神の時空 ―貴船の沢鬼― (講談社ノベルス) | |
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講談社 |
QEDシリーズでお馴染みの高田崇史の最新シリーズ、「神の時空」の第3弾、「貴船の沢鬼」。高田氏の作品は、殆ど読んでいるのだが、最近の積読山の高さに押されて、これを書店で見かけるまで、新シリーズが始まっていたことに気が付かなかった。そういう訳で、読んだのは、いきなり3巻目である。
主役を務めるのは、清和源氏の血を引くという。辻曲家の4兄妹。長男の了を筆頭に、彩音、摩季、巳雨の3姉妹。ただし、摩季は現在死亡中である。他の兄妹たちは、摩季を反魂術で生き返らそうとしているようだが、そのリミットは死後1週間。反魂術jを行うためには、京都貴船の清浄な水が必要らしい。しかし、京都では、高村皇という謎の男により、貴船の水を汚し、神々を怒らせて、京都を水没させようという恐ろしい陰謀が進んでいた。
その一方、京都では、不気味な殺人事件が連続していた。目撃された犯人が、文字通りの鬼や般若のような形相をしていたというのだ。
この巻では、京都を壊滅させようとする霊的な陰謀と、不気味な殺人事件という2つを軸に物語は進んでいく。この作品の性格を一言で表せば、伝奇小説とミステリーの融合といったところだろうか。
ミステリー部分は、この巻で完結しているが、伝奇小説的な部分は、一巻からずっとストーリーが続いているようだ。これについては、この巻だけではいきさつがよく分からないところもあり、簡単なあらすじでも付けてくれればありがたかったのだが。
伝奇小説部分は、QEDからの流れを受けて、蘊蓄の多さは相変わらずである。蘊蓄の多さは相変わらず。貴船や鞍馬の神をはじめとする、神々に関する蘊蓄はなかなか興味深い。高田氏の作品で、どのような蘊蓄が披露されるかを楽しみにしている人には、十分に期待に応えてくれるものと思う。
果たして、高村皇とは何者か。摩季は生き返ることができるのか。色々な疑問を残して、話は次巻に続いている。
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