夜な夜なシネマ

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『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の6本目@なんば)

2015年10月02日 | 映画(は行)
『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』(原題:Boychoir)
監督:フランソワ・ジラール
出演:ギャレット・ウェアリング,ダスティン・ホフマン,キャシー・ベイツ,エディ・イザード,
   ケヴィン・マクヘイル, ジョシュ・ルーカス,デブラ・ウィンガー他

前述の『映画 みんな!エスパーだよ!』はフリーパスで観るには悪くなかったけれど、
こちらは定価を払っていたとしても良かったと思える作品でした。

12歳の少年ステットことステットソンは、母親と二人暮らし。
父親とは一度も会ったことがなく、母親は飲んだくれ。
家庭環境のせいで心が荒み、学校では手のつけようがない問題児。
校長だけはステットの素晴らしい歌声を知り、このままではいけないと、
国立少年合唱団になんとか彼を入れられないものかと考える。

校長が合唱団の教師カーヴェルにステットの声を聴いてもらう場を設けるも、
ステットは歌うことなくその場から走り去ってしまう。
同日、母親が事故に遭って急死。ステットを誰が引き取るというのか。

校長はステットの父親ジェラルドの居場所を突き止めて連絡。
ステットの母親とはちょっと火遊びをしただけで、
養育費も払ってきたのだし、自分の妻子は何も知らない、
いまさらステットを引き取ることなどできないとジェラルドは言うが、
富裕なジェラルドに対し、合唱団の寄宿舎に入れてしまえば妻子にはバレない、
秘密は守られるのだからそうすべきと校長は押しきる。

途中入学を渋る国立少年合唱団に、ジェラルドは多額の寄付金を用意。
こうして合唱団の附属学校に転入したステット。
最初から彼の才能を高く評価する教師もいれば、
楽譜を読むことすらできないステットに呆れ顔の教師も。
彼をライバル視するクラスメイトからはいじめの標的にされる。
カーヴェルからも熱意なく礼儀知らずとみなされるのだが……。

まったくタイプの異なる作品ではありますが、
『キングスマン』とかぶるところがあります。
貧しさで人生が決まるわけではないということ。

ステットの声はもちろん、少年合唱団の素晴らしい歌声。
厳しい練習風景のなかで奏でられる美しい歌に心が揺り動かされます。

少年たちのソプラノは、ある日突然、声変わりに襲われて失われる。
教師のひとりがボーイ・ソプラノのことをこう言います。
「神様からの束の間の借り物」。
「なのにどうしてこんなに練習するの」と問うステットへの答えは、
「学びに意味があるんだ」。

歌の素晴らしさもさることながら、ラストに涙がにじみました。
カーヴェル役のダスティン・ホフマン
愛情あふれる校長を演じたデブラ・ウィンガー
附属学校長役のキャシー・ベイツ、みな素晴らしい。

合唱経験のある人もそうでない人も是非。

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