夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の22本目@なんば)

2015年10月22日 | 映画(は行)
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(原題:Elser)
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:クリスティアン・フリーデル,カタリーナ・シュットラー,ブルクハルト・クラウスナー,
   ヨハン・フォン・ビューロー,ダーヴィット・ツィンマーシート,フェリックス・アイトナー他

日を改めて、ふたたびTOHOシネマズなんば別館へ。
この日は前回のように「ひとりで映画観に来たですか」と話しかけられることもなく。

ヒトラー暗殺未遂事件にまつわる実話を映画化。
監督は『es[エス]』(2011)、『ヒトラー 最期の12日間』(2004)、『ダイアナ』(2013)のドイツ人。

1939年11月8日、ドイツ。
ミュンヘンのビアホールでは、ヒトラーによる毎年恒例の演説がおこなわれる。
36歳の家具職人ゲオルク・エルザーはヒトラー暗殺を計画。
ビアホールに時限爆弾を仕掛けて成り行きを見届けようとするが、
歩行中に怪しい人物と目されて連行される。

逮捕されたエルザーは、彼が計画していた時刻きっかりに爆発したこと、
しかし、悪天候のためにヒトラーは予定より13分早く退席したこと、
そのため、無関係の聴衆が爆発に巻き込まれて亡くなったことを知らされる。

ヒトラーはエルザーの背後に黒幕がいると確信、徹底した捜査を命じる。
ところが、エルザーはどんな拷問を受けようが単独犯だとの主張を曲げない。
刑事警察のアルトゥール・ネーベは、エルザーが真実を話していると感じるが、
秘密警察のハインリヒ・ミュラーは、総統はそんな言い分では納得しないと言い……。

派手な演出なく淡々と描かれているから余計に恐ろしい。
エンドロールの映像から察する実物のエルザーは、彼役の俳優よりも二枚目だった様子。
周囲の多くの女性をその気にさせてはつれない素振り。
彼が本当に愛したのは人妻のエルザで、エルザーとエルザってややこしい。(--;

ということはさておき、彼はなぜ単独で暗殺まで計画したのか。
ヒトラーにすれば、そこまで考える一国民がいるなんて思えないわけですが、
エルザーの疑問はいたって当然。
なぜユダヤ人を差別するのか。なぜ共産主義者強制収容するのか。
その思想を子どもたちにまで植え付けようとしているヒトラー。
暴力なんてナンセンス。戦争は国を滅ぼすだけなのに。
だから、ヒトラーをこの世から追放しなくてはならないのだと。

第二次世界大戦で失われた何千万の命。
音楽と自由を愛した平凡な青年がたったひとりでそれを阻止しようとしていた。
居たたまれない真実です。

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