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『ホワイトアウト フローズン・リベンジ』

2013年12月18日 | 映画(は行)
『ホワイトアウト フローズン・リベンジ』(原題:Pryachsya)
監督:ジョニー・オライリー
出演:ピョートル・ロガチェフ,ウラジーミル・グーセフ,セルゲイ・ガルマッシュ,
   アレクセイ・グシュコフ,アントン・シャギン,セルゲイ・ユシュケヴィッチ他

2010年のロシア/ドイツ/イギリス作品で、日本では未公開。
今月初めよりDVDレンタル開始。

同名の作品が過去に2つ、2000年の織田裕二主演の日本作品と、
2009年のケイト・ベッキンセイル主演のアメリカ作品と。
雪山の話はジャンルを問わずかなり好きなものですから、
ロシア作品ということにも興味を惹かれてレンタルしました。

雪に閉ざされたロシアの測候所(地域の気象観測をおこなう気象庁の付属機関)。
所長を務める気象学者のイワノフ、そしてドロゾフ、いずれも五十がらみの男。
もうひとりはまだ十代のロマシュで、料理と雑用など家事全般を担当する。
ある日、この測候所からSOSが発信され、警察官らが現地へと乗り込むが、
測候所には誰もおらず、さらには訪れていたはずの旅行者夫婦も行方不明。

捜査隊が引き上げるなか、ヘリコプターの定員の都合で、
ベテラン警察官のアンドレイと部下のスラバが残ることに。
ふたりは遺留品からここで何が起こったのかを推理してゆくのだが……。

俳優陣は知らない人ばかりだし、あまり耳にすることのないロシア語で、
のめり込むというところまでは行きませんが、なかなか面白い。

これもいつも未公開作品をご紹介するときと同じく、ネタバレ全開で。

ロマシュは5歳のときに両親を失っています。
警察連隊長だった父親と母親は自宅に押し入った何者かに殺され、
浴室にいたロマシュは咄嗟に隠れて無事でした。
しかし、両親が発見されるまでの間、その死体と2日間暮らした経緯があります。
ロマシュは孤児院で育ち、犯人は捕まらないまま。
しかし、いつか必ず犯人は自分のことを見つけて殺しにくるだろうと考えています。

スラバはロマシュが描いたとおぼしき木の絵が気になって仕方ありません。
測候所のそこここに描かれた木の絵をどこかで見たことがあるような。
そして、それが尊敬する上司アンドレイの腕の痣(あざ)と同じ形であることに気づきます。
ロマシュは犯人を目撃していた、そして、犯人の腕の痣が忘れられず、
あちこちに描いていたのだと。

旅行者夫婦を装っていたバディムとイリーナは悪事で金を稼いでおり、
大金を持ったまま逃亡するつもりの旅でした。
イリーナはバディムを洞窟へと連れ出して殺しますが、
金のみならず、銀行の貸金庫の鍵を携えたバディムを突き落としてしまいます。
困ったイリーナは美貌を武器にまんまとロマシュを味方につけ、
イワノフとドロゾフも片づけて、ふたたび洞窟へと戻るのでした。

最後の最後にはイリーナとその相棒で洞窟に現れたセルゲイも死亡。
スラバはアンドレイに殺されてしまい、残るロマシュとアンドレイの一騎打ちに。
副題の「リベンジ」は親の敵を討つ意味だったのですね。
ロマシュに殺されたと思われていたイワノフとドロゾフも、
実はロマシュを殺しにきたアンドレイに殺されていたとは。ちょっとドンデン返し。

測候所にいた人びとの動きと刑事の推理をかわりばんこに見せる形で物語は進められます。
いったいいつの話だかわかりにくくなりそうなものですが、とてもわかりやすい。

同名の映画でも、お国によってこんなに趣が変わるんだなぁ。
ま、英語の原題は“The Weather Station”なんですけどね。

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