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ミツバチの大脱走、養蜂箱から大量の働き蜂が一遍に全員姿を消す、奇妙な現象が起こり始めたことを、10年ほど前にアメリカのニュースで知りました。蜂の死骸も見られません。巣箱には、幼虫、女王は残されたままだったそうです。蜂は非常に帰巣本能が高い生き物で、同じような巣箱ですら見間違わないそうです。その働き蜂が、一度にいなくなる、一体何が起こったのでしょう。
もちろん養蜂家は痛手を受けました。そして金額にするとその養蜂家以上に痛手を被ったのが、アーモンド、リンゴ、梨などの農家だったと聞きます。アメリカの広大な農園では人工授粉などしていられません。蜂さんに受粉をお願いするより仕方がないのです。この現象、アメリカにとどまらずヨーロッパ、そして日本にまで及んで来ています。
確か、数年前までハーゲンダッツアイスクリームは売り上げの一部をミツバチの養成に寄付していました。蜂が作る生態系の維持費です。食物連鎖、私たちの目に見えない所で、様々な要素が絡み合い一つの食べ物が、やっと口に運ばれることを痛感します。
先日買い物から戻って、袋の中を覗くと、布の小さな袋が入っています。あら、レジのお姉さん何か間違えて入れたのかな、と思って取り出しました。コロコロ玉のようなものが入っています。小さな紙のタグには、蜂の絵。「SEED BOMB」種爆弾、なんだかおっかないネーミングです。中からは、白い爆弾が2つ出てきました。
小さなタグを読むと、リサイクルペーパーで出来た小さな爆弾の中には、植物の種が入っているそうです。土に埋めて水をあげて下さい、と書かれています。「蜂は、植物が好きですよ。」とも書かれています。
この種の爆弾、他のものが芽を出した植木鉢の一角に間借りさせました。何分にも狭い出窓です。たった4日で、 4種類もの小さな芽が出ました。そうなんです、この種爆弾、何の種か書かれていません。芽を出して大きくなるまで、正体が知れません。しかも、一種類の種ではなさそうです。
蜂の大脱走は「蜂群崩壊症候群」などと呼ばれています。原因は、遺伝子組み換えの植物にあるとか、農薬だとか、果てには携帯電話の発する電波だという人までいるそうです。ともあれ、緑を一人一人が守ることは、小さくとも蜂たちに住み易い場所を与えることが出来るはずです。
狭い場所しかありませんが、種をもらうと、その数ヶ月後を想像して、嬉しい気持ちになります。