最近、伝七捕物帳をよく読んでいるが、これは捕物帳では伝七と双璧を成す銭形平次の捕物帳。この話は、平次が子分のガラッ八こと八五郎と旗本のお家騒動に挑む話だ。
話は八五郎が平次の家にやってくるところから始まる。
「親分、お願ひがあるんだが」
平次は、また八五郎が小遣いをねだるものと思ったが、八五郎はそうじゃないという。
「親分、冗談ぢやない。又お静さんの着物なんか剥いぢや殺生だ。――あわてちやいけねえ、今日は金が欲しくて来たんぢやありませんよ。(以下略) 」
しかし、平次どれだけ貧乏なんだ。まあ、あれだけお金を投げていれば貧乏になるよな。それにしても平次の恋女房のお静さん、結構苦労してたんだね。
さて事件の方だが、左官の伊之助親方の息子乙松が行方不明になる。この事件を伊之助の娘お北の頼みで平次たちが調べ始めるという訳だ。ところが今度は、伊之助が殺される。事件の後ろにあったのは、大身の旗本のお家騒動。
最初に、平次が御家騒動に挑むと書いたが、解決まではしていない。事件の謎解きをしただけである。この結末は、当時の身分制度から仕方が無いかもしれない。平次としてはその中で最適解を求めたという感じだ。
「親分、敵は討ったんですか」
むくれる八五郎に平次は、苦笑してこう答える。
「討ちかねたよ。見事に返り討さ、武家は苦手だ。町方の岡っ引なんか手を出すものぢやねえ」
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