雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

神のいたう鳴るをりに

2014-04-29 11:00:08 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百七十七段  神のいたう鳴るをりに

神のいたう鳴るをりに、雷鳴の陣こそ、いみじう恐ろしけれ。
左右の大将、中・少将などの、御格子のもとにさぶらひたまふ、いといとほし。鳴り果てぬるをり、大将仰せて、
「おりー」
とのたまふ。


雷鳴が激しく鳴る時に行う、雷鳴(カミナリ)の陣は、それはそれは恐ろしいものです。
左右の大将、中将、少将などが、清涼殿の孫庇の御格子のもとに伺候なさるのが、まことにお気の毒でございます。ようやく、鳴るのがおさまりますと、大将が命じられるのは、
「おりー」(孫庇から下りて、雷鳴の陣を解散せよ、の意)
と、仰せになられる。



雷は、現代人でも好きな人はそうそう多くはないと思うのですが、少納言さまの時代はさらに恐ろしい存在だったことでしょう。
「雷鳴の陣」は他にも登場していますが、「大声三度以上になると、大将以下近衛中少将等が弓箭を帯びて清涼殿の孫庇に伺候して、将監以下の近衛舎人は蓑笠を付けて東庭に東向きに立ち天皇を警護する。その他、兵衛は紫宸殿の南庭、衛門は后宮を警護する」ことになっていて、まさに戦場並です。
この時代、菅原道真の怨霊が登場していたかどうか確認していませんが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする