枕草子 第二百九十八段 まことにや
「まことにや、やがては下る」
といひたる人に、
思ひだにかからぬ山のさせもぐさ
誰か伊吹のさとは告げしぞ
「本当ですか、間もなく下向するというのは」
と尋ねる人に、
思ひだにかからぬ山のさせもぐさ
誰か伊吹のさとは告げしぞ
この文章がいつ書かれたのかははっきりしませんが、少納言さまが、中宮に仕えていた間や没後すぐに長く都を離れるようなことはありませんでした。ただ、このような噂がたったことがあったのでしょう。
なお、この和歌にも多くの掛け詞が含まれています。
「思ひ」と「火」、「掛かる」と「かかる(山を踏破する)」、「「伊吹」と「いふ」、「「然(サ)と」と「里」、「告げし」と「(火を)つけし」などです。
なお、枕草子本文としては、この章段が最終段になっています。
ただ、最後の三段は少し趣の違う内容なので、私は、おそらく少納言さまは、第二百九十五段の中宮の忘れ形見を描いた所で筆を置いたような気がするのです。
「まことにや、やがては下る」
といひたる人に、
思ひだにかからぬ山のさせもぐさ
誰か伊吹のさとは告げしぞ
「本当ですか、間もなく下向するというのは」
と尋ねる人に、
思ひだにかからぬ山のさせもぐさ
誰か伊吹のさとは告げしぞ
この文章がいつ書かれたのかははっきりしませんが、少納言さまが、中宮に仕えていた間や没後すぐに長く都を離れるようなことはありませんでした。ただ、このような噂がたったことがあったのでしょう。
なお、この和歌にも多くの掛け詞が含まれています。
「思ひ」と「火」、「掛かる」と「かかる(山を踏破する)」、「「伊吹」と「いふ」、「「然(サ)と」と「里」、「告げし」と「(火を)つけし」などです。
なお、枕草子本文としては、この章段が最終段になっています。
ただ、最後の三段は少し趣の違う内容なので、私は、おそらく少納言さまは、第二百九十五段の中宮の忘れ形見を描いた所で筆を置いたような気がするのです。