小雨、15度、81%
香港、沖縄より南です。当然のことながら、リンゴの木などはありません。そこで、一年中、世界の各地からリンゴを輸入しています。香港の果物屋の店先には、変わった熱帯の果物も見られますが、どんな店も、オレンジとリンゴとバナナはあります。秋から冬にかけては、北半球、アメリカやフランスのロイヤルガラ種、中国や韓国、日本からは富士などがはいってきます。日本のリンゴは一番お高く、大きさも立派です。旧正月などには、「寿」と字の見える大きなリンゴが素晴らしい値段で売れて行きます。こちらが夏ともなれば、南半球のオーストラリア、ニュージーランド果ては南アフリカからリンゴがやって来ます。
ロイヤルガラ種のリンゴを家では欠かしません。手頃な値段です。ジュースにモモさんの朝ご飯に使います。このリンゴを切ると、種から根がちょっぴり出ていることがあります。ここ10年近く毎年見てきましたが、フランスから入って来るロイヤルガラです。根っこが出て、種の皮が割れかかっているものすらあります。こうした種を一晩水に浸けて、土に蒔くと4,5日で芽が出ます。高温多湿の香港です。リンゴの生育には適しているはずがありません。それでも、何年かに一度は、茎が木質化して15センチほどにまで成長することがありました。大きなリンゴの木を夢見ていますが、いつも夢で終わります。
握りこぶし大のロイヤルガラのリンゴの芽です。根の出るリンゴと根のでないリンゴ、種に何か細工がしてあるのかと思うほど、フランスの種にしか芽を見ませんでした。例えば中国で、富士種のリンゴが作られるようになったのは近年のことです。日本の富士の種を誰かがどこかで仕入れて作り始めたに違いありません。こればかりは専売特許がない物ですから。要するに、種が流出しないために、何らかの方法が施されているのではと疑う私です。ところが、今年主人が日本から持ち帰った富士、やはり種から根っこが出ています。しめしめ。
フランスのロイヤルガラよりしっかりした芽が出てきました。今年香港では、山形の王林が沢山しかもお安く出回りました。その中でもやはり根っこが出ている種を発見。この富士の苗の前に蒔いたのですが、芽が出ないままです。
もうすぐ、あっという間に夏になってしまう香港、この小さな苗は、室内の日当りのいい所に入れられます。モモさんのおかげで、夏中クーラーが効いている室内です。真っ直ぐに伸びた木質化した幹に、ミニュチュアのようなリンゴの葉っぱを付けます。日本の南で育った私は、リンゴがたわわになったリンゴの木を見たことがありません。リンゴに対する憧れは、毎年無駄に終わっても、この小さな発芽に込められた私の思いです。