昨日、長距離ウォーキングをご一緒した、ご近所のIさん。
彼女とは、ご近所さんになって知りあってから、23年目。
ぺちゃくちゃ、おしゃべりに花が咲く。
最近、ご近所では、よく家が売りに出されている。
中古住宅を業者が買い取り、分割して、何戸かの建売住宅を建てて、売りに出すケースが目立つ。
住民も高齢化が進み、年老いて、大きな家は負担ということで、売って住み替える人が多いのだろうか。
あるお宅が売りに出ていた。
そのお宅も、1軒を分割され、建ったお宅だった。
わたしたちは20年以上前から今の地に住んでいるが、そのお宅のKさんは、10年ほど前に、越してこられた。
子供会ももう卒業し、地域の子供たちとの接点はないのだが、
どこかの家の集まりなどで、ちょくちょく、顔を見ることがあった。
Iさんとも仲良くされていたようで、Iさんからは時々Kさんのお話は聞いていた。
後になってわかったことだが、KさんはIさんに気を許しているのか、いろいろ話していたようだ。
わたしは・・・Kさんのことは、好きでもキライでもない、「化粧の濃い人」ぐらいにしか思っていなかった。
ときどき、話の内容に、引っかかるものは、あったが。
ご主人と、いかに仲がいいか。
当時からウチは、仲がよろしくないので、そのラブラブぶりを聞くたびに、カチン。
自分たち夫婦が仲良くないからって、人さまの仲よし夫婦を妬むような自分であってはならないはず、
なのに、なんで、みっともなく、カチンと来るんだろう、と、自分の未熟さを反省したこともある。
いま思えば、単なるラブラブなら、カチンと来なかったのでは?
むっとするような、自慢げなニュアンスが含まれていたのでは?
当時のわたしは、気づかなかった。
自分が卑屈だから、そう感じたのだと思っていた。
スウィートなお話に、毒が入っていたのかも。
お次。
お子様事情。
Kさんには、わたしの娘と同じ年のお嬢さんがおられた。
6年一貫教育の私学に通っておられ、優秀な方らしい。(Kさんから直接聞いたので、まちがいない)
いかに、優秀かというと、英語教育に力を入れている学校だとかで、
お嬢様は、英検や、TOEICの点数がとても、お高いらしい。
高校3年の時に、何点を取得して・・・と皆の前で、細かくご披露されていた。
その方面に関しては、わたしは別になんとも思わなかったので、
「へーー、ふーーん」と受け流していた。
わたしは、カチンとこなかった。
ただ、それって自慢してないかい?とは、ちょっと感じたが。
もっともっと数段、優秀な人が、ごくごくフツーに佃煮にするほどゴロゴロいたら、どうするんだろう?
その次。
おうち。新築のお宅。
そのお家にわたしはお邪魔したのかどうか、ちょっと忘れたけれど、おそらく行ったことがあるのだろう。
そこでも、いろいろ、仰ってたように思う。
だんだん、思いだしてきた・・・
ご主人は、貿易関係のお仕事、かなにかで、・・・素敵なエピソードがいっぱいあったような。
あまりハッキリ記憶にはないのだけれど、・・・まあ、いま、思えば、頑張っておられたのではないだろうか。
Kさんの印象は、なにしろ、カチンのひと。
笑顔を絶やさないのに、細く鋭く尖ったなにかが、瞬時に刺さるような。
ま、それはいいのだが、
つい最近、広告チラシで、Kさんのお宅が売りに出ているのを見た。
すぐには売れなくて、何回もその物件のチラシを目にした。
昨日、Iさんに聞いたら、売れたとのこと。
「よかったね。
Kさんは、どこに引っ越しされたの?」
と聞くと、離婚したという。
え?
あんなにラブラブだったのに。
「なんで、知ってるの? Kさんがご近所に、ご挨拶でもあったの?」
とIさんに聞くと
「うううん。わたし、直接、本人の口から聞いたの。わたし、Kさんと親しかったから」
という。
それで、ちょくちょくKさんの話をIさんから聞くことになったのだ。
内容は、人に聞かれて困るような話ではないけれど、
相変わらず、自慢げな話が多く、人のいいIさんは、羨ましそうに目を輝かせて聞いていたことだろう。
そういえば、IさんがKさんのことを、
「夜にひとりで、飲みに行ったりするんだって。ステキやね~」
なんて言ってたことを思い出したが、
わたしは、そのとき、ステキだという感想は抱かなかった。
Iさんになら、自慢できる、と思ったんじゃないだろうか。
わたしは、そんなことは自慢する内容ではなく、自分の危うさを匂わせているだけのように感じたけれど。
こころが満たされていないのではないか、すきま風ビュービューなんじゃあ・・・と、直感したが、
Iさんは、実にお人よしそのもので、
「大人の女性ってかんじで、カッコイイ~」なんて、ずっこけるようなコメントを発していたのを思い出した。
この地に住む、子供会・旧メンバーの、わたしたちより、だいぶん後から、住み始め、先に出ていく。
我々よりずいぶん短い、この地との関わりとなったKさん。
わたしたちは、以前のまま、誰も、転出することもなく、そのまま住み続けている。
引っ越して行った人のことを悪く言うほど、わたしの趣味は地に落ちていないはず。
ただ、Iさんが、意外な人と深くお付き合いがあったことに、びっくり。
アタマのなかで、こんなシーンが繰り広げられた。
将来、わたしが越して出て行ったあと、
Iさんが、ご近所のMさんに「スローさん、どこに越されたんですかね?」と聞かれ
「スローさんは、離婚したんです」
と、何事もないように言うIさん。
「え?
スローさんが、ご近所に、ご挨拶に回られてそう仰ったの?」
「うううん。わたし、スローさんと親しくしていたから。
わたしがスローさんから、直接聞いたの」
そう淡々と答えるIさん。
そう言えば、スローさんは、カチンのひとだった・・・
そういう思い出をめぐる、子供会ごいっしょメンバー、昔のママ友であるMさん・・・
子供のこと、家のこと、夫婦のこと・・・
Mさんのアタマに、カチンが、ひとつひとつ、よみがえる。
想像シーンは、ゆっくり進み、展開される。
わたしの発言に、どこかカチンカチンときていたMさんの胸の内を、
わたしは知らないだけかも知れない。
しかも、それは、Mさんという特定のひとではなく、不特定多数のひとなのかも知れない・・・
トップ画像は、ご近所で撮ったお花。
可憐で清らかで、けがれを知らないのは、お花だけ?
こわっ。