・紫電改のタカ (1)
・ちばてつや
・コルク
昭和30年代ごろは、まだ戦争の影響が残っており、巨大なアメリカにさっそうと立ち向かう日本という感じの、戦争マンガを見ることはそう珍らしい事ではなかった。運動会などの応援歌にも軍歌が結構歌われていた。本作も1963年(昭和38)~1965年(昭和40)に週刊少年マガジンに連載されていたものである。作者はあしたのジョーなどで知られるちばてつや。
紫電改というのは、太平洋戦争で日本海軍が使っていた戦闘機である。「改」というのは改良型と言う意味で、紫電と言う戦闘機の二一型以降を紫電改と呼ぶらしい。日本海軍の戦闘機として有名なのはゼロ戦だが、紫電改も名機とされている。もちろんプロペラ機であり、現在のジェット戦闘機とは比べるべくもないが。
この作品は、紫電改に乗るパイロット、滝城太郎一飛曹の戦いを描いたものだ。時代は太平洋戦争の末期。日本の敗戦色が濃くなったころだ。この第1巻では台湾にある701飛行隊の高尾基地に滝が赴任してきたところから始まる。ちなみに彼らが搭乗しているのは、紫電改ではなくまだ紫電である。
フィリッピンにあるアメリカ軍のマルコット基地を攻撃するために出撃した701飛行隊だが、待ち構えていたグラマンの大戦隊により、隊長の白根少佐以下ほとんどの隊員が撃墜されてしまう。生き残ったのは滝を含めてわずかに4人。しかし、彼らが不時着した島にはアメリカ軍の基地があった。4人に迫るアメリカ軍。起死回生を図るためわざと敵の捕虜となった4人だが、果たして脱出はうまくいくのか。
最近はこのような漫画はあまり見られないが、あの時代の雰囲気の一旦なりと知ることができるだろう。
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