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木下半太の“悪夢”シリーズ

2013年12月19日 | 映画(番外編:映画と読み物)
実はこれも「原作とちがいすぎる。」同様、
今年の4月に書き上げて、ネタ切れしたときのために置いてあったものです。
今年書いたものは今年のうちにUPしてしまうことにします。

『悪夢のエレベーター』(2009)を観て、木下半太を知りました。
結構おもしろい作品ではあったものの、ちょっとブラックなオチに引き、
原作を読もうという気にはならず。
それから数年が経ち、なぜか気になって読んでみるかと。

まずは『悪夢のエレベーター』とその続編『奈落のエレベーター』を読みました。
まぁまぁという印象でしたが、次に手に取った『悪夢のドライブ』が可笑しくて。
売れない芸人が仕方なく始めた運び屋のアルバイト。
ピンクのキャデラックを高級ホテルまで運転するだけの仕事のはずが、命を狙われます。
ヤクザに刑事、SMの女王に家出女子高生と、
さまざまな事情を持つ登場人物たちが、ある地点に集まって抱腹絶倒の展開に。

著者は大阪・茨木市の出身だそうで、とにかく出てくる地名が知っているところばかり。
高槻や茨木、池田といった北摂はもちろんのこと、十三辺りがバンバン出てきます。
地名を聞いて場所が想像できれば、それだけで楽しさが倍増するというもの。

劇団を主宰し、脚本家を務める彼の文体はイケイケ。
「ら抜き」だって当然使いまくり、テンポだけで読ませているところもありますが、
私は大好きですね。こんなに笑えるお話。
『悪夢のドライブ』はBS朝日でドラマ化、DVD化もされているので、
そのうち観ようと思っています。

その後に読んだ『悪夢の観覧車』と『悪夢のギャンブルマンション』。

前者はGW中の行楽地にてチンピラが大観覧車ジャック。
観覧車内で拉致されたのはワケありの美人医師ニーナ。
親が身代金を払わなければ観覧車を爆破すると言い……。
あり得ない展開ですが、最後はちょっといい話。この手のオチに弱いです、私。

後者は大国町の裏カジノマンション。当然、経営者はヤクザ。
オカマバーのママ、マッキーは、借金に悩むイケメン客のために、
その裏カジノマンションでのギャンブルに付き合うことに。
同じくオカマのジェニファーとその元カレ、輝男も加わるのだが……。

『ミロクローゼ』(2012)にもイカサマが出てきましたが、
いろいろ出てくるイカサマが興味深くて楽しいです。
全編に飛び交うベタベタの大阪弁とオカマ言葉、特にジェニファー、サイコー。

あんまり元気じゃないときにはうってつけの本なのでした。
まだ『悪夢の商店街』、『悪夢のクローゼット』、『悪夢の身代金』、
さらには同シリーズじゃないけれど、
『美女と魔物のバッティングセンター』と、私の楽しみは続くのでした。

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