で奈々の先輩。空手部の首相だったという設定。その体つきから、崇は熊つ崎と呼んでいたが、最近その熊つ崎というのも略して「熊」と呼んでるらしい)だったので、収まるべきところに収まった感じはあるんだが。
さて今回の歴史上の謎は源頼政に関するもの。この人物、鵺退治で有名だが、なんと77歳で以仁王の令旨に呼応して、平家に対して挙兵している。どうしてそんな老齢になって挙兵したのか?そして京都府亀岡市には、彼の遺骸を祭っている頼政塚というものがあり、地元には、この塚に無礼なふるまいをすると祟りがあるという伝承がある。どうして彼は祟り神として扱われるようになったのか?
そして現実の世界では、この頼政塚で水瀬正敏という男が割腹自殺をしているのが発見される。そしてその息子の義正が、遠く離れた関門海峡で死んでいるのが発見された。そして、新下関大学助教授の玉置愛子も関門海峡に浮かぶ死体で発見される。
この物語に出てくる場所は、主に宇治の平等院、下関市の赤間神宮。出てくる主要人物は、頼政の他に木曾義仲そして安徳天皇。
面白かったのは、木曽義仲の話。義仲に連れ添った女性武将としては巴御膳が有名だが、他にも葵御膳とか山吹御膳という女性もいたようだ。これは初耳。
そして決定的なのが安徳天皇女帝説。こちらもなかなか興味深い。ただし現実の事件の方は、今時源氏の末裔とか平家の末裔とかを気にする人間がそう沢山いるとは思えない。そもそも源氏とか平家だとか言っても、それは男系のみ。女系の方で見れば、良く分からなくなっているのではないだろうか。
崇の次のセリフはいただけない。
「陰陽道や九星気学は、明らかに統計学ですからね。(以下略)」(p219)
いや、誰もそんな統計知りませんから。どこが明らかやねん。
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