曇り、28度、86%
柑橘系のベルガモットの皮から採れる精油は、精油の中でもシトラスの香りが強いものの一つです。アロマとして知るずっと前からこのベルガモットの香りはお馴染みさんでした。トワイニングのアールグレーの紅茶の香りです。フレーバードティーの初めての出会いもこのトワイニングのアールグレー。ところが当時、昭和の40年代の初めに、この紅茶の香りがベルガモットという柑橘系のものだと知っている人はごく僅かだったと思います。私が、はっきりとベルガモットの名前を心に刻んだのは、私が30代に入ってからの事、アロマが段々世の中に知られ始めた頃の事です。
ベルガモットがなんであろうが、トワイニングのアールグレーはずっと好きな紅茶でした。日東やリプトンしかなかった時代でした。トワイニングの紅茶はとっても英国的。フランスのフレーバードティーなんて全く知らない頃の話です。紅茶が好きな私は、今までたくさんの紅茶を飲んできました。歳が行くにつれ、好みもはっきりしてきます。冬は、バニラやシナモンの香りのする紅茶、夏は何が何でもアールグレー、年間通していただくのは、澄み切った色としっかりした紅茶の香り豊かなセイロンティー。
夏になると、お水の代わりにアールグレーの熱い紅茶を何杯も飲みます。昨年から好きなアールグレーはクリッパーのもの。フェアトレイドと熱帯雨林を守る会から行き着いたフリッパーです。フリッパーの製品は香港で手に入るものは全て飲んでみました。会社の趣旨といい、手頃な値段といい、しかもいい紅茶を作っています。中でも、アールグレーの香りがひと際気に入りました。ベルガモットの香り、アールグレーといってもその会社その会社によって香りが違います。しかも最近では、トワイニングですら、レディーグレーといってブルーのペタルの入った柔らかなアールグレーまででています。自分に気に入ったアルーグレーを選ぶのも楽しみの一つです。
さあ、アールグレーの季節到来、ところが香港中、クリッパーのアールグレイが品切れです。いつ入って来るか分からないと言われます。そこで、たまたま近くのスーパーで見つけたフランスのスーパーブランドCASINOのアールグレーを買いました。初めての紅茶の封を切るのはいつもの事ながらワクワクです。ところがこのティーバック、箱を開けても、中の小袋を開いても、ちっともベルガモットが香りません。熱い熱いお湯を注ぎます。それでも、ベルガモットばかりか紅茶の香りもたちません。色はきれいな濃い紅茶の色です。非常にがっかりしました。色付きのお白湯を飲んでいるような気分です。
この紅茶を飲んだおかげで、ベルガモットを考えるようになりました。何でベルガモットに拘っているのか、確かに好きなだけですが、何故そんなに好きなのか、答えは、ベルガモットの香りが、紅茶を飲んだあとにスキッと頭のトッペンから抜けて行くように感じるあの一瞬です。頭の中もすっきり、肩の辺もすっきりとリセットしてくれるその瞬間です。
そこで、以前よく買っていた2種類のアールグレーを買って来ました。 どちらのブルーのペタルが入ったレディグレーのアールグレイです。LOYDから飲みました。やっと、あのベルガモットの香りにまた出会えました。次にLIPTONを入れました。香りが数段違います。頭のトッペンからフワッと軽くなりました。
もしも、ベルガモットの香りがないアールグレーに出会わなければ、きっと、この私ただのアールグレー好きのままでした。ベルガモットの持つその香りがもたらしてくれる様々な事に気付かないでいたと思います。
それぞれの人が好きなお茶もそれぞれ。そして、その好きな理由には、何らかの身体的にも精神的にもほぐしてくれる要素が潜んでいるのかもしれません。