文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:葵 ヒカルが地球にいたころ(1)

2015-02-03 20:12:29 | 書評:小説(その他)
タイトルなし
クリエーター情報なし
エンターブレイン


 野村美月が、文学少女シリーズと同じく竹岡美穂とコンビを組んだ、「ヒカルが地球にいたころ」の第1作目となる、「葵」(ファミ通文庫)。野村さんも、他の作品では色々な絵師と組んでいるが、やはり、いちばんしっくりくるのは、竹岡さんだ。これと同じくらいぴったりした組み合わせは、藤原祐と椋本夏夜のコンビくらいか。

 それはさておき、「文学少女」シリーズでは、様々な文学作品がモチーフとして使われていたが、このシリーズでモチーフになっているのは、基本的に一つ。タイトルから想像がつくように、源氏物語である。

 主人公は、平安学園1年の赤城是光。顔つきが凶悪なことから、誤解され続けの人生を送ってきた。扱いは、すっかりキング・オブ・ヤンキー。彼を怖がって誰も近づいてこない。動物たちからすら怖がられる始末だ。だからずっと彼女はもちろん、男の友達もできなかった。そんな彼が、どういうわけか、事故で亡くなった学園の皇子で、その美貌と育ちの良さで女の子からモテモテだった帝門ヒカルの幽霊にとりつかれてしまう。

 ヒカルは、心残りな女の子に、自分が渡せなくなったプレゼントを渡してくれというのだ。その相手は、この巻のタイトルにもなっている葵という美少女だ。なんでも、ヒカルの婚約者だったという。しかし、葵はヒカルを嫌いぬいているような態度だった。ヒカルは、源氏物語の光源氏同様、女の子とみれば見境がなかったからだ、しかし、是光によりヒカルの本当の気持ちを知り、頑なだった葵の心も解きほぐされる。どこか既視感の感じられるような設定ともいえるが、是光と二人で遊園地に行った時の葵の様子は、最高に可愛らしい。この辺りは、さすがに美月さんらしいところである。

 幽霊ながら、初めてできた友達・ヒカルとの友情も、一連の出来事を通じて次第に深まっていくようだ。容姿も育ちも正反対な二人だが、二人の心には、相通じるものがあったのである。その容貌から、言われもなく怖がられるだけだった是光が、ヒカルの願いを叶えようと奮闘しているうちに、彼の本当の姿が女の子達に理解され、気になる存在になっていく。どうも、女子にとっては、見た目と内面のギャップも一つの萌えポイントらしい(笑)。しかし、是光が、ヒカルと葵の約束を果たしたと思ったら、他にも気がかりな女の子がまだまだいるらしい。このシリーズ10巻まででているようだから、先は長いようだ。また、ヒカルの死には、何か疑惑があるようで、ミステリー的な要素も加わり、これについても、どのように展開していくのかが気になるところだ。

 ところで、この作品、作者によれば、源氏物語以外に、裏設定でもう一つ名作が織り込まれているというがなんだろう。もしかすると、「エンジェル伝説」(八木教広)か?(そんなことあるわけないか)

エンジェル伝説 1 (SHUEISHA JUMP REMIX)
クリエーター情報なし
集英社


☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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放送大学単位認定試験(2日目)

2015-02-01 18:32:28 | 放送大学関係
 今日は、放送大学H26年度2学期の、単位認定試験の2日目だ。

 今日受験したのは、「博物館経営論(’13)」の1科目。本当は、もうひとつ「場と時間空間の物理」があったのだが、こちらの方は、H27年度1学期に回すことにした。理由は二つで、今学期は、勉強の時間が取れなかったことと、あわてて受験するより、じっくりと取り組みたいということによる。

 受験した、「博物館経営論(’13)」だが、択一式で、結局は知っているか知っていないかなので、20分もかからずマークシートを塗りつぶした。しかし、30分経つまでは退室不可なので、それまで暇でしかたがなかった。

 それにしても、博物館関係の科目がかなり多くなった。別に、いまさら学芸員になる予定はないのだが、この関係科目が、現在専攻している「人間と文化コース」の専門科目に入っているのと、本来は取りたい文学関係などの科目が少ないので、しかたなしに履修しているようなところもある。

 科目登録の時期がもうすぐやってくる。こんどは、何を登録しようか。
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書評:人を操る禁断の文章術

2015-02-01 09:48:49 | 書評:ビジネス
人を操る禁断の文章術
クリエーター情報なし
かんき出版


 本書は、読み手の想像力を掻き立て、行動を起こさせるためには、どのような文章を書けばよいのかを説いたものだ。いったいどのような文章を書けと言うのか。著者は、これを3ステップに分けて説明している。

 第一ステップは、「『書かない』3原則を唱える」ということ。これは、「あれこれ書かない」、「きれいに書かない」、「自分で書かない」というものだが、これには、多少説明が必要だろう。「あれこれ書かない」とは、あえて情報量を少なくして、相手の想像力を刺激するということ。「きれいに書かない」とは、型に嵌ったようなきれいな文章ではいけないということ。「自分で書かない」とは、自分が言いたいことではなく、相手の心を読んで、相手が読みたい内容や言葉を選んで書けということらしい。

 続く、第二ステップは、「7つのトリガーから1つ選ぶ」ということだ。これは、「興味」だとか「ホンネとタテマエ」、「悩み」といった相手の欲求を刺激するということである。つまり、相手の欲求を満たすものがそこにあれば、文章を読んでもらえるということだ。

 そして、第三ステップは、「5つのテクニックで書く」ということである。ここでは、、相手に読んでもらう文章を書くためには、どのようなテクニックを使えば良いのかについて解説している。

 確かに書かれていることには、頷けることも多いし、総体的に見ても、文章を書くのに参考になるだろう。ただ、「禁断の」と言う位のものすごいノウハウが詰まっているかと言うのは疑問である。また、個別に見ていくと、どうかなと思うようなところも結構ある。

 例えば、「常識的な言い回しに過剰で具体的な条件を表す言葉を組み込むと、その文章は名言に変わる」、(p47)と述べ、「成功のための努力を惜しむな」と書くよりは、「成功したいなら1日に18時間、ひとつのことに集中しろ」と書いた方が良いと述べられている。しかし、私などは、こんな言葉を聞いたら、「アホか!」と思ってしまう。エジソンが言ったということらしいが、言っていることにはなんの根拠もない。他にも、アインシュタインやカーネギーの言葉などが、心を掴むメッセージの例として紹介されているが、これはよほど効果的に使わないと、なんの根拠もないことを言われても、相手によっては逆効果になってしまいかねない。

 例文も怪しすぎるものがある。「気になりませんか?年間報酬3000万円が10年続くコンサルタントだけが知っている仕事の習慣」(p70)や仕事のサボり時間などを利用して副業を勧めるような例文(p76)など、まともな人間が読んだら、眉に唾をつけるだけだろう。それだけではない。収められている例文が全体的に軽いのだ。

 本書中に、「心を動かす」例文として紹介されているものが、まったく私の心を動かさないのはどういう訳だろう。単に私がへそ曲がりだというだけだろうか。

☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。


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